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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 46-3

 薔薇の騎士団養成所では秋の試験日がやって来ていた。

 10月前半に1回生が。

 10月後半には、数の減った2回生が。

 赤、青薔薇の候補生が校舎から離れた闘技場で剣技を競っている間に、白、黒薔薇の候補生は校舎敷地内で魔力測定。

 相手のない場所へ向かって最大の魔力放出である。

 1位:クレス=ローレンシア

 2位:リク=フリーデルス

 3位、トニア……6位、クロエ……17位、カイル……28位、アン……………ラスト、132位、メイディア=エマリィ=シャトー。


▽つづきはこちら

 

黒薔薇教官1「さすがはクレス、リクの両名。ワンツートップは彼らになりましたな」

     2「あの逸材を育てることができるとは、ヒサメ殿は本当に運がよろしいことで」

氷鎖女「……はぁ」

白薔薇教官「おおっ、ニケ様の所のクロエが急成長ですな。さすがはニケ様」

ニケ「……この間までお尻から数えた方が早かったけどね」

  『さすがは腐っても姫。頭が悪くても姫。王族の血を引くだけはある。完全開放の日も近いか?』

レヴィアス「これは何かの間違いだ!!」

 

 監視室のテーブルを叩いて立ち上がったのは、黒薔薇のレヴィアスだった。

 驚いて教官たちが注目する。

 

黒薔薇教官「いやしかし、レヴィアス殿のところのトニアは3位! さすがに……」

 

 同僚があわてて取り繕おうとするが、レヴィアスはそのまま部屋を出て行ってしまった。

 

白・黒薔薇教官たち「レヴィアス殿のあの慌てよう……」

         「せっかく引き抜いた生徒が魔法の一つも完成させられずに最下位では、形無しだからな」

ニケ「……………」

氷鎖女「……………」

 

 建物を抜け出したレヴィアスは、生徒たちの群れから外れて一人うなだれている金髪の少女を密かに呼び寄せた。

 

レヴィアス「何をやっているのだね、君は!」

メイディア「申し訳……ございません……」

 

 メイディアの手を取り、事前に渡しておいた指輪がないことを確認する。

 

レヴィアス「指輪はどうしたのかね?」

メイディア「……ポケットに……」

 

 小さく脅えて答える。

 

レヴィアス「身につけなさい! そうすれば、君が一番だ」

メイディア「先生、道具に頼っての一番などでは意味がございません。ワタクシはワタクシの力だけでやりたいのです! どうぞ、やらせて下さい」

レヴィアス「何をばかな! それができないから、指輪を渡したのではないか! いいかね? この養成所は魔法の使えない魔法使いなど置いておいてはくれないのだよ? 道具を使ってもバレなければいいのです! とりあえずはこの試験をどうにかやり過ごして、後で穴埋めとして、君が本当の力をつければいいではないか。違うかね?」

メイディア「先生がワタクシを思いやっておっしゃって下さるのはよくわかります。ですけれど、このメイディア=エマリィ=シャトー。家の名を汚すような真似だけは断じて……!」

レヴィアス「では私の名はどうなるのだね。私の栄光は? 私の築き上げてきた名声は? 魔法一つも唱えられない魔法使いを輩出したとあっては、私の教官としての名折れなのだよ! わかるかね、メイディア君」

メイディア「……そっ……それは………それはですから、次こそ、必ず魔法を成功させて……」

レヴィアス「成功させるだけではダメなのだ! 1位だ。君が1位を取らないと、あの二人が手に入らない」

メイディア「あの……二人?」

レヴィアス「家の名だの自分の力だの……それはできるようになってから言いなさい! 今回だけでいい。今回だけは、その指輪を身につけるのだよ、わかったね!?」

メイディア「…………………はい……」

 

 うつむいて聞こえるか聞こえないかの声でやっと返事を返した。

 翌日には筆記試験が待ち構え、またその翌日から2日をかけて、実戦試験が行われるのだ。

 1日目の試験を丸ごと投げてしまったのは痛いが、まだ可能性はある。

 人一倍負けん気が強いメイディアの執念があるならば筆記試験は完璧だ。

 残る実戦試験で、リクまたはクレスを完膚無きまでにたたきのめせばいい。

 試験開始してすぐに巨大な魔力でもって、1発で決める。

 相手に何をさせる前に。

 それで逆転である。

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