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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 45-9

ジェーン「美形?」

氷鎖女「…ぶ……不細工だから、ガッコリするでござるよ? 変な夢見てないで、そのままこの額当てが顔と思うておれば良いではござらんか。……ね?」

アン「先生、声が震えてるよ」

リク「………………」

氷鎖女「あわわ」

リク「先生、場所変えようか?」

 

 席を立つ。

 

氷鎖女「……ほっ」

ジェーン「エー? リッくんは興味ないのー?」

リク「うーん。ある!」

氷鎖女「いっ!?」

リク「実にあるけど、やめとくよ。嫌われると困るから」

氷鎖女「ふぅ」

リク「ついてこないでねー」

 

 言い残して、教室を出る。

 

リク「保健室行こうよ、保健室」

氷鎖女「リク、エライ」 ぐったり。


▽つづきはこちら

 

 残ったやじ馬たちはお互い顔を見合わせる。

 

ジェーン「リク君ってアレよね」

ステラ「ノリ悪い?」

ジェーン「っていうか……」

カイル「気取るなよな、先生の犬めー」

アン「そんな言い方しないで。先生のこと、大好きなんだよ」

 

 氷鎖女をくっつけたリクは堂々と保健室を目指して歩く。

 廊下に出ようが、階段を下ろうが、やっぱり目立つものは目立つ。

 しかし全ての授業が終了していたため、だいぶ見物する目も少なくなって来ていた。

 「妊婦はしんどい」などと笑えない冗談を口にしながら、手すりにつかまって階段を下りる。

 

リク「今日は驚いたよ、先生はやっぱり強いや」

氷鎖女「んー?」

リク「最後の一瞬、先生に勝ったって思ったんだけどなー」

氷鎖女「………」

リク「甘かった。完敗だ」

氷鎖女「………」

リク「俺、先生についていけば、もっと強くなれるのかな」

氷鎖女「………」

リク「強く……なりたいんだ。ならなきゃいけないんだ。だから……」

氷鎖女「そのことだがな、リクよ」

リク「うん?」

氷鎖女「アゴがな?」

リク「アゴが?」

氷鎖女「あ、うんと……レヴィアス殿がな? リクとクレスをぜひに引き取りたいと」

リク「……クラスに?」

 

 思わず足を止めてわずかに驚いたそぶりを見せた。

 

氷鎖女「うん」

リク「それで、先生は何て答えたの?」

氷鎖女「本人に聞いて下されと」

リク「………断ってくれなかったんだ」

 

 また止めていた足を動かして階段を下る。

 

氷鎖女「え、だって……」

リク「……仮面、取るよ?」

 

 急に冷めた目を向けた。

 

氷鎖女「ナゼッ!?」 がびんっ!?

リク「………。嘘だよ、嘘」

 

 またいつもの柔らかい表情に戻る。

 

氷鎖女「な……何やら今、寒気がしたぞ」

リク「気のせい、気のせい♪」

  「……その申し出は、断って下さい。俺は今のままでいいんだ。いや、今のままがいい」

氷鎖女「さよか。ではそうしよう」

リク「はい」

氷鎖女「……でもな。本当に強くなりたいのであらば、レヴィアス殿の方が良いのやもしれぬぞ?」

リク「どうしてそっちを勧めるのかな?」

氷鎖女「拙者は人にものを教えたことなど、これが初めてだし、教えるのが下手でござる」

リク「俺はそうは思わないよ。確かに声が小さくて後ろに座ってる連中は平気なのかなって心配になるときもあるけど。あのーそのーっていうのもだいぶ減ったし。始めはどうしよう、この生き物って思ったけど。時々、止まって窓の外眺め出しちゃうし」

氷鎖女「……あう」

「しかしだな、拙者しか知らぬからそれが普通に思っているだけやも……」

リク「学科は別の教官にも習ってる」

氷鎖女「試しに一度、行ってみては? 他の何かが見えてくるやもしれぬ。一つのものにこだわっては……」

リク「……仮面、取るよ?」

 

 再び冷たい目を向ける。

 

氷鎖女「ま、またっ!? ナゼッ!?」 ブルガタ。

リク「もっと自信持っていいのに、先生は。少なくとも俺はシズカ=ヒサメの元で学びたいんだ。今日、改めてそれを思ったから。動く気はないよ。たぶん、クレスもそうだと思う」

氷鎖女「……………………承知した。ならば、拙者からそう伝えておこう。レヴィアス殿はさぞやガッコリするであろうな」

リク「先生はどうだったの?」

氷鎖女「どうとは?」

リク「俺が……俺たちが…………ううん、いいんだ。何でもない」

氷鎖女「?」

 

 保健室にたどり着き、ドアを開ける。

 

ミハイル「お、ちょうど良かったな。ナイス、タイミングだ。今からクレスを向かわせようと思ってたところだ」

氷鎖女「ということは、調合できたのでござるな!?」

 

 希望に声が弾む。

 

ミハイル「当然だ。俺に作れない薬は………」

氷鎖女「早よぅ、早よぅvV」

ミハイル「……作れない……薬は……………ブッ! ぷくくくっ」

氷鎖女「……………」 ムカッ。

ミハイル「だはははははっ!!! 何だ、ソレ!? 何だ、その情けない格好は!? バッカじゃねーのォ!?」

氷鎖女「指を指して笑うでない!!」 ムッキーッ!

   「早くよこせっ!!」

ミハイル「それが人にモノを頼む態度か? あーん?」

氷鎖女「何をぅ!?」

ミハイル「土下座だ! 土下座しろ!! ……って。おおっとぉ? 土下座すらできないようだなぁ、ヒサメ先生?」

氷鎖女「くっ…このっ…」

ミハイル「はははーだ。……まぁいい、くれてやれ、クレス」

 

 散々コケにして笑った後で、指示をする。

 

クレス「僕に命令するなよ」

 

 文句を言いながらも、できたての溶解液をかけてやる。

 

リク「は、外れた。まだ糸引いてるけど……」

氷鎖女「ふぅ~」

 

 がっくりとひざをつく。

 まったく偉い目にあったものである。

 

氷鎖女「あ。すっこり言い忘れておった」

リク「ん?」

氷鎖女「次の試合、メイディアに勝たないと向こうに行かないといけないような展開になっちゃったから、がんばって」

リク「……………………………」

クレス「なんの話?」

リク「どうしてそういう勝手な約束しちゃうかなぁ」

氷鎖女「だ……だって……アゴ怖くてその……断わりきれな……」 あわあわ。

リク「仮面………」 ゆら…

氷鎖女「……ひょ?」

リク「とってやるっ!!」

氷鎖女「ぬあぁっ!? 助けて、クレス、ミハイル殿っ!!」

 

 クレスとミハイルの周りをグルグル回って大騒ぎ。

 

ミハイル「保健室でっ!! ……暴れるなー!!」

 

 もちろん。当然。当たり前に。

……保健医の雷が落ちた。

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