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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 4-3

 かくして少年は、引きずられて教官室に連行されることになったが、担当の氷鎖女(ひさめ)が少年からだいたいの事情を聞き、事なきを得たのである。

 

レク『さっきのコ…なんかちょっと可愛かった…かな?』

 

 見事な巻き毛の金髪。

肌の色はまるでいままで日の光に当たったことのないような白。

 顔を両手でおおっていたが、その前に見た目は大きくて色素の薄い青が印象的だった。

 触れたら折れてしまうのではないかという弱々しさ。

 

レク「可憐っていうのかな…ああいうの…」 ぼんやりしてため息をつく。

フェイト「…ハ?」

 

 レクは貴族の姫君を見るのは初めてだったから仕方がなかったかもしれない。

 しかし外見にだまされるなかれ。

 中身が悪魔だと落胆するのは、ほんの少し先のことになる。

 そして、レイオットの話にたびたび上がるあの「メイディア=エマリィ=シャトー」だということも。


▽つづきはこちら

 外周マラソンが終了したヒサメ組の学徒たちは教官不在のまま、例の水晶球に魔力を注ぎ込み続けるこれまた退屈な授業の自習をさせられていた。

 

「ねぇ、こんなのやってていいの、私たち」

「まだ1つも魔法教えてもらってないよねぇ?」

「ヒサメ先生って実は魔法知らないんじゃない?」

「それはないよ、知らない人が教官に選ばれるワケないじゃん」

「っていうかあの人、何歳?」

「さぁ…いつもあの変な仮面してるから顔がよく見えないんだよね」

 

 疑問を抱えつつも真面目に勤しむ者、やってられるかと自習なのをいいことにおしゃべりに興じる者。

それぞれいたが、“彼女”が教官室に呼び出しを食らったためにそれでも教室は静かだった。

 

「なんかさ、静かじゃない?」

「そりゃアイツいないもん」

「ああ、メイディアオジョーサマ…ね」

「いなくて助かるよ」

「なんでまだ残ってるかなぁ? 早く落ちて貴族様の館でお遊びになられたらいいのに。ここは訓練所だっつーの」

「いっそ皆で署名集めてさぁ…あの人がいると困るって教官に提出しちゃうー?」

「あー、それいい。ハッキリ言って邪魔」

 

 ヒソヒソ声があちこちから飛んでくる。

 その中に普段はいい顔している、取り巻きの姿もあった。

 クレスは話を振られたが一緒になってくだらないおしゃべりに付き合うつもりは毛頭なく、大あくびなんかかまして机にふせている。

 メイディアのことは好きではなかったが、それは他の連中も一緒。

誰が落ちたって構わない。

いっそ自分以外は全員いなくなれ。

そんなことを考えたりもする。

 両親がなく、祖母と二人きりの家庭で育った彼は村の爪弾きでよく同年代にからかわれたりイジメられたりしていた経験から、あまり人を信用しないヒネクレた性格に育ってしまっていた。

 それも悪いことに魔女だった祖母の手ほどきを受けて力を持っていたからなおさらだ。

 他人を見下す態度が改まらない。

 わってリクはといえば…

 言われた通り、水晶に魔力を注ぎ続けている。

 周囲の声は耳には言っていない様子だ。

 そんな彼の姿を数人の少女が見つめてため息をついていた。

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