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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 46-6

クロエ「ああ、このままじゃ……」

メイディア「クロエ、行って、彼らを助けてあげて下さいな」

クロエ「ダメよ! 相手はそれも狙ってる!」

 

 そう。

クロエが少しでもメイディから離れようものなら、次に容赦なく狙われるのはチームの弱点であるメイディアなのだ。

 

メイディア「ワタクシは大丈夫です。チョロチョロ動いて、当たらないようにしますから」

クロエ「無理よ! 命中率に定評あるリクが相手なのよ!?」

メイディア「1人欠けても、さらに相手を減らせばすむこと! ワタクシのために負けるなんて嫌です」

クロエ「…………そんな……メイディのせいじゃ……」

メイディア「このままでも負け。それなら賭けてもよろしいではございませんの」

クロエ「賭け……」

メイディア「よろしくて? リクよりあなたの方が接近戦では、上です。今、駆け出して行って、彼の魔法を唱えさせないようになさって。ワタクシは………」


▽つづきはこちら

 

 話を聞き終えて、

 

クロエ「……わかった。勝とう、メイディ」

メイディア「ええ」

 

 クロエが結界を解いて走りだした。

 

リク『仲間の危機にしびれを切らしたか。ここまでは予定どおり。クロエ、君が白魔術師でありながら、剣を扱って戦えるというその長所……利用させてもらうよ』

 

 クロエの後ろ、取り残されたであろうメイディアに向かって魔法を放つ。

 

リク『……悪いね、俺も負ける訳にはいかないんだ。先生の、ヒサメ先生の側にいるためには……』

  「勝利の2文字が必要なんだよ!」

 

 メイディアがいかに逃げようと避けきれないくらいの数の魔法を同時に放つ。

 

クロエ「そっ、そんなっ!! あの数の魔法を!?」

   『メイディア!!』

リク「よし、成功したっ」

  『見ててくれたかな、ヒサメ先生……!』

 

 

 その頃のヒサメ先生。

 

氷鎖女「ご覧あれ! 針を駆使して作りました、折り鶴でござい♪」

 

 採点用紙の端を千切り、ミクロサイズの折り鶴を作って悦に浸っていた。

 

ナーダ「アンタ、ちゃんと見てなさいよっ!!!」

氷鎖女「あああっ、そげに叫んでは飛ばされてしまいまするっ。……って、あっ、なくなっちゃった……」

ヴァルト「飽きるのはわかるが後少しで終わるから、おとなしく見ていないとホラ、怖いお姉さんが睨んでいるぞ?」

ナーダ「誰が怖いオバサンだっ!?」

 

 胸倉をつかんで揺さぶる。

 

ヴァルト「言ってない、そこまでは言ってない」

ナーダ「私はねぇ、アンタのことも睨んでいるのよ!! 飽きるのはわかるがって、わかっちゃダメでしょうよ! 生徒達は未熟なりに一生懸命なんですからねっ! 何だってアンタたちはそうなのよ!!」

ヴァルト「ヒサメ殿と一緒にされては困るな」

ナーダ「どこが違うのか説明しなさいよ」

ヴァルト「……………さて。この戦い、どうなるかな」

 

 言葉に詰まって、急に真面目な態度をとってみる。

 んが。もちろん、これが通用する訳もなく、次の瞬間には名簿の角で叩かれるハメになるのだが。

 

ヴァルト『何故だ…!? 何故、遊んでいたヒサメではなく、フォローした(つもり)の俺が一人で叩かれなければならん!?』

 

 他の教官たちはそんなやりとりも目に入らないほど、決勝戦に夢中になっている。

 これが本来あるべき光景なのだが、それにしても彼らからしてみれば目が離せない展開になっていた。

 これまでの2回生のレベルではないのだ。

 リク個人だけではない。

 作戦、配置どれをとっても見事としか言いようがなかった。

 これもリクが中心となって立てた内容ではあるが、机上の論法だけでは成り立たない。

 優秀なチームメイトあってこそ。

 得にリクとレクの呼吸の合い方は絶妙だった。

 教官たちにどれだけ正しく理解してくれた者がいるかはわからないが、二人の呼吸に際しては、両者がすごいのではない。

 レクが飛び抜けて優れているのだ。

 相手がリクでなくとも彼は同じだけ呼吸を合わせることができていたであろう。

 地味で一見、わかりづらいがここで注目すべきは、リクの立てた少し無茶な作戦注文にもしなやかに対応できる、レク=フレグリットの能力なのである。

 かませ犬に思われている相手方とて、ただ劣っているのではない。

 メンバーを一人欠いたと等しい状態でそれでもよく持ちこたえているのは称賛に値すべきことだ。

 決勝まで勝ち上がってきたこのチームでなければ、なし得なかったであろう。

 中でも囲まれながらも何とか対応している、フェイト=ウィスタリアの剣技が光っていた。

 そこへ白魔法使いのはずのクロエが参戦。

 メイディアを心配して振り返ろうとしたが、あの魔法の連打を食らってはいくら力を加減されたとしても失神は免れまいとあきらめた。

 それよりも今は目の前の敵を倒すことに専念しなければ、全滅させられる!

 クロエの判断は正しかった。

 相手をするリクとしては、心の優しい彼女が仲間の危機に気をとられることを期待したが、そう甘くはなかったというところか。

 優しいことと甘いことは別物だと彼女はわかっている。

 戦士の基本をわきまえている。

 白薔薇とは思えない動きで狙いすまされた魔法をかわし、クロエは接近戦にまで持ち込んだ。 いきなり形勢逆転か?

 教官たちがあっと息を呑む。

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