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みやまよめな:24
2008.05.26 |Category …みやまよめな
合点いくと急に気持ちは楽になり、一緒に眠気も増幅。
正体を突き止めるのをあきらめて布団に潜る。
それから、しばらく……。
声「都、都……」
都「……う、ううん……」
声「迎えに来たぞ、姫。七つ参りの夜じゃ……」
都「!!」
ばっと目を覚まし、上体を起こす。
都「何者っ!!?」
チュンチュン……チチチチ……
鳥のさえずり。
朝の光。
都「……アレ……?」
『夢……?』
拍子抜け。
▽つづきはこちら
都「……何だ……………………ん?」
気づくとやはり黒百合。
それを手に取り、
都「うーん…………」
首をひねる。
それからも毎晩毎晩、黒百合は届き、同時に部屋に入ってくる男の夢も見る。
季節は夏から秋に移行していたが、不思議と夏の花である黒百合は滞りなく都の手元にやってきた。
鏡に向かい、
都「私は……」
鏡に映る自分に語りかける。
都「どこかおかしいのでしょうか?」
ほっぺたをニュとつまんで伸ばす。
都「うにに……」
痛くなってきたので、パッと放した。
ヒリヒリ痛む、ほんのり赤くなった頬をさする。
都「……弟の夢を毎晩見るなど……」
と、そのとき、荒々しい足音が近付いてくる気配。
都「?」
女の足ではない。
都「!! 社ですね!!?」
自ら廊下に迎えに出る。
社「姉上!! 今戻りました!!」
それはまさしく社。
帰国してそのままここへ立ち寄ったらしく、汚れた武者姿のまま。
都「社!! よく無事で……」
駆け寄って、胸に飛び込む。
社「あ、姉上、汚れます」 でも嬉しい。
都「心配しましたよ」
社「はい……」
『私も姉上にまた会うことができて嬉しゅうございます』
心の中でつぶやく。
一刻も早く会いたかった。
都「何だか、毎夜、お前の夢ばかり見て……」
社「……え?」
『わ、私の夢を?』 ドキ……
都、顔を上げ、ハッとする。
都「い、いえ、お前が危ない目にあっているのではないかと心配のあまり、そんな夢を……。でもこうして無事であってくれてほんによかった」
さっと離れる。
社「姉上……」
都「さぁさ!! どうせお前のこと。まだ父上にお目通りもしておらぬのでしょう? 早く行って吉報を聞かせておあげなさい」
突き放す。