HOME ≫ Entry no.33 「レイディ・メイディ 5-4」 ≫ [38] [37] [36] [35] [34] [33] [32] [31] [30] [29] [28]
レイディ・メイディ 5-4
2007.10.29 |Category …レイメイ 5話
メイディア「先生はー……アラ? いかが致しまして?」
急に立ち止まった氷鎖女に気づいて足を止める。
遅れて、リクも。
リク『おやぁ? バレたかな?』
再び彼は何事もなかったように「何でもない」と言って歩き始めた。
考えていたのは別のこと。
氷鎖女『く…くさい…。何やらさっきからウンコくさ…うっぷ…』
チラリと横を歩く教え子を盗み見る。
氷鎖女『でも先に“クサイ”と言い出した奴が怪しいと思われるのがオチであるし、しかし俺は屁なんてこいてない。二人だけ……いや、背後にもう一匹いるが、向こうは風下……となれば容疑者は二人。俺とお前……』
『んが、俺は白だ。……つーか、屁ェこいてすましてるお前だよ、お前。金色巻ぐその上に屁こきか!? 屁こきかァ!?』
『いやいや、待てよ、鎮。お前、大人だろ? 一応、相手は年頃の女子であることだし、出物腫れ物ところ嫌わずとも言うことだ。ここは知らぬ顔を通してやろうではないか。な? ……う~ん、でもこれはちぃとなぁ……』
メイディア「……?」
思考の迷宮に迷い込む氷鎖女。
▽つづきはこちら
黙ってしまった相手に一抹の不安を覚えるメイディア。
見抜かれた? そんなハズはない。
まさか自分が強烈なおならをしたのに黙って澄ましているなどと疑いをかけられているとは知らず、メイディアは別の心配をしていた。
氷鎖女『…しっかしまぁ、くっさいわ。何食ってんだ? あー、屁臭いからもう帰ろうって言いたい。あ、でも先に言った方が怪しいって……や。でも二人だし……ダメだ、この娘なら絶対に自分が犯人であっても、氷鎖女先生が怪しいとか言ってはやしたてて組の連中に言いふらすに決まっておるっ!! おのれ、ウンコッ子め~』
ギリリッ。被害妄想爆発で歯を食いしばる。
メイディア「ヒ…ヒサメ…先生? あの……?」
氷鎖女「ハッ!? あ、や、何でもない」
片手を必死に振る。
さりげなく臭いもかき消せればいいと願いながら。
氷鎖女『年頃の娘、年頃の娘! 屁は誰でもこく! 大丈夫だ、鎮っ!! ここは耐えるのが大人の態度………うう、しかし何やらますます濃厚に…』
メイディア『あと少しですわ!』
キラーン☆
落とし穴との距離を確認して、目を光らせるメイディア。
リク『うん? …何の臭いだ?』
ようやく気がついて風下のリクも鼻に袖を当てた。
氷鎖女が落とし穴の前でまた立ち止まる。
ギクリとするメイディア。
彼らが会話をしながら落とし穴に向かっていた頃。
もがくのに疲れてうっかり眠ってしまっていたレクは、ようやく目覚めて自分の置かれている状況を思い出していた。
レク『うわわ、そうだった! くぬっ! くぬっ!! あ~、取れない~ とにかくヒサメ先生に知らせないとさすがにマズイ』
シャクトリムシの要領で移動して、木の幹に頼って起き上がってみた。
レク「ン!? ンーンンンッ♪」
『お!? 成功だッ♪』
しかし足首を縛られているので、歩こうとしたらまた倒れてしまった。
仕方なく転がって進む。
急がねば! 悲劇を止められるのはお前しかいないんだ、レク!
ゴロゴロゴロ~…
レク『……………。』
我ながら情けない姿だった…。
場面は戻って、メイディアと氷鎖女。
メイディア「急にまた立ち止まったりしてどうなさったの? ホ…ホホホ」
氷鎖女「う~ん…」
足元を眺める。
メイディア『う、ヤバイ』
氷鎖女「コレ…いや、何でもない」
メイディア『ホッ…』
落とし穴はもちろんカムフラージュしてある。自分で言うのも何だが、結構良くできていると思う。
氷鎖女が上に片足を乗せた。
メイディア「よっしゃですわっ!」
氷鎖女「何がよっしゃ?」
足を引っ込める。
メイディア「べっ…べべべべべ別にっ!」
『いいから早く乗りなさい、早くっ!』
氷鎖女「…………」
ちら、とメイディアを見上げる。
見られた途端、顔をそらして鼻歌を歌うメイディア。
あからさま過ぎ。
しかし氷鎖女がそこを避けて通ろうとするので、最後の手段に出ざるを得なくなってしまった。
メイディア『もーう、ここまできたらおんなじですっ!!!』
決意した瞬間、目が激しく邪悪な光を放つ。
●Thanks Comments
焦らされるうぅ~!
あと一歩!!
…ていうかシズカちゃんなの!?(@△@)
次回、どっぷん♪
シズカちゃんです(笑)
ヒサメは実は苗字でもなくて村の名前。
氷鎖女村の鎮という人なんです。苗字なし。
そのうち短編も出しまする。