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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 5.5-3

フェイト『どうりで声が……

 

 女性にしては少し低いと思った

 けれどこのくらいの声なら女性でもおかしくはない程度。

 成人男性だとすると幼すぎた。

 

氷鎖女「身分が高いと吠えるならなおさら、きちんと筋を通して謝罪する。コレが本当の責任の取り方であろうが。これだからガキは好かないというのでござる」

メイディア「仮面は?」

氷鎖女「額当てか? 洗って置いてあるでござるよ? 後で新しいのしなくっちゃ」

レク・フェイト「…………」 黙って口を閉ざす。

メイディア「新しいのって……

氷鎖女「別にアレ一つじゃないし、代わりはあるし。さりとてアレをしていると髪が乾きにくいゆえ新しいのあってもつけているワケにもゆかず……

メイディア「秘密は?」

氷鎖女「だから秘密なんかナイと言ったでござろう? しつこいな」

 

 パンをちぎってちまちまとかじる

米の飯が恋しいなどとのんきなことを言いながら。

 

メイディア「…………」

 

 そっとメイディアが顔を覗き込もうとすると氷鎖女は顔の向きを変える。

 

氷鎖女「これこれ。妙なところに興味を持たなくて良いから食べるでござるよ、おとなしく。ホラ、そこの二人も」

 

 手をひらひらと振って見せる。

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レイディ・メイディ 5.5-2

フェイト「う…ん……まみれ…」

 

 スープをかきまぜていたスプーンが止まった。

 周囲の連中もシンとなって注目しているが、二人は気づかない。

 リクは気にしていないようで、黙々と食事を続けている。

 フェイトは自分は仲間じゃない!と、視線で周囲に訴えかけている。

 

メイディア「過ぎたことをいつまでも…意外と男らしくない方ですのね」

レク「男らしくないだって!? そーゆー問題か、アレは!? 人間としてアレだろ、ダメだろ! フツーは怒っていい場面なのっ、ココはっ!! っていうか、怒らない方がどうかしてるっ!」

 

 突き付ける指は怒りに震えていた。

 

メイディア「まぁっ!? 人を指でさすなんて、はしたないっ! さすがは身分の低い野蛮で低俗な平民ですことっ!」

レク「うるしゃーっ! 謝りにきたんじゃなかったのか!? それともケンカ売りにきたのかよ!?」

メイディア「だから仕方なく謝ってやったのに貴方がちみっちゃいコトを言うから」

レク「ちみっちゃいぃ!? 謝って…やったァ!?」

メイディア「ショボイってゆーのよっ!」

フェイト「ま、それは言えてるかな……

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レイディ・メイディ 第5.5話

第5.5話:悲劇の後で… ~フレグレンスな4人~

 薔薇の騎士団養成所は赤茶けたレンガの、高い壁で囲われていた。

 黒い鉄製の正門をくぐると正面には小綺麗に手入れされた庭園が広がっている。

 季節によって代わる代わるに咲く花々。壁に沿うように行儀良く立ち並ぶ並木。

 ローゼリッタ王国の城下町からやや外れた広大な土地にそれは位置していた。

 庭園の奥に建つ巨大なゴシック式の建物は、将来の薔薇の騎士を育成するための学び舎である。

 あの中で日々、騎士を目指す少年少女が切磋琢磨しているのだった。

学徒と呼ばれる身分の彼らは、明るい間はこの学び舎での勉強や外での訓練に時間を費やし、暗くなると正面からは学び舎の建物の影で見ることはできないが、後ろに建っている宿舎に戻るのだ。

 宿舎は学徒たちが寝泊まりする部屋と食堂、浴場などが設置されている。

 本日もいつもの朝となんら変わらずに食堂は学徒たちでごった返していた。

 

フェイト「……何で隣に座るんだよ……

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レイディ・メイディ 5-7

メイディア「一時休戦ですっ!」

氷鎖女「そうこなくては」

 

 二人、一気にはい上がって、びたびたとアレを飛び散らせながら、獲物を狙うハンターのように走りだす。

 惨状に巻き込まれまいと逃げたのは正解だったと速めていた足をゆるめるリクはまだ、血に飢えた野獣がごとき二人が自分を追って来ているなどと知る由もなかった。

 今も二人がお互いに穴の中で先の見えぬ争いを繰り広げていると思っている。

 己が身が危ないと悟ったのは、草がこすれる音が背後から迫ってきてからだ。

 

