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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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みやまよめな:21

4,

 朝。

 巫女が都の髪を梳いている。

 都の手には、また今朝届けられていた黒百合。

 

都「花はいいけど……。なぜ社は姿を見せないのですか」

巫女「……それはその……」

都「………………………」

 

 巫女が口ごもっていると、当の社が現れる。

 

社「姉上っ!!」

都「!! 社!?」

 

 障子の向こうで座る気配。

 

社「姉上。ご無沙汰しております。社にございます」


▽つづきはこちら

都「社!! なぜ姿を見せなんだか!? 皆、女を作っただの噂をしておりますよっ」

社『……チッ!! 誰だそんな話を姉上の耳に入れたのは!?』

 「お、女などとんでもございません」

 

 ギクリとしたが、こう言うしかない。

 

都「お前が来てくれない間、姉がどんなにか心細かったかお前にはわかるまい。………私は外に出られないのに、あんまりです」

社「も、申し訳ございません。私にもその、色々と……」

都「馬鹿者め!!」

社「…………………………」

 『相当、イラ立っておられるな』

 

 しつこく相手をなじるなど、今までの都にはなかったこと。

 彼女はいつでも穏やかで、他人ばかりを優先させ、自分はひたすらじっと耐える方だ。

 こんなワガママは珍しい。

 しかし社にとっては嬉しい限りである

姉の子供じみた行動は、弟を困らせる反面、人間らしいと感じられる一面でもある。

 何より、自分を頼って待っており、来ないものだからじれて怒っているのだ。

 

社『姉上……』 含み笑い。

都「……まぁ、小言はもういいでしょう。今日はこうして会いに来てくれたのですから」

社「はぁ」

都「入ってきなさい」

 

 用意が済んだらしい。

 

社「失礼致します」

 

 障子を開け放ち、座したまま頭を下げ、そのまま入ってくる。

 

都「コレは貴方ですね?」

 

 黒百合を見せる。

 

社「!!」

 

 椿の話を思い出す。

 

都「ありがとう、とてもキレイです」 微笑む。

社「え……、あ、まぁ……はぁ……」 あいまい。

 『しかし何故、黒百合? そんなにそこいらに生えているものではないぞ?』

 

 ふいに疑問に思う。

 側の巫女に視線を滑らせるが、

 

巫女「ホラ、やっぱり!! 社様だと思いましたよ」

 

 予想が当たったと喜んでいる様子。

 

社『違う。この娘じゃない…………』

 

 ひとしきり、姉との時間を過ごした後、社は館中の巫女たちに尋ねて回る。

 

社『変だ……。全員、私の仕業だと思っている………ッ!!』

 

 さっと青ざめた。

 

『どういうことだ!?』

 

 誰も知らないということは、他に侵入者がいるという証拠。

 館を出てすぐに周囲の護衛を倍に増やす。

 

父「何事か、社」

社「姉上の館に不審な人影が」

父「まことかっ!? それはいかん。都は大切な娘じゃからの!!」

社「…………………」

 

 そう言う父に冷めた視線を送る。

 もちろん、父は気づかない。

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