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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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みやまよめな:68

社「姉上!!」

 「……ん?」

 

 下に散らばる割れた骨壷と白い粉や破片に目を止める。

 

『これは!!』

椿「……骨……壷……」

 

 何故、こんなモノを? 背中に悪寒。

 

社『そうか、姉上が持ち歩いておったの!! どうりで見つからぬハズ……!!』

都「ああ……」

 

 ぐったりとした姿勢で鏡に気づく。

 

「社……あの鏡は?」

社「……さぁ……」

都「あの鏡はいけません……捨てて……」

社「……なぜです?」 ピクリと反応。

都「……捨てて……」

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みやまよめな:67

社「!! マズイッ!!」

 

 二人、あわてて散らかした物を片付け、社は廊下へ転がり出る。

 そうこうしている内に襖が開く。

 

椿「あっああ……お帰りなさいまし、都様」

 

 引きつった笑いで出迎える

 

都「何故、私の部屋にお前がいるのです?」

椿「あの……えっと……」 

 「ネズミが出て、この部屋に逃げ込んだモンだから……あはは」

 

 笑ってごまかす。

 

都「まぁネズミ?」

 

 嫌な顔をする。

 

椿「はい」

 

 開けっ放しの襖の向こうで、社が足音を消して、都のすぐ後ろをコソコソと逃げて行く姿を確認。

 

椿『……ホッ』

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みやまよめな