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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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みやまよめな:25

社「は? あ、はぁ」

 『ちぇ。なんだ……』

 

 まだ長居したかったが、確かに姉の言うとおりである。

 早々に引き上げて、元の家に向かう。

 

都「……は~……」

 

 胸をなでおろして、深くため息。

 

「これはどうしたことでしょう?」

 

 両手で頬を覆う。

 気が付いてみれば、いつの間にか弟は自分よりも背が高く、ずっとたくましくなった。

 もう背中に付いて回っていたあの頃とは違う。

 

都『そんなことはとうにわかっておりました。でも……』

 

 こんなにもそれを意識したことはなかった。

たくましくなったとは以前から思っていたが、それは姉としての誇らしさだった。

 今度のは違う?


▽つづきはこちら

都『いいえ。そんなハズはありません』

 「今度の戦は長かったし、黒百合のこともあって、私はどうかしていたのです」

 勝手に結論を出して納得。

 

8,

 しかし、それからも社がくる度に落ち着きがなくなった。

 

社『何なんだ、近頃の姉上は……!? 私をのけ者みたいに……』

 

 来てもすぐに追い払われてしまい、不服。

 

社『態度も何か変だ』

 

 遠ざけるわりには足を運ばないと膨れてしまう。

 少し前からワガママになってきたとは思っていたが、それはイライラからくるものと承知していた。しかしこの頃はそれだけではないような気がする。

 母屋に戻ってみると椿が話しかけてくる。

 

椿「社様~♪」

社「ああ、椿。どうしたんだい?」

椿「ホラ、見て下さい。社様からいただいたかんざしさしてるんですよ」

 

 頭を指さす。

 

社「本当だ。よく似合っている」

 

 社は実姉に慕情をいだいていることを隠すために、また世間の目をごまかすためにせっせと椿に物を買ってやったり声をかけたりしている。

 できれば本当に椿と恋仲になれればいいと思っている。

幼なじみでもある椿は気立ての良い娘だとわかっているし、他の娘だったら椿の方がずっといい。

 姉弟では決して報われない恋だとわかっているのなら、早いうちに別の女に夢中になっていた方がやきもきせずにすむ。

人道的にもそれが正しい。

頭ではそうわかっている。

 しかし、本当の気持ちがついてこない。

 そうとも知らずに椿は、本気で社を恋い慕う。

 

椿「えへへ~♪ 社様にそう言っていただけると椿は……」

社「ところで椿」

椿「へ?」

社「最近、少しまた、姉上の様子がおかしくないか?」

椿「…………まぁ~た、“姉上”のことですか?」 ぶーたれる。

社「すまない。何だか近頃、様子が妙なのでな。病ではないかと……」

 

 あわてて、ごまかす。

 

「椿だけだからな、母屋と姉上の館を言ったり来りしているのは」

椿「うん、まぁ……。でも……さぁ……、病とかではなさそうですけど……」

社「変わったことは?」

椿「お寂しいだけだと思いますよ。社、社とそればかりですから」

 「でも妙と言えば……」

社「何!!? 何でもいい、言ってくれ」

椿「……怒りません?」

社「ジラすな、言え」

椿「ひょっとして、都様は社様がお好きなんじゃないかって」

 

 イタズラっぽく舌を出す。

 

椿「そんな妙な噂だったらたっておりますよ」

社「!?」

 

 顔色を変えた社に

 

椿「嘘、嘘。嘘ですよ。いや、噂は本当なんですけどね? でもそんなモン、すーぐ品のない連中ははやしたてたがるものですわ。気にしなくてもそのうち噂なんて……」

社「……………………」

椿「社様?」

社「いや………それで……?」

椿「それでって………それだけですけど?」

社「そ、そうか」

椿「はい」

社「でもおかしいな。前までは私が姉上に……という話ではなかったかな?」

 

 しょうもない噂だとばかりに軽く笑い飛ばす。……フリをする。

 

椿「はぁ、まぁ、そうだったんですけど、今度は都様が社、社というもんだから、そうなったのでしょう」

社「そうか」

椿「噂なんてその時々ですぐ変わってしまいますからねー」

社「……………………………」

 『…………火のない処に煙もたたないけどな』

 

 椿の元を去る。

 

椿「あれ? 行ってしまわれるんですか?」

社「ああ。姉上に会ってくる」

椿「……れ?」

 『今、都様の館から戻られたんじゃ……??』

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