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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 46-7

ナーダ『さすがだわ、クロエ=グラディウス……。私はあの子こそをこの手で育ててみたかったわね。白薔薇なのが残念よ……』

 

 懐に入られたリクは杖を横にして、クロエの剣を耐える。

 

クロエ「うふふふふ。ここまでよ、リクゥ~! よーくーも、やってくれちゃったわね~」

リク「やあ、クロエ。これで勝ったと思われちゃ困るよ。俺にもささやかながら、負けられない理由っていうのがあってね」

 

 男の力で少女の剣を弾くと、リクも腰の短剣を抜き放った。

 剣士でなくとも武器の選択は自由である。

 大抵の魔術師は直接戦う術を持ち得ないため、杖だけで挑むものだが、中には稀に両刀の者もいる。

 養成所以前に身につけた者たちである。

 クロエは幼い頃から剣一筋で、養成所にも赤薔薇を希望していたくらいだ。

 それが白魔法の才能を見出され、希少で騎士団も欲しがっている白魔術を習うことになったに過ぎない。


▽つづきはこちら

 一方、リクの方は養成所に入る前、身寄りのない彼を一時的に預かってくれた神父から、生きる術として少しの魔法と少しの剣術を教え込まれていた。

 いくら天賦の才があったとしても、それは本当に短い期間だったので、長年、剣と親しんできたクロエに敵うべくもないが、少しの時間稼ぎくらいはできる。

 

リク『ただし、クロエが次の魔法を唱える暇を与えてくれればだけど……』

 

 彼女の攻撃を受けるので手一杯だ。

 よしんば、この至近距離で魔法を放っても、彼女ならば白魔法で防ぎ切るであろう。

 レクと同じように、1年前のクロエではない。

 

リク『だけど俺にも白魔法の加護がついている!』

 

 ちらりと目線を滑らせば、そこには頼りになる白薔薇魔術師が……

 

リク「ええっ!?」

 

 頼りになるはずの白魔術師が横たわっていた。

 頭に大きなタンコブを作って。

 

リク『フェイトにやられた!? いや、ダレスに…??』

 

 しかし二人は剣士同士でレベルの高いしのぎ合いの真っ最中。

 とても他に気を回している余裕などありそうになかった。

 だとしたら、答えはひとつ!

 

リク『メイディアの魔法が復活したんだ!』

 

 しかも先程、自分が成功させた連続技を防ぎ切ったことになる。

 

リク『なるほど、万全の彼女ならば、確かにそのくらいやってのけるかもしれない!』

 

 新たな敵と認め、リクは神経を集中させた。

 が、彼の予想は外れていた。

 

リク『どこから来る!? ……ダメだ、クロエ相手では次が来たら防げな……』

  「うわっ!?」

 

 クロエの猛攻に対し、防戦一方になっていたリクが何かにつまづいた。

 いや、つまづいたというよりは文字通り、足をつかまれたのである。

 

リク「わっ、わっ!?」

 

 よろけて尻餅をつく。

 何か柔らかいモノの上に。

 ぎゅむっ。

 

リク「……ハイ?」

 

 それが何だったかを確かめる前に、クロエの剣の切っ先が目の前に突き付けられた。

 

クロエ「はい、リク=フリーデルス、とったりぃっ!!」

リク「…う」

 

 真剣を使った訓練試験では、当然、寸止めをされたら負けである。

 魔法の場合は失神した時点で負けだ。

 

リク「ゴメン、みんな……」

 

 これでリクと白薔薇生徒は再起不能として、戦いの場から身を引かなければならない。

 自分の足をもつれさせた正体を見てみると、ボロぞうきんになったメイディアだった。

 

リク「……ウソ」

 

 彼女の魔法は復活などしていなかった。

 リクの魔法を防御なしに受けてもまだ精神をつなぎ止めていたのである。

 

リク『連打したから一つ一つが軽かったのか? だけど……』

 

 恐るべき精神力だ。

 はいつくばって少しずつ近づき、それぞれの戦いに集中していた白薔薇の生徒に突然襲いかかり、杖で頭を殴った上、背後から音もなくリクに忍び寄ったのである。

 メイディアという存在はすでになくなったと考えていたリクも白薔薇の生徒も一切の注意を払っていなかったのである。

 まさかあの魔法を受けて失神しないとは誰も思うまい。

 ひょっとしたら、一瞬くらいは気を失っていたかもしれないが、審判がそう判断しない限りは有効なのである。

 そのメイディアもリクが勢いよく上に乗っかってしまったせいでとうとう、精神の緒が切れた。

 目を回してそのまま立ち上がることはなかった。

 残るは、剣士4人と白魔術師1人。

 始めは不利とされていた方が一人多く残っている。

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