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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 5-2

メイディア「ですから、ワタクシとしてもヒサメ先生とは仲良くやっていきたいのです。初対面は最悪でしたから、仲良くなるきっかけを外してしまいましたけど」

氷鎖女「殊勝なことを言うでござるな。いきなりどういう風の吹き回しなのやら。何の裏でござる?」

メイディア「まぁ、ヒドイ言いよう! せっかくワタクシから妥協してあげているというのに。先生は人を信じるということを知りませんの!?」

氷鎖女「まぁ、あんまり」

 

 小さく言って、頭を面倒くさそうに掻く。

 

メイディア「ハイ?」

氷鎖女「あ、や、別に」

 

 問い返されてうやむやに答えた。


▽つづきはこちら

 こんな朝っぱらから何でたたき起こされなければならないかという問答はすでに終わっているらしかった。

朝露で濡れた草を踏んで二人はゆっくりと進み、それを追ってリクは足を速めた。

 

メイディア「とりあえず、仲直りしましょ? ね?」

氷鎖女「仲直りも何もケンカした覚えはナイでござるが、まぁ失礼かましたのは拙者であるから、ごぉっ…~っと …その…そちらが怒ってナイというのなら助かるでござるよ」

 

 しおらしく謝っている真っ最中に禁句の「ごぉるでん」を言いかけた氷鎖女に、盗み聞きしていたリクがすばやく口を両手で押さえた。

 思わず吹き出してしまいそうになったからである。

 彼らが出会ってから、一カ月はもう過ぎている。

なのに初めの印象から逃れられない氷鎖女。

 しょうもない先生だ。

 悪気があるワケではなさそうなのだが、毎度あれでは確かに気の毒な気もしないではない。

 今、正面の表情を見たなら、前髪をカチューシャで上げているメイディアの広い額には、青筋が浮かんでいるに違いない。

 だが金切り声を出したいのをこらえて彼女は、懸命に教官と仲良くなろうと?話しかけていた。

 本当に仲良くしたいがために朝っぱらから呼び出したとも思えないのだが、なかなかどうして耐えるではないか。

 

メイディア「せっ…先生はいつも額に兜をつけていらっしゃいますのね。…どうして?」

リク『おっと? いきなりズバッと核心に切り込んだもんだねぇ』

 

 しかし返答は素っ気ない。

 

氷鎖女「なんとなく」

メイディア「では取ってもよろしいのですね? 実はとても気になっていたのです」

リク『ああ、ソレ、俺も』

 

 勝手に同意してうなづく。

 

氷鎖女「それは、あの、ちょびっとダメでござる。気にしなくて大丈夫でござるよ。うん。全然平気。気にしない、気にしない」

 

 額あてに両手をそえる。

 

リク『おや? うろたえた?』

 

 余計に気になった、メイディア「少ししかダメでないのなら、別によろしいのではなくて?」

 

 俄然興味が沸いたと瞳にイタズラな光が灯る。

 

氷鎖女「じゃあとってもいっぱいすごくダメダメでござる」

 

 その怪しげな光に気づいて、額あてをさらに強く押さえる氷鎖女。

 

リク『ん~』

 

 ……この教官。

他人にモノを教えるというからには年上なのだろうとは思うのだが、時折ハミ出る幼さが実は自分たちと変わらない……もしくはもっと年少なのではないかという疑惑が氷鎖女クラスの中で蔓延している。

 その辺がまた多くの生徒たちがイマイチこの先生を信頼できない理由だ。

 先生ときたら実力うんぬんだけでなく、威厳というのも必要な要素なのかもしれない。

 普通に考えてみても同じ年頃の人間を先生と仰ぐのは難しい。

 彼がもう少し明るい性格でもっとわかりやすい存在だったら、友達のような先生として歓迎されたかもしれないが、どうにも生徒たちとの関わりを避けているようにしか思えなかった。

 リクから見ても頭は相当に良いハズなのに、ちょっとしたことですぐ狼狽(ろうばい)する氷鎖女は不思議だった。

 頭が良いことと狼狽しないことは全くの別物である。

 “頭が良い”と一口に言ってもそれを指し示す範囲は広い。

 

リク『単に勉強ができるだけじゃ頭がいいとは俺は思わないんだよね…』

 

 氷鎖女教官の講義や自分たちに指導して課す修行内容は、目の前よりももっと遠くを見ている。

 

リク『ずっと、もっと遠く……

 

 物事を多角的に見つめ、遠く果てを思い、一点について深く思慮(しりょ)する。

 そのなような人をこそ“頭の良い人”だとリクは密かな持論を持っていた。

 リクの言う“頭の良い人”は、大概においてその能力に裏付けられる確かな実力を有しており、実力があれば当然、自信または余裕があってしかるべきなのだ。

 

リク『自信と余裕は冷静さにつながる…』

 

 なのに目の前の“頭の良い人”……かもしれない人はただ今、とってもパニック中。

冷静さのカケラも見当たらない。

 何だか子供にも心配されてしまいかねない挙動不審ぶりだ。

 

リク『…ああ、そういえば、講義の内容はともかくとして、しゃべりかたは上手いとは言えなかったね』

 

 ふいに気がついた。

 

リク「…ははっ」

 

 何のことはない。

あの人は単に、人が苦手なのだ。

 合点いって、深く考えてしまった自分がおかしかった。

 

リク「俺ってなーんかあの人を、特別視しちゃってる……いや、してしまいたいところがあるのかもなぁ」

 

 それにしてもあの額あては一体何の意味があるのだろうか。

アレについてはやはり気になる、好奇心旺盛なリクだった。

拍手[0回]

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●Thanks Comments

額あては…

ま、まさか、『しゃりんがん』を隠すために…?(◎_◎)

すっかり忘れてたけど、レク君いまだ放置プレイ続行中?w

From 【ぱんだ】2007.10.28 19:52編集

もちろんです☆

しゃりんがんに決まってるどゃないですか!!
ああ、もちろんウソだけどな!
レク? 当然、放置プレイ中ですよ。ニコッ。

From 【ゼロ】2007.10.28 21:44編集

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