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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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みやまよめな:13

 相手は16人。

こちらは齢(よわい)15の小童(こわっぱ)唯一人。

 結果は火を見るより明らか。

 ……の、ハズ……だったのだが……

 都が両手を顔に当ててうずくまっているたった5分間の間に、事は済んでしまっていた。

 ほんの少し前まで森を騒がせていた、剣の激突する音や足音、悲鳴…………。

 それらは跡形もなく消えうせている。

 恐る恐る指の隙間から、周囲を見渡す都。

 

都「……ひっ!!」

 

 辺り一面に広がった血の海を目の端に捕らえ、

 

「は、ああ~…………」

 

 目を回し、気を失ってしまう。

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みやまよめな:12

社「仕方ありませんね」

都「何が仕方がないものですか」 ふんっ。

社「そのようにムクれないで下さい。まるで子供のようですよ」

 

 クスクスと笑う。

 都、余計に怒ってそれにも答えない。

 

社「さ、ではしばらくは私がおぶって行きましょう」

 

 目の前にしゃがむ。

 

都「……でも」

社「大丈夫です。……さぁ」

都「重いですよ?」

 

 言いながらも、その背におぶさった。

 

社「何の何の」

 

 姉を背負ったまま、山道を黙々と歩く社。吹き出す汗は、都がそっと拭ってやる。

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みやまよめな:11

都「部屋にお帰りなさい。いくら姉、弟といえど、このような夜更けに女子の部屋を訪れるものではありません」

社「姉上」

都「……ん?」

社「姉上が合意して下さらなくとも、社は………」

 

 持って来ていた真剣をスラリと抜き放つ。

 

都「!!」

社「社は貴女様をお連れ申す」 目を薄く開く。

 

 刀は月明かりに冷たい光を放った

 

都「……ひゃっ!?」

 

 切っ先を目の前に突き付けられて、思わず小さく悲鳴を上げ

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みやまよめな:10

都『………嫌…………あんな………』

 吐き気と目眩に襲われてよろめく

 

父「2、3日中にここを出て行けよ」

都「2……2、3日中っ!!? それはあまりに急な……」

 

 驚いて顔を上げる。

 

父「善は急げじゃ。この父の親心、無駄にするでないぞ」

都「…………………………」

父「どうじゃ、嬉しかろう? どうした、もっと嬉しい顔をせぬか。女子(おなご)の悦びは嫁ぐことであろうが」

 

 今日は珍しく上機嫌。

 恐らく、前から狙っていた権力が手に入ると思っているに違いない。

 

都「……はい……」

 

 消え入りそうな声で返事をし、頭を下げてから退室。

 部屋の前で待っていた社が駆け寄ってくるが、何も言わず、うつむいたまま自室へ行く。

 

社「……………………………」

 

 それを目で追う社。

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みやまよめな:9

社「……………………」

都「父様は心が病んでおいでなのです。あれ程、愛された母様に先立たれてしまってきっとお寂しいのでしょう。許しておあげなさい」

社「だからと言って、姉上に当たっていいという道理はございません!! 当たられるのならば、この社にすればよいのです!! 社は男子(だんし)ですし、まま受け入れるようなことは致しませぬ。父上をぐぅの音も出ない程に言い返してやりますに」

都「社……」

社「一番寂しい想いをしているのは姉上の方ではございませぬか」

 『毎日……、泣いてばかり……』

都「……………………」

 

 その言葉を聞き、不意に立ち止まり、振り返る。

 

社「ん?」

 

 一緒に足を止める。

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みやまよめな:8

 都がもう寝るというので、椿はまた衣類を持って廊下に出る。

 障子を閉めて、一息つく。

 

椿「都様……、あんなにやつれて、お可哀想に。お館様は何が気に食わないのかね? あんなにベッピンで優しくて、オマケに町人の救いの神さんじゃない」

 

 憤慨(ふんがい)。

ドスドスと怒りにまかせて歩く。

 

椿「皆が姫様、姫様って慕うから焼き餅だろか?」

 

 いきなり背後から、荷物を取り上げられ、

 

椿「あっ!?」

 

 振り向くと、そこには社。

 

社「これこれ、椿。父上の悪口を言って聞かれたらどうするつもりだい?」

椿「あっ!! やっ!! あのっ!! その…………」

 

 大パニック。

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みやまよめな:7

都「うっ……ううん……」

 ハッとして、社「……いかがされましたか?」

都「う~、う~」 うなされている。

社「姉上っ」

 

 手を強く握り直してやると安心したように、また安らかな寝息を立て始める。

 

社「……姉上……。お美しい姉上……。社はいつも貴女のお側におります……」

 

 そっと額に口づける。

 

 

2,

 くる日もくる日も父は酒に浸りながら、娘をなじり続け、都は精神的にまいってきて、床につくことが多くなった。

 特に病というワケではなかったが、なにもかもが億劫(おっくう)で動きたくない。

 何も考えたくない。

ただ布団の中で一日が終わるのを待つ。

 その間にも「お告げ」はあったが黙っていた。

また予言めいたことを言えば、父は自分を恐れ、更に遠巻きにするに違いない。

 自分は何も語ってはいけないのだと思った。

 今朝も女が夜盗に遭う夢を見たが、口をつぐんだ。

見る夢が全て予言に結び付くワケではない。

今度もきっと違うと言い聞かせ、関与(かんよ)せずにやり過ごす。

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