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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 45-5

リク「これはッ!?」

 

 生えた草ごと土を割って撒き散らし、姿を現したのは、ムカデに似た姿の巨大な魔物だった。

 

リク「!!」

 

 降り注ぐ土の塊から腕で顔をかばう。

 自分の体を楯して、

 

リク「先生、大丈夫!?」

氷鎖女「うん」

 

 魔物が尾を一振りして攻撃を仕掛けてくる。

 左右に跳んで避ける二人。

 まずは顔にぞうきんの搾り汁と描かれたリクが魔法攻撃を放った。

 

氷鎖女「む。いかぬ、これは……」

リク「うわっ! 跳ね返ってきた!?」

 

 自らの魔力を返されて、驚きながらも転がって逃れる。


▽つづきはこちら

 

氷鎖女「作られた魔物ぞ」

リク「なんだって?」

氷鎖女「不自然な感じがする」

 

 二人、左右から同時に魔法を放つ。

 しかし、これも弾かれてしまった。

 

氷鎖女「ふぅん?」

   「刀を持ってくればよかったな。そしたら、面倒なく切り捨てられたものを」

 

 つぶやいて首をかしげる。

 

リク「魔法、通じませんね」

氷鎖女「ふぅ。やっかいな」

リク「この魔物、これだけ? スタート地点には皆がいるけど、大丈夫かな」

氷鎖女「平気でござろ。……根拠はないが」

 

 魔物が上体を起こして身をくねらせると、腹が縦に割れてそこから口が現れた。

 並んだ牙を開くと、幾重にもひだのついた赤い口内が見えた。

 

氷鎖女「おおぅ、弱点丸出しでござるぞ! いやん、ばかん!!」

リク「そ、そうだけど、ああいうところって、何かありそうじゃない? 例えば、なんか液を吐き出して………」

 

 言っている間にセオリー通り、体液らしきものが吐き出された。

 これもまた跳んで避ける。

 所々に突き出た岩に降りかかったのを確認したが、クロエ救出時にクレスたちが戦ったあの虫のように酸というわけではなさそうだ。

 

氷鎖女「ばっちぃモンを吐き出しおって。弱点丸だしの間抜けな魔物なら、そこへ魔法を一発お見舞いしてやれ。体内から破壊すればさしもの化け物もたまらぬであろうよ。……できるな? リク」

リク「はい! 俺に任せて下さい!!」

  『先生が俺に……』

氷鎖女「拙者、ああいうばっちぃのキライだから、頼んだでござる」

リク「ええっ!? そういう理由!?」 がびっ!?

 

 任せてもらって喜んだのもつかの間、理由があんまりだとしょげかえる。

 ムカデが体重に任せて上体を倒し、襲いかかってきた。

 

リク「さすがに弱点をいつまでもさらしてこないか」

 

 時計回りに枯れて茶色になった草原(くさはら)を走りだす。

 攻撃を避けつつ、地面を滑らすくらいの低空で打撃系の魔法を放ち、魔物のアゴを上げさせる。

 体が持ち上がったところで、あの大口に渾身の魔法を打ち込む。

 素早く頭の中でシミュレーションが構築された。

 

リク『思った通り、上手く運べばいいが……!』

 

 巨体をうねらせて尾を振り回し、突進してくるムカデの化け物に牽制の魔法を数発打ち付ける。

生徒に戦いの場を譲った氷鎖女の方は、別の気配を追っていた。

 ムカデの化け物を放った奴がどこかにいる。

 今も様子をうかがっている。

 懐に手を入れて、内側に仕込んである楔形の武器・くないを握った。

 

氷鎖女『この魔物が作り物である以上……どこかに操る者がおる。何のため? クロエならばわかるが、リクと俺では何の得もなかろうに』

 

 それとも養成所の人間を捕らえて、“姫”の居場所を探ろうというのだろうか?

 

氷鎖女『その方がしっくりくるな。俺はどうも教官には見えまいし、はぐれた学徒2人を捕えて吐かせようという腹か』

 

 注意深く、周囲を見回す。

 

氷鎖女「……………」

 

 戦いの最中のリクはと言えば、まずは計算どおりに事を進めていた。

 フェイントを織り混ぜた動きでもって翻弄し、牽制の魔法を立て続けに撃って嫌がる相手の隙を作り出し、少し頭をもたげたところで……

 

リク「今だっ! ゆけっ!!」

 

 光の矢を放つ。

 

リク「……そこっ! あがれ!!」

 

 直線に飛んでいった輝く刃は魔物に接近したところで角度を変え、天に向かって伸びる。

 たまらず上体を反り上げた魔物の腹が丸見えになった。

 

リク『よしっ』

 

 続けてトドメの魔法を素早く唱える。

 対抗しようとした魔物も巨大な口から薄黄色の液を練り出し、同時に大きく尻尾を振り回す。

 魔法と液、そして尾が秒速で放たれた。

 リクならば問題ないとした氷鎖女はそちらの戦いに一切、気を配る事なく周囲を探り、ようやくいくつかの気配らしきものを感じ取っていた。

 

氷鎖女『……これか?』

   「いや、しかし………小さい? 人ではないのか?」

 

 いつでもくないを撃てる体勢をとりながら、一歩足を踏み出した。

 

 ……ぐにゅっ。

 

氷鎖女「いっ!?」

 

 何か柔らかいものを踏ん付けて、顔をしかめる。

 足元を見れば、先程、ムカデの化け物が吐き散らした液であった。

 

氷鎖女「なんだ」

 

 そのまま前に進もうとしてつんのめる。

 

氷鎖女「えっ? おっ!? 何だ、これ!? は、外れな……くっついとるっ!?」

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