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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 44-2

 そこまで考えて、突然、プッと噴出す。

 

氷鎖女『クロエ姫! ……似合わぬ。これほど姫君の名が似合わぬ娘が他におろうか!? だって、妄想狂いのイジメッコ。姫君は可憐で優しく淑やかで、忍者を人種差別して捕獲しようと追い回したりしないと相場は決まっておるのだから!!』

「うん、気のせい、気のせい。……あ」

 

今来た道を振り返り、ゴミ箱に目を留める。

 

氷鎖女「いかぬ。感謝状、メモ用紙にはなったか。いい紙だったし、もったいなかったかな?」

 

 戻ってゴミ箱に手を突っ込もうとすると、背後から両手首を押えられてしまった。

 

氷鎖女「お」

 

 振り返れば、通達されていたという生徒たちではないか。

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レイディ・メイディ 第44話

第44話:交換条件

 クロエ誘拐事件がまだ入所して2年の薔薇騎士候補生によって解決されたことは、表立っては発表されなかった。

 正騎士の面子にかかわるという理由で伏せられてしまったのである。

 別段、当事者7名がその処置に対して不満を述べることもなかったので、問題になることもなく、事件は静かに終えた。

 だが、事実は事実として薔薇の騎士団内部書類には明確に書き記され、7名の名は女王の記憶に残されることとなった。

 

女王「クロウディアはよい友人を持ちました。彼らが見事騎士として成長し、これからも彼女を守ってくれたら心強いわ。ねぇ、グラディウス?」

 

 謁見の間で玉座にもたれた女王は、薔薇の騎士団から提出された資料に目を通して、騎士グラディウスに語りかけた。

 

クロエの養父「はい」

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レイディ・メイディ 43-6

 階段を降りると丁度、シラーが取り巻きを引き連れて食堂に向かうところであった。

 現実に引き戻されたアンはモーリーの背中にそっと移動する。

 後ろめたさが彼女に行動を取らせ、シラーの鋭い眼差しに不信感を与えた。

 

シラーの取り巻き「アンも一緒に行くー? 食事」

アン「…えっと…」

 

 後からジェーンが走ってきて、

 

ジェーン「あ、いたいた、こんなトコにぃ。探したのよ」

アン「ジェーン…」

ジェーン「二人で出掛けちゃってヒッドーイ。置いて行かなくてもいいのにー」

アン「お、置いてったワケじゃ」

ジェーン「あははっ。ウソよ。そんなにあわてなくてもわかってるから」

アン「……あ、うん。あは……」

取り巻き「どうするの、早く決めてよ。行っちゃうからね」

 

 先に声をかけたのに後から来たジェーンと会話を始めてしまったアンに苛立ちをぶつける。

 

アン「…………」

ジェーン「ご飯食べるでしょ、アン」

アン「………うん、行こう。…………ジェーン」

 

 アンは自分を、アン=ブラウンを探しに来てくれた、ジェーンを選んだ。

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レイディ・メイディ 43-5

アン「だけど、レイ様とかリク君とかに可愛がられてる! あのクレス君だって、メイディには優しいし」

モーリー「……そうだったっけ??」

アン「ヒサメ先生だって、親しくニックネームで呼んじゃって……」

モーリー「でもあの先生の“ゴールデン”って要するにウンコのことなんでしょ? そう呼ばれたいの?」

アン「ち、違うけどっ! ……や、やっぱヒサメ先生はいいか、どうでも……。そ、それにっ、それに、レク君もクロエもメイディをすぐかばう!! 悪い子なのに守られて……私は地味だから、皆に振り向いてもらえない。そんなの不公平よ!!」

 

 当時、ローゼリッタにかかわらず、西の大陸の国々では金髪が特にもてはやされる傾向にあった。

 奇麗な金髪は美人の要素に含まれており、若い女性にとって一種の憧れなのだ。

 この流行は貴族から始まり、平民の間でも浸透している常識であった。

 鼻が高い、色白、長身細身、金髪……貴族的美人の要素にどれひとつとして当てはまらないアンはいつも嘆いている。

 決して不美人ではないのだが、器量よしでもない。

 恋した相手が絶世の美少年であればなおのこと、悩みは深くなるばかりだった。

 

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レイディ・メイディ 43-4

 授業が終わってすぐ、モーリーはアンをつれ去った。

 

アン「痛い、痛いよ、モーリー! そんなに引っ張らないで。どこ行くの?」

モーリー「トイレ」

アン「どこのトイレよ」

 

 階段を上がって上級生のいる階にたどりつく。

 

アン「ダメだよ、ここ3回生の教室あるとこじゃない」

 

 縮こまって周りを見回す。

 

モーリー「ここのが知り合いもいなくて話やすいと思ってさー」

アン「話?」

モーリー「返したい物、あるんじゃないの?」

アン「え……」

モーリー「……返したい物」

 

 色白の、やや丸っこい手を差し出す。

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レイディ・メイディ 43-3

 こんな騒ぎになっていると知らないほかの生徒たちも、授業開始が近いために、続いて入室してきていた。

 その中にフェイトの姿もあ

 

フェイト「入り口で溜まるなよ。入れないだろ」

 

 けれど、人ごみは動かない。

 

フェイト「ったく、何やってんだか」

 

 悪態をついていると例のお嬢様の声がして、思わず注意を向ける。

 

フェイト「!」

メイディア「お放し、無礼者。汚らわしい手で触らないで」

 

 手も足もでなくなったくせして、高飛車な態度を改めないニセのお嬢様に騒ぎは一層過熱していた。

 ここまできたら、皆の期待通りにお嬢様が謝るか泣き出すかするまで止まりそうもない。

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レイディ・メイディ 43-2

メイディア「?」

 

 教室の空気が変わったことに気が付いたメイディアは、予習のため開いていた教科書から顔を上げた。

 

取り巻き「返しなさいよ!」

 

 シラーを取り巻く太鼓持ちの女の子たちが詰め寄った。

 ……元は、メイディアの周囲にはべっていた連中である。

 

メイディア「? 話が読めませんが、何です、薮から棒に」

取り巻き「トボけないで。シラー様のペンダントよ!」

男子生徒たち「やっぱなー。俺、あの女が怪しいって思ってたんだよ」

      「シラーが困って喜ぶのは、あの女しかいないからな」

 

 男子の一部も混ざって悪し様に騒ぎ立てた

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