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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 43-3

 こんな騒ぎになっていると知らないほかの生徒たちも、授業開始が近いために、続いて入室してきていた。

 その中にフェイトの姿もあ

 

フェイト「入り口で溜まるなよ。入れないだろ」

 

 けれど、人ごみは動かない。

 

フェイト「ったく、何やってんだか」

 

 悪態をついていると例のお嬢様の声がして、思わず注意を向ける。

 

フェイト「!」

メイディア「お放し、無礼者。汚らわしい手で触らないで」

 

 手も足もでなくなったくせして、高飛車な態度を改めないニセのお嬢様に騒ぎは一層過熱していた。

 ここまできたら、皆の期待通りにお嬢様が謝るか泣き出すかするまで止まりそうもない。


▽つづきはこちら

 

カイル「ははっ、ざまーみろだ」

 

 行動を共にするようになった新しい友人カイルの一言で、リクとクレスの停止していた思考が動き出した。

 もちろん、悪意のある発言をかましたカイルは、クレスが杖で殴って成敗。

 

リク「何……やってんの?」

クレス「ずいぶん楽しそうじゃん」

フェイト「………………」

女子生徒「あっ、リクくん! 聞いてよぉ、この女、ヒドイのよぉ」

 

 リクを見つけた女子生徒が、嬉々とした甘えた声で擦り寄る。

 悪者退治をした気分でいるのだろう。

 リクも賛同してくれるものだと信じて疑っていない。

 それを見ていたジェーンは目立たないようにクレスに近寄って袖を引っ張った。

 

ジェーン「ヤバイよ、クレス君。どうしよ、まさか私、ここまでなるとは思ってなくてぇ」

 

 開放的で積極的な反面、根のところでは少々、気の小さいところのあるジェーンは、物事が大きくなってくると急に後込みをしてしまう性格だ。

 どう対応していいかわからなくなってただおろおろしている。

 

ジェーン「そろそろ止めた方がいいと思ったんだけど……」

クレス「それって……僕に止めろって言ってんの?」

ジェーン「男の子でしょ~?」

クレス「こんなときばっか、頼るなよ、も~」

 

 メイディアを押さえ込んでいるのは、体格から見ても赤か青だ。

 まともに挑んだら勝てっこない。

 魔法さえ使えればどうってことはないが、狭い教室で放つわけにもいかず。

 

クレス「……ううっ」

 

 少しばかり躊躇していると背後にいたフェイトが一歩進み出た。

 

クレス「! フェイト」

フェイト「俺はこういうの、好きじゃない」

クレス「ぼ、僕だって好きじゃない! い、今、止めようと思ってたところだっ」

 

 二人が出て行く前にリクが上手いことを言って切り抜けてくれた。

 

リク「そろそろ先生来ると思うんだけど、いいのかな。遊んでて」

クレス・ジェーン『ナイス!』

フェイト「………………」

 

 時計の針は、確かに休み時間の終わりを告げようとしている。

 やがて兵法を教える老教師が現れると蜘蛛の子を散らしたように生徒達は席に収まった。

 床に座ったままの格好のメイディアがゆっくりと顔を上げ、人の壁が消えたそこに想い人がいることに初めて気がついた。

 

メイディア「!!」

 

 みっともないところを見られた!

 恥辱のためにさっと頬に朱が差した。

 

フェイト「……メ……」

 

 フェイトが何か言いかける前に、老教師が近づいて腰を折り曲げた。

 

先生「おや? そんなところでどうしました? 具合が悪いのですか、メイデーさん?」

リク「あの、彼女、貧血を起こしまして……今、保健室に連れて行こうかと」

 

 素早くリクがフォローに入る。

 

先生「そうでしたか。お大事に」

メイディア「いいえ、もう治りましたわ。ご心配おかけして、申し訳ございません」

 

 腕をつかんで立たせようとするリクの手を払って、自ら立ち上がる。

 ロングスカートについた埃を落として、席につく。

 

メイディア「それから、フィリップ先生。ワタクシ、メイデーではなく、メイディアです」

先生「おお、おお、すまんな、メイデーさん」

メイディア「……………いえ」 訂正、失敗。

 

 足元に落ちていたカチューシャを拾い上げて、フェイトも席に着いた。

 離れた場所から表情を窺ったが、彼女は相変わらず澄ました顔で授業にいそしんでいるようだった。

 

フェイト『……気の強い女……』

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