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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 46-8

レイオット「この戦い……どうなる?」

 

 Bブロックで危なげなく勝ち進んだレイオットは、その様子を観戦して腕を組んだ。

 

クレス「ま、どっちが来てもひとひねりだけどね」

 

 鼻先で笑い、クレスが応じた。

 

レイオット「それもそうね。あれだけ傷ついちゃ、悪いけど、私たちの敵にはならないわ。万全なら話は別だけど」

 

 こうなれば決着はすぐだと思いきや、先にA-4のダレスが敗北を喫してしまった。

 

ナーダ「これで2対2。勝敗はわからなくなったわね」

 

 戦いがよく見える場外の位置に設置された教官席でナーダがつぶやいた。

 

ヴァルト「いや、恐らくA-7の勝ちだろう」

 

 しっかりしたアゴをなでながら、ヴァルトが答える。


▽つづきはこちら

 

ナーダ「なぜ?」

ヴァルト「途中までレクとリクを相手にしていたからな、フェイトは息があがってもうもつまい。奴のスタイルは速攻型。長期戦には割にもろい」

ナーダ「そうなるとクロエが先に相手を倒して、フェイトに加担しないと無理ってことか」

ヴァルト「そういうことだ。思わぬアクシデントに2人やられはいるが、A-7は綺麗な試合運びをしている。比べてA-4は弱点を抱えて無茶な戦いだ。運というロープの上に辛うじて立っているだけにぎんさ」

 

 テーブルに両肘をついていたのをやめて、椅子の背もたれに体重を預ける。

 ヴァルトが予言したように、ある一定の線を越えるとフェイトの動きが目に見えて緩慢になってきた。

 そこを逃すレクではない。

 どんどん踏み込んで相手を攻める。

 

レイオット「……決まりね」

 

 フェイトの剣が手から離れて宙に弧を描く。

 真っ赤な夕日を受けて、微動だにしないレイオットの足元に突き刺さった。

 

レイオット「相手はA-7」

 

 ふっと余裕の笑みを漏らし、敗者の剣を地面から抜き取る。

 

レイオット「ま、予想どおりというところか」

 

 戦いの場は1対2。

 まだ余力を残したレクの参戦によって、クロエが陥落した。

 決着。

 勝利の女神はA-7に微笑みを向けた。

 

レイオット「ごくろうさま」

 

 悔しさを滲ませて舞台を降りた少年に剣を放る。

 

フェイト「……どーも」

 

 この後、休憩を挟んでB-1に挑んだA-7だったが、5分と持ちはしなかった。

 試合開始と同時に魔法を放ったのはリクもクレスも同じだったが、クレスは四方八方、どこかしこに連打しまくったのである。

 まるで一人で全員を相手にするかのごとく。

 この展開には、A-7も面食らったのは言うまでもない。

 だが、一見、目茶苦茶なこの魔法の連打にも法則があり、もちろん事前にチームで決めたことだった。

 どこに魔法を落とすか。

 いつ破裂するか。

 それを計算した上で、剣士二人が降り注ぐ魔力の雨の中を狩人のように突き進み、防御一辺倒に陥ったA-7を片っ端から抑え込んでいったのである。

 クレスの一分の狂いもない計算と魔法コントロール、それを信頼して場に踏み出すレイオットたちの勇気が可能にした大胆な速攻戦である。

 全ての試合を観終わると、教官たちの間の空気は興奮のるつぼと化していた。

 

教官たち「強い! 強すぎる、レイオット=ジーエルン!! クレス=ローレンシア!!」

    「今回の2回生は一体、どうなっているんだ!?」

    「数年に一度は何故か粒がそろうな」

    「久方ぶりの興奮だ!」

    「3回生……いや、4回生とやらせても遜色ないぞ」

 

 興奮の波は当然、この人間にも及んでいた。

 レヴィアス=ホールスト。

 

レヴィアス「…………お…おおお……!」

     『欲しい……! ぜひに!』

 

 いつの間にか立ち上がって拳を握り締めていた。

 汗が額を伝い落ちる。

 夢中になる彼を現実に引き戻したのは、氷鎖女がそっと席を立ったからである。

 メイディアは負けた。

 それもとうとう最後まで一つの魔法を撃ちもせずに!

 約束は、メイディアが勝ったらリクとクレスを貰い受けるということだった。

 歯軋りをして簡易テーブルに拳を叩きつけると、レヴィアスは閉会式を待たずに本館の医務室へと向かった。

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