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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 46-5

 予想通り、3回戦目にはメイディアに対する攻撃が執拗になり、クロエは結界で防ぐのに手一杯になってしまった。

 攻撃は剣士二人に頼るしかない。

 

フェイト「勝つぞ、ダレス!」

ダレス「おうよ!」

 

 二人、左右に別れて同時に走りだす。

 

フェイト『メイディアに……!』

 

 剣と剣が合わさる。

 

フェイト『彼女に自分のせいで負けたと思わせたらダメだっ!!』

 

 弾いてさらに剣を早く突く。

 

対戦相手「つっ……強い!」

フェイト『絶対に………っ!』

 

 息もつかせぬ攻撃を速く、より早く繰り出す。

 

フェイト「勝つ!!」

 

 相手の剣を空高く弾き飛ばす。

 

試験官「3回戦、Aブロック! 勝者、A-4!!」


▽つづきはこちら

フェイト「か……勝った……」

ダレス「超ギリ」

 

 二人の剣士が胸の奥から深く息を吐き出す。

 

クロエ「ふ~う、ご苦労様、二人とも」

メイディア「…………申し訳ございません……」

フェイト「気にするな」

ダレス「あー…そうお嬢さんに謝られっと調子狂うなぁ……ま、オトリ作戦と思って、勤めてくれよ。こんな作戦も悪くないって。そっちに敵さんが気をとられているうちに俺らは自由に動き回れるってもんだ」

 

 メイディアの敵と豪語してはばからないダレスが珍しく気を使った言葉をかける。

 けれど彼女の曇り顔が晴れることはなかった。

 

フェイト「次で最後か。相手は……」

クロエ「リクとレクが入ってる!」

ダレス「あっちゃ~、ダーメだこりゃ」

フェイト「何言ってるんだ、勝てる。勝つぞ」

ダレス「つったってよー。リクっつったら、何か天才だのなんのって騒がれてるイケ好かねーヤローだろ? そんなのが後ろに構えてて、前方にはレクだろ?」

フェイト「…………そうだな」

 

 レクは2年目に入って急激に力をつけ始めている。

 物心付いたころから剣を扱っているエリート剣士・フェイトでさえも1本をとられたことがある。

 じりじりと追い上げてくるその底力は侮れないものがあった。

 

フェイト「それでも勝つのは俺たちだ」

ダレス「今回はやけにこだわるな」

フェイト「……別に」

 

 しょぼくれるメイディアにちらりと視線を走らせ、

 

フェイト「いつだってこうさ。俺は負けるのが嫌いでね」

メイディア「…………」

     『ワタクシだ………ワタクシのせいでこんなことになっているから……』

 

 フェイトは彼女に自分のせいと悟らせまいとして勝ちを急いでいた。

 最後に「なぁ、大丈夫だっただろ」と一言、添えてやれば不安も晴れると考えたのだ。

 けれどメイディアの方ではますます自分のせいで彼が勝ちにあせっているのだと感じていた。

 勝ちたい気持ちが強くあったとしてもあまり表に出さないタイプのフェイトであったから。

 

ダレス「それにしても噂のヒサメクラスかよ。あのクラスの黒薔薇がチームにいると苦戦するよな」

フェイト「ああ。あの狙いの正確さはハンパじゃない。体勢を崩しても構わず撃ってくるしな」

クロエ「魔法と魔法の間にかかる時間も短い。魔力を練るのが早いってことよ。それに皆、積極的っていうか……攻撃的だよね。魔法使いは後ろってセオリーなのに……」

フェイト「前衛に混ざっていることがあるからな」

メイディア「……リクも……リク=フリーデルスも前衛で来ます」

フェイト「何故、言い切れる?」

メイディア「わかりませんけど………彼は、型破りだから」

フェイト「どちらにしても、一筋縄じゃいかない相手だ。全力で当たるぞ」

ダレス「よっしゃあ!」

クロエ「うんっ!」

 

 第4回戦。

 予想通り、リクは前衛に立っていた。

 しかも剣士であるレクたちが後衛である。

 

ダレス「どういうつもりだ!?」

フェイト「どういうつもりでもいい! やるぞ!!」

 

 開始の合図があってすぐにリクが光の魔法を唱えた。

 ダレスは開始すぐの不意打ちに対処しきれず、まともに食らって吹き飛んだ。

 リクが前衛にいることでこの自体をとっさに予測できたフェイトは構わず走り寄り、剣を振った。

 だが、そのリクがすぐさましゃがんで、背後からレクが飛び出すことまでは予想していなかった。

 仲間の肩を踏み台に利用して、フェイトを高く飛び越え、後ろに着地。

 

フェイト「!!」

    『せ、背中を取られっ……』

 

 慌てて振り向いたときには剣が目前に迫っていた。

 

フェイト「うおっ!!」

 

 間一髪のところで身を引いて、辛くもこの速攻を逃れた。

 

フェイト「はぁっ! はぁっ!」

 

 開始して1分。

 すでに全身を冷たい汗が濡らしていた。

 吹き飛んだダレスは場外になるギリギリのところで何とか踏みとどまってくれ、ダメージは大きいようだが剣を構えることはできていた。

 だが、相手の速攻はまだ終わっていない。

 肝を冷やされたフェイトはレクとリクに挟まれてピンチは続く。

 もう一人の剣士はダレスにトドメとばかりに走り寄る。

 彼らは戦力外のメイディアを狙うのではなく、逆に利用してきたのだ。

 白魔術のクロエは何もできないメイディアを防御するために身動き取れない。

 よってクロエ、メイディア両名はこの際、無視。

 先に潰すべきは剣士二人だとリクがチームメイトに告げたのだった。

 フェイトはこの作戦によって、最強の黒魔術師と近頃、上位に食い込んできた成長真っ只中の剣士二人を相手取らなければならなくなった。

 目を回しかけているダレスにはもう一人の剣士が詰め寄っていたが、フォローをしてやれる余裕もない。

 相手の白魔術師は仲間に対しての補助魔法を強化している。

 悔しいが、完璧だ。

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