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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 46-4

 実戦試験日。

 校舎から離れた闘技場に4種の薔薇候補生たちが集まる。

 ギリギリ直前まで、メイディアは迷っていた。

 2回生の試験は、チーム戦だ。

 魔法を唱えられなければ、メンバーに迷惑がかかる。

 敬愛するレヴィアス先生の顔に泥を塗る。

 自分が恥をかくだけでは済まされない。

 また落第ですめばよいが、魔法を使えない魔法使いなど養成所は預かっていてくれないだろう。

 家に帰されれば、嫁ぐ以外に道がなくなってしまう。

 けれど自分は卑怯な真似だけはしたくなかった。

 シャトー家の誇りにかけて。

 多くの圧力に押し潰されそうになりながら、指輪を指にはめては抜き取ってという仕草を神経質に繰り返す。

 そんなところへチームとして組むことになる青薔薇のフェイトが近づいてきた。

 

フェイト「こんなところにいたのか」

メイディア「!!」


▽つづきはこちら

メイディア「!!」

 

 あわてて指輪を手の中に隠す。

 

フェイト「……!」

 

 視線がメイディアの握り締めた手で止まった。

 

フェイト「……魔法が使えないと、聞いたけど」

メイディア「使えますわ! 1次試験では、周りの方々に譲って差し上げただけです。初めからワタクシがトップを占領したら面白くないと思って!」

フェイト「……ふっ」

メイディア「んなっ!? 何がおかしいんですの!?」

フェイト「いや、とことん強気だなと思ってさ」

 

 クラス中を敵に回して土下座させられそうになっても、なお強がってみせた彼女に少し、感心しているところだった。

 レクに叱られたことから、嫌な女としか見ていなかった彼女を別の視点で見るように努めてみれば、悪いところだけでもないような気がしたのだ。

 何かあるとすぐに涙で訴える女の子よりは、逆に突っ掛かってくる方がもしかしたら付き合いやすいのかもしれない。

 

メイディア「……………」

 

 けれど当のメイディアはその言葉を聞いて、急に沈み込む。

 

フェイト「?」

メイディア「強気だけで済むことならば……いくらでも勝ち気になれますわ」

フェイト「魔法……使えないんだろ? それはそれでいい。俺とダレス、それにクロエがちゃんとフォローする」

メイディア「クロエ……」

 

 はっとして顔を上げる。

 

フェイト「クロエは白魔法も剣も扱えるのは知っているだろ。頼りになる。君は余計な心配はしないで、身を守ることだけ考えていればいいから」

メイディア「つまりそれはっ!」

 

 手の中の指輪を痛いくらいに握り締めて、突然いきりたつ。

 

メイディア「つまりそれは、ワタクシのような役立たずはいなくとも! クロエが2人分の働きをするからどうでもいい! そうおっしゃるワケですのね!?」

フェイト「へ? いや、そういう意味じゃ……」

    『何で俺が怒られているんだよ、心配するなって言ってるのに……』

 

 やっぱり嫌な女だ。

 だんだん腹が立ってきた。

 

フェイト「うるさいな。ああ、そうだよって言えば満足か? 作戦は君抜きでもう3人で話し合いをしてある。君が魔法を使えなくても勝つためのフォーメーションだ。君のやることはただ自分の身を守ることだけ。俺たちは攻撃に重心をおくことに決めたからな。そこに専念してくれれば、俺たちは勝てる」

 

 3人で作戦を立てたのは本当だ。

 けれど魔法を唱えられないメイディアがその場にいると肩身が狭くなると思って外したのである。決まった後で伝えればいいと思っい、そのためにフェイトが来たのだ。

 悪意ではなかった。

 

メイディア「何ですって!?」

     「よーくわかりましたっ! ではワタクシも勝手にさせていただきます! 試験はどうぞ、3人でお挑み下さいませ!」

フェイト「んなっ…! おい、こら!!」

 

 きびすを返して人の波に紛れ込んでいってしまったメイディアを呼び戻そうとするが、もうどこにいるのかもわからない。

 

フェイト「…ちっ。まぁいい。試験のときには出てくるだろう」

 

 後から追ってきたクロエとダレス。

 

クロエ「どう? 仲直りできた?」

フェイト「仲直り? 別にケンカなんかしていないけど」

クロエ「そのためにフェイトを行かせたのに」

フェイト「はぁ? 変な気を利かせるのやめてくれよ。俺たちは別に何っていうワケでもないんだ」

ダレス「お嬢さんどこいったよ?」

フェイト「俺たちが3人で決めたことが気に入らなくてどっか行った」

 

 不機嫌に答える。

 

ダレス「どうせそうなると思ってたぜ。放っておけ」

クロエ「ちょっとぉ! またフェイトが怒らせたんでしょ」

フェイト「どーしていつも俺のせいになるんだ」

クロエ「メイディが怒ったら、80%はフェイトのせいだってレクが言ってたわ」

フェイト「なんだよ、それは」

 

 チームワークがバラバラのまま、対戦を迎える4人。

 けれど本番になれば、メイディアはフェイトに言われた通り、相手の攻撃を避けるだけに専念してくれていた。

 時々、ポケットに手を入れる仕草を見せ、フェイトはそれが気になったが、結局何事もなく終わる。

 彼女が余計なことをしなかったお陰か、今のところは順当に勝ち進んでいる。

 しかし3回戦にもなってくると、本当に魔法を使えないことが周囲にもわかってくる。

 初めは魔法を撃つ機会を狙っているものと警戒されていたが、どうやらそうではないらしい。 となれば、集中砲火しかない。

 対戦前のグループがこちらを……いや、メイディアを指さして含み笑いをしている。

 

フェイト「……マズイな。気づかれてる」

ダレス「そりゃそうだろうよ。チャンスがあっても撃たないんだから」

クロエ「気づかれても勝てばいいのよ! ヘーキ、ヘーキ♪」

フェイト「ふっ、違いない」

ダレス「ちぇ。誰かさんのお陰でよー」

クロエ「気にしないで、メイディ。ドンマイよ。私たちに任せて」

メイディア「………………」

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