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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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みやまよめな:27

が、都の方でも……

 

都『まぁっ!! 何ということでしょう!! “下世話”? 口にするのもはばかられる!? ……そうでしょう、そうでしょうよ。私と貴方はきょうだいですもの。でも、そんな言い方はあんまりではありませんか……。私とて己が自身で責めているというに。これ以上、辱めるか』

 

 袖で顔を隠す。

 

社「姉上? 姉上……何とかおっしゃって下さい」

都「………………………………」

社「噂は社ではございませ……」

都「社!!」

社「は、はい」

都「噂はどこからです?」

社「いや……あの……」

都「………………………………」

社「つ、椿……から……」

都「椿!?」

社「しっ、しかし、その椿も他から聞いた噂だと」

都「椿はおしゃべりが過ぎますね」

社「私が無理に聞き出したのでございます。椿は悪うございませぬ」

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みやまよめな:26

 社は姉から追い返された館にもう一度足早にやってくる。

 

社『確かめたい……っ!! もし噂が本当ならば……』

 

 少なくとも自分の心は噂通りだ。隠し立てしても己だけはあざむけない。

 

社『もしも姉上のお心が私に向いておられたなら……っ!!』

 

 会わないとどうしてこないかとなじり、来ると突き放すその行為は、ひょっとしたらとの期待を抱かせる。

 門の前に立つ。

 

社「私だ!!」

 

 門が開く間も惜しいと開いた隙間からもぐりこみ、駆け足で庭を横切る。

 

巫女1「これはこれは社様……」

巫女2「あら、社さま、お帰りになられたんじゃ?」

 

 声をかけてくる巫女たちを全て無視。

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みやまよめな:25

社「は? あ、はぁ」

 『ちぇ。なんだ……』

 

 まだ長居したかったが、確かに姉の言うとおりである。

 早々に引き上げて、元の家に向かう。

 

都「……は~……」

 

 胸をなでおろして、深くため息。

 

「これはどうしたことでしょう?」

 

 両手で頬を覆う。

 気が付いてみれば、いつの間にか弟は自分よりも背が高く、ずっとたくましくなった。

 もう背中に付いて回っていたあの頃とは違う。

 

都『そんなことはとうにわかっておりました。でも……』

 

 こんなにもそれを意識したことはなかった。

たくましくなったとは以前から思っていたが、それは姉としての誇らしさだった。

 今度のは違う?

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みやまよめな:24

 合点いくと急に気持ちは楽になり、一緒に眠気も増幅。

 正体を突き止めるのをあきらめて布団に潜る。

 それから、しばらく……。

 

声「都、都……」

都「……う、ううん……」

声「迎えに来たぞ、姫。七つ参りの夜じゃ……」

都「!!」

 

 ばっと目を覚まし、上体を起こす。

 

「何者っ!!?」

 

 チュンチュン……チチチチ……

 鳥のさえずり。

朝の光。

 

都「……アレ……?」

 『夢……?』

 

 拍子抜け。

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みやまよめな:23

7,

 この間までは障子に映る影だった者が、今度は障子を開いてそっとその場に黒百合を置いてゆく。

そしてまた状況が変わった。

 障子を開けてそこに黒百合を置いていたのが、蚊帳の側になっていた。

 

都「どういうことでしょう?」

 『部屋に踏み込んだ?』

 

 朝起きて、蚊帳の外の黒百合を手に取り、さすがに眉をひそめる。

 

「いくら弟とはいえ、いくら私を喜ばせようとの気遣いとはいえ、寝ているところに忍ぶなどあまり行儀がいいとはいえませんね」 プンプン。

 「姉だからいいようなものの……。女子に対する礼儀と扱いを知らぬと見える。少し注意してやらねば」

 

 言って、気づく。

 

都「……!! 社は………社はおらぬのではないですかっ!!?」

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みやまよめな:22

5,

 衛兵を増やしたにもかかわらず、黒百合は毎日届く。

 

社『くそっ!! どこのどいつだっ!? 絶対に引っ捕らえて首をはねてくれようぞ』

 

 どこの誰とも知れぬ者から届けられる花を都が愛でているのが気に食わないが、初めに嘘をついてしまったために捨てろとは言い出せない。

 

 

 ある日の朝。

都が目を覚ますと今日は障子の内側そばに黒百合。

 

都「??」

 

 寝転んだまま、手を伸ばして取る。

 

「夢と…………同じ?」

 

 実は今朝まで夢を見ていた。

 男がこの花を届けにくる夢を。

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みやまよめな:21

4,

 朝。

 巫女が都の髪を梳いている。

 都の手には、また今朝届けられていた黒百合。

 

都「花はいいけど……。なぜ社は姿を見せないのですか」

巫女「……それはその……」

都「………………………」

 

 巫女が口ごもっていると、当の社が現れる。

 

社「姉上っ!!」

都「!! 社!?」

 

 障子の向こうで座る気配。

 

社「姉上。ご無沙汰しております。社にございます」

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