ヒーローの条件：レイオットの場合。２

あんまり無茶はしないようにって私に言いながら、彼は、足をケガしているのに無理をして私のお人形を取り返してくれたの。

彼は何をも恐れない正義の使者だからこんなの平気だって言ってたわ。

私、感激しちゃって。

そのとき、私もそうなりたいって思ったの。

そしたら彼は薔薇騎士レンジャーになるための条件をこっそり教えてくれたんだ。

常に正義の味方であること。

正しいことが何かを見誤らない目を養うこと。

ちょっとのことでくじけないこと。

強く優しくあること。

ただし……

強いことは必ずしも、目に見えた力だけじゃなくて、心が強いってことだよって一番大切なことを教えてくれた。

強い心は剣にも魔法にも権力にだって勝るって。

……でもね、同時に目に見えた力もあったらいいねって。言ってた。

困っている誰かを助けることが出来るかもしれないからって。

もしかしたら、力が足りなくて悔しい思いをしたことがあったのかしら……？

　他にも何か話した気がしたんだけど、何しろ７、８年も前のことだしねー。

だけど、約束の指きりをしたのは覚えているのよ。

　それから二人は固く抱き合って熱い口付けを……キャーッｖＶ

　……え、９歳で？

　えっと……うん……まぁ、細かいところはいいじゃない。ごほんごほん。

 

 

　私、彼と結婚するわ！

　どこにいるのかって？　うーん？　正義の国……かな？？

　名前？　薔薇騎士レンジャー・レッドじゃないの？

　顔？　マスクしてたから、わからないわよ。

　夢でも見てた？　違うったらぁ！

　レクまでそんな……あくびなんかしちゃって……！

　もうっ！　どうして信じてくれないの、本当なのにぃっ！！

　もういい！　二人に話した私がバカだったわ。

　男にはロマンが必要なのに、二人には欠けてる！！

　ロマンがナーイッ！！

　いいもん、メイディとレンジャーゴッコしてくるから！！

 

 

　私は引き止めていた友人二人を残し、食堂の席を立った。

　私は、薔薇騎士レンジャーを信じる。

私は、薔薇騎士レンジャーになる。

まだまだ、罪ごと人を憎んだり、何でもないことで腹を立てたり、何が正しいかの判断も曖昧だったりと未熟なんだけれども。

　それはこれから学んでいけばいいと思う。

　痛い目に遭いながら。

　まだヒーローまで発展途上！

　レイオット＝ジーエルン、頑張ります！

　アナタに手が届くまで。

 

 

ヒーローの心構え。

1、ヒーローはヒーローだから、ヒーローなの。

2、ヒーローは何者をも恐れない。

3、ヒーローは常に正義の味方。

4、ヒーローはくじけちゃいけない。

5、ヒーローは強くなくちゃいけない。

6、ヒーローは子供の憧れであり続けなくてはならない。

今の所、試験に出るからそのつもりで。

 

 

レイディ・メイディ番外編４

レイオット短編

ヒーローの条件、レイオットの場合。

終　了