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レイディ・メイディ 46-9
2008.07.05 |Category …レイメイ 46-48話
ミハイル「お。これはレヴィアス殿。生徒さんを見舞われにいらしたか」
試験中は忙しく、応援に駆けつけた白薔薇正騎士と共にケガの手当に追われている赤髪のミハイル保健医が迎えた。
レヴィアス「ウチのメイディア=エマリィ=シャトーは?」
ミハイル「端に転がっていませんか?」
見向きもせずに適当にあしらう。
今は一人にかまっている場合ではないのだ。
▽つづきはこちら
敬愛する師の声を聞いてメイディアが目を覚ました。
メイディア「レ、レヴィアス先生……」
ミハイル「目が覚めたのなら、もう戻れよ。医務室がパンクしそうだ」
メイディア「は、はい」
体は打ち身のために軋んだが、外傷は大したことはない。
起き上がり、横たわってうなっているケガ人を避けて、出入り口に立つレヴィアスの元へと急いだ。
メイディア「先生、申し訳ございません、やっぱりワタクシ………」
目を合わせられずにうつむく彼女の頬に骨張った手の甲が見舞われた。
乾いた音が医務室に響き、少女はケガ人の上に尻餅をついた。
カイル「ぐえぇっ!」
驚いてその場の空気が静まり返った。
メイディア「先生……」
赤くなった頬を押えて見上げる。
レヴィアス「あれほど……あれほど、言ったのに! どうして君は私の言うことの一つも聞けないのだね!? 私の指示に従えん生徒などいらん!!」
メイディア「申し訳ございません、次は……次こそは……!」
レヴィアス「次などない!! 君は退学だ!!」
ミハイル「……………」
カイル「……………」
メイディア「お待ち下さい、レヴィアス教官っ! ワタクシをお見捨てになりませんよう…! どうか……どうか……!」
レヴィアス「残念だが、メイディア君。私に君を引き上げる気などない。クレス君かリク君をプレゼントしてくれるのであったなら、話は別だったのですがね」
ミハイル『……? 何の、話だ?』
メイディア「つまり………それは………今回のことは………彼らを………」
『引き抜くために必要だった勝利?』
そのために魔力のこもった指輪を使うように指示をした?
茶番を演じさせるために!
メイディア『ワタクシの……ワタクシの……誇りは………』
レヴィアス「荷物はまとめておきなさい。近日中に沙汰が下るでしょう」
すがりつかれた足を引き抜いて、レヴィアスは医務室から立ち去った。
メイディア「…………………」
誰も、哀れなお嬢様を笑わなかった。
それほど教官が冷たかったのである。
白の正騎士たちまでもが息をひそめて、視線を交わし合っている。
ミハイル「まぁ、あれだ」
沈黙を破ったのは、保健医ミハイルだった。
ミハイル「そういうときもある。どうだ? これでも飲んで少しは……」
赤い液体の入った瓶を差し出すと、すかさずカイルが突っ込んだ。
カイル「先生、お酒勧めちゃダメじゃね?」
ミハイル「なっ、何を言う! これは酒ではない!! 飲めば愉快な気持ちになれる百薬の長だ!!」
カイル「もっともらしくごまかさないでよ、先生。飲めば愉快な百薬の長って要するに酒じゃん」
ミハイル「酒ではない! イケてる薬だ!!」
カイル「だいたい、保健室にそんなのあるのがおかしいよ」
ミハイル「しょ、消毒に使うんだぞ、コレは! ……胃のな」
カイル「酒じゃん!」
ミハイル「違う!」
カイル「薬じゃん!」
ミハイル「酒だ!!」
カイル「……ホラ」
ミハイル「………あ。」
「…お……お前、なかなかどうして……可愛くないガキだな」 ひく……
カイル「3つ4つしか変わらないアンタにガキって言われたくないぜ、ガキ」
ミハイル「お前の手当てナシ」
青筋を浮かべて指を突きつける。
カイル「ナニィ!? 職務怠慢だっ!! インチキ保健医め」
ミハイル「うるせぃ、病気に見せかけて殺ルぞゴラァ!!」
カイル「うわぁ! インチキ保健医が怒った!! インチキインチキー!!