リク「あらら。追って来るかな、フツー。俺、本当は無関係だと思うんだけど」

 

 落ち着き払っているものの、捕まっては一大事。

 再び速足になる。

 だが、思ったより向こうも早くてとうとう駆け足に。

 

リク「待ってよ、コラコラ相手が違うでしょーに」

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レイディ・メイディ 5-6

リク「今の、青薔薇志望のレクです」

氷鎖女「ふぅん」

リク「ふぅん……って。まぁいいけど」

 

 助ける気配のない二人。

 

リク「ずいぶんと身軽でしたね。彼女、結構背丈あると思うのだけど」

 

 背中を押される前に、その場からメイディアの背後に跳んだのである。

 それも軽々と。

ものすごい跳躍力だ。

 

氷鎖女「……?」

 

 そうかな? とばかりに首をわずかにかしげる。

 彼らがのんきに会話しちゃってる間も当然ながら、メイディアとレクの悲鳴は聞こえている。

 

メイディア「あ~れぇ~っ」

レク「ん~っ! んん~っ!!」

 

 二人の視線がやっと落とし穴に向く。

 

リク「あのさ……さっきから騒いでいるところ悪いけど、足、つけるんだよね?」

メイディア「……あ?」

     「…………。」

 落ち着きを取り戻して、目をしばたかせる。

 落とし穴といえど、たった二晩二人きりでそんなに大きく掘れるワケがない。

 手は地上に届く距離で一人でも十分はい上がれる深さ。

 レクがメイディアの上に落ちたものだから、ぎゅうぎゅうに詰まってはいるが。

 

メイディア「どきなさい、レク! 邪魔ばっかりしてっ」

レク「んんん~っ」

  『そんな~っ』

  「うんうん、んーんーん…

  『だいたい、メイディが…

 

 キッとにらむ。

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レイディ・メイディ 5-5

 氷鎖女の背中を押した…………………つもりだった。

 スカッ!?

 

メイディア「アリ?」

 

 いない。

目の前にあるのはただ、木漏れ日の風景。

 勢い良く背中を押した……つもりだったのに押すものがなくなって、メイディアの体は前方に傾いていた。

両腕を突き出したままで。

 

リク『あ~あ』

 

 肩をすくめる。

 彼女の背後に誰かが降り立った音。

 

メイディア「わっ、わわわっ!?」

 

 体勢を崩したら終わりだ。

自分がアレまみれになってしまう!!

 

氷鎖女「やぁ~っぱり、裏があったでござるな~あ? んー? ごーるでんっ?」

 

 背後から、楽しげに語りかけてくる声には残酷な響きがあった。

 

メイディア「ちょっ……わったっ! ちっちが……誤解……きゃああっ!?」

 

 もはや爪先立ちで腕を回してなんとか持ちこたえている状態だ。

 

氷鎖女「拙者がチョイと背中を押したら、ど~なるんでござるかなぁ? な? わかるか、ごーるでん」

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レイディ・メイディ 5-4

メイディア「先生はー……アラ? いかが致しまして?」

 

 急に立ち止まった氷鎖女に気づいて足を止める。

 遅れて、リクも。

 

リク『おやぁ? バレたかな?』

 

 再び彼は何事もなかったように「何でもない」と言って歩き始めた。

 考えていたのは別のこと。

 

氷鎖女『く…くさい…。何やらさっきからウンコくさ…うっぷ…』

 

 チラリと横を歩く教え子を盗み見る。

 

氷鎖女『でも先に“クサイ”と言い出した奴が怪しいと思われるのがオチであるし、しかし俺は屁なんてこいてない。二人だけ……いや、背後にもう一匹いるが、向こうは風下……となれば容疑者は二人。俺とお前……』

んが、俺は白だ。……つーか、屁ェこいてすましてるお前だよ、お前。金色(こんじき)巻ぐその上に屁こきか!? 屁こきかァ!?

いやいや、待てよ、(しずか)。お前、大人だろ? 一応、相手は年頃の女子(おなご)であることだし、出物腫れ物ところ嫌わずとも言うことだ。ここは知らぬ顔を通してやろうではないか。な? ……う~ん、でもこれはちぃとなぁ……

メイディア「……?」

 

 思考の迷宮に迷い込む氷鎖女。

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