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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 4-8

 同室のフェイトと友人になった赤薔薇志望の少女・レイオットと共に食堂で朝食をとっていた時のことだ。

 

レイオット「昨日、私たちの部屋に泥棒がっ!」

フェイト「エッ!? 女性ばっかりの部屋に!? 危険じゃないかっ。気づかなかったのか、君は。それでも君は……」

レイオット「…女なんだけど…」

フェイト「…あ…」

 

 シーン…

 気まずい空気が流れる。

 それを何とかごまかそうとレクが割って入った。

 

レク「盗まれたモノは?」

レイオット「それが…まったく」

 

 ごまかしはうまくいったようだ。

 

レイオット「どうも侵入する前にクロエさんがロープを切って落として、逃げていったようなんだけど……

フェイト「物騒だなぁ。ちゃんと窓の鍵は閉めてあるんだろうな?」

レイオット「かけてるわよ。女の子しかいないんだから」

 

 “女の子しかいない”レイオットの口から出た台詞に一瞬、止まってしまう二人。

 レイオットはこめかみに薄く青筋を立てる。自分だって女の子に含まれているのだ。

 今、二人、笑ったな? 笑ったでしょう? そんな目で睨みつける。

 

フェイト「ああ、すまない。話がとぎれたかな」

 

 あわててフォロー。

 

フェイト「しかし窓が空いていてロープがかかっててってことは、これから入るところじゃなくて逃げる途中だったんだじゃないか?」

レク「そういえばそうだよな、だいたい………あ…」


▽つづきはこちら

 食堂にメイディアが取り巻きを引き連れて入って来たので、自然なことなのについ驚いてしまった。

 

レイオット「まぁ、一応何も取られてなかったし、クロエさんがちゃんとやっつけてくれたみたいなんだけど」

 

 取り巻きを従えたメイディアの姿勢はなんだか変だった。

 実は昨夜、クロエに落とされて尻を強打したのが、今頃になって痛みだしたのである。

 

メイディア『うぐぐ……クロエめ……クロエめぇぇ~! お尻がっ…お尻がっ…割れたらどうしてくれるつもりですかっ!? イタタタ……。それにしても……お尻ってどうして2つに割れているのかしら? 不思議ですわ……

ジェーン「どうなさったの、メイディア様?」

モーリー「何か変ですよー?」

メイディア「いいのっ! 放っておいて下さるっ!? ぃいっつつ……

 

 ジェーンたち、顔を見合わせて肩をすくめる。

 本日のお嬢様はゴキゲンナナメだ。

 そっとしておくのが吉といったところか。

 トレーに食事を乗せて席につく。

 初めの内、食事は勝手に自分のところに運ばれてくるものだと思っていたメイディアだったが、ようやくセルフ・サービスというシステム?を理解して最近ではちゃんと自分で持ってくる。

 ほとんどの場合はまだ取り巻きがやってくれているのだが、機嫌が悪い時は自分のことは自分でするのだった。

 早朝に今度はちゃんと正面玄関から部屋に戻ったメイディアは、手製のロープがほとけたのではなく、切られたのだと知る。

 しかも切ったのはクロエだという。

 つい怒り出しそうになったが、部屋は泥棒騒ぎになっていて、それが自分だとは言い出せない状況下になっていた。

 言って叱られても自分は悪くないで通すメイディアだが、そのせいで尻が痛い理由もバレてしまう。

 それだけはごめんだった。みっともない姿はシャトー家の令嬢である自分には似合わない!

 ……と思っているのは本人だけで、今でも十二分にみっともない姿をさらして歩いているワケだが。

 本当の被害者はクロエ本人だ。知らずに自分の服まで切ってしまったのだから。

 けれど真相は闇の中!?

 レクと目が合ったが、ふいとそらして無視を決め込むメイディア。

 

レク「ああ、そっか…内緒だから」

レイオット「何が?」

レク「いやいや」

 

 目で追って行くとメイディアは椅子に座るなり飛び上がる。

 周囲も驚いてそちらを注目。

 

メイディア「おごご…あぅぐぐ…いだい…です…わ」

 

 奇異の目にさらされたことに気づき、すぐさま態勢を整える彼女の貴婦人精神は立派?

 

メイディア「お気になさらず。ホ…ホホホホ」

 

 ぎこちなく笑い、仕方なく空気椅子。

 足を痙攣(けいれん)させながらも、正面から見るといかにもちゃんと椅子に座ってますといった装いで静々と食事を口に運ぶ。

 背後や横から見ると当たり前だがあきらかに椅子に腰を下ろしていない。

 何故に空気椅子!? 誰もが思ったが、彼女にツッコむ勇者などそうそういようもない。

 

メイディア『我慢…我慢ですわ…。ワタクシは椅子に座っています。ただ見えないだけですの。見えない椅子に座っているだけですのよ』

     「ウ…ウフフフ…ウフフ…」

ジェーン「メ…メイディア様?」

メイディア「失礼。ホホホ」

     『痛い…お尻が…お尻が割れるようですわーッ!!』

 

 こんな調子でマラソン時も尻を突き出したカッコウで。教室での授業中も空気椅子。

 ある意味、すごい根性だ。尊敬に値する…かもしれない。

 一体何をやっているのだか…そう周囲は思っているが、彼女の奇っ怪な行動は今に始まったワケではないので放ってかれる。

 

メイディア『あーっ! それもこれもお前のせいですのよ、チビ教官ッ。今に見ていなさいな』

 

 水晶にはメラメラと燃える復讐心が吸い込まれていった。

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