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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 45-11

レク「戦略や戦術は別に座学であるけど、そこでもやってるの?」

リク「うん。座学で他の先生に習っているのは、軍隊としての動きじゃないか。ウチのクラスでやってるのは、黒魔法使いとして……ってカンジかな。手持ちの魔法でいかにして勝利するかって言う。それも最小限の力で」

レク「なるほど」

リク「だから、周りから言われているほど無駄な時間なんて過ごしていないんだ。……焼き芋おいしいし」

レク「ははっ。いいね、焼き芋」

リク「魔法数が少ないけど、それはいずれ教えてやるって先生言ってるから、心配してないんだ。ちゃんと他のクラスにも追いつく。先生が言うには土台がしっかりしていれば、呪文や魔法の種類なんて後で追加すればいいだけのオマケだってさ」

レク「土台か。それは重要だけど……割と地味なんだね。いや、呪文をオマケと言い切っちゃう辺りはある意味、突飛?」

リク「そうだね。だから周りの先生たちから反感かって、つつかれてるみたいだけど。……あの人は、知識を教えるだけじゃなくて、その知識の使い方もちゃんと教えてくれる。俺は物知りになりたいんじゃない。強くなりたいんだ。勝ちたいんだ」

レク「珍しいね、リクがそんなにこだわるなんて」

リク「……あ。ごめん、何だか一人でしゃべっちゃって……」

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レイディ・メイディ 45-10

 夜。男子寮。

 

レク「あれ? 先生、外れたんだね、おめでとう」

リク「はは、ありがとう。俺は、もう少しあのままでも構わなかったけど。ゆっくり話したいことがあったから、夜とか丁度よかったかなと。いつも俺見ると逃げようとするからなかなかね」

クレス「それは普段、無意味に追い回すから警戒されるんじゃん」

リク「まぁ、そうなんだけど。面白いからついついイジメたくなっちゃって」

 

 頭をかく。

 

クレス「わかんなくはないけどさ」

レク「またぁ。可哀想なこと言ってぇ」

 

二人のたちの悪い冗談にレクが苦笑いする。

 消灯の時間になり、それぞれベッドに転がる。

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レイディ・メイディ 45-9

ジェーン「美形?」

氷鎖女「…ぶ……不細工だから、ガッコリするでござるよ? 変な夢見てないで、そのままこの額当てが顔と思うておれば良いではござらんか。……ね?」

アン「先生、声が震えてるよ」

リク「………………」

氷鎖女「あわわ」

リク「先生、場所変えようか?」

 

 席を立つ。

 

氷鎖女「……ほっ」

ジェーン「エー? リッくんは興味ないのー?」

リク「うーん。ある!」

氷鎖女「いっ!?」

リク「実にあるけど、やめとくよ。嫌われると困るから」

氷鎖女「ふぅ」

リク「ついてこないでねー」

 

 言い残して、教室を出る。

 

リク「保健室行こうよ、保健室」

氷鎖女「リク、エライ」 ぐったり。

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レイディ・メイディ 45-8

 それでもって本日、午後の授業。教養。ここでもやっぱり……

 

女教官「……………」

リク「……………」

氷鎖女「……………」

女教官「……あの………ヒサメ……さん……?」

氷鎖女「あ、いや、拙者のことはお気になさらず、どうぞ、進めて下され」

 

 生徒のひざの上に乗せられて、何故か授業に参加?している同僚を前に女教官は汗を垂らした。

 

リク「あ、コレはおとなしい生き物なので、大丈夫です」

女教官「………………」

 

 その他の生徒も興味深げに、そちらを見ている。

 

氷鎖女「こ、これ。誰だ、今、髪を引っ張ったのは? ヒトが振り返れないからって」

クレス「ぷっ。クスクスクス」

氷鎖女「おのれか、クレスぅ。後で覚えておれ」

リク「先生、暴れないでよ」

氷鎖女「あう」

女教官「……………」

 

 

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レイディ・メイディ 45-7

 薔薇の騎士団・養成所。

 所長室。

 

氷鎖女「くせ者は取り逃がしました。申し訳ございませぬ」

所長「……………」

 

 所長の太いまゆが跳ね上がった。

 事の次第を報告に上がった新米教官が生徒に抱かれた格好で背中を向けていたからである。

 あちらこちらに草やら土やらをつけっぱなしで。

 

所長「ケガをしたのか。大丈夫かね?」

氷鎖女「いえ。ケガなどは別に」

リク「……………」

所長「足をひねって歩けないのかね?」

氷鎖女「足が床に届けば歩けるのですが」

所長「? 届けば?」

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レイディ・メイディ 45-6

 先日、クロエ救出時に相手をした気味の悪い虫のように酸ではなかったが、無害なものでもなかった。

 殺傷能力ではなく粘着力の恐ろしく強い粘液だったのだ。

 

氷鎖女「それはそうか。意味のないものを攻撃手段にしようもないな。捕えるのが目的であらば、なるほどよい選択だ」

 

 などと感心しておる場合ではなかった。

 幸い、下は枯れ草と土だけだ。

 力を入れて足を引き上げれば、草がちぎれて自由になる。

 

氷鎖女「ちっ。この足で走ることになるか」

 

 靴の裏に草と土がくっついて重い。

 実際に戦闘になったときに文字通り、足を取られてしまいそうだ。

 しかしそれを気にしている場合ではない。

 まだいくつがの目がこちらを観察している。

 捕らえなくては。

 氷鎖女がクナイを森の闇に向かって投げた。

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レイディ・メイディ 45-5

リク「これはッ!?」

 

 生えた草ごと土を割って撒き散らし、姿を現したのは、ムカデに似た姿の巨大な魔物だった。

 

リク「!!」

 

 降り注ぐ土の塊から腕で顔をかばう。

 自分の体を楯して、

 

リク「先生、大丈夫!?」

氷鎖女「うん」

 

 魔物が尾を一振りして攻撃を仕掛けてくる。

 左右に跳んで避ける二人。

 まずは顔にぞうきんの搾り汁と描かれたリクが魔法攻撃を放った。

 

氷鎖女「む。いかぬ、これは……」

リク「うわっ! 跳ね返ってきた!?」

 

 自らの魔力を返されて、驚きながらも転がって逃れる。

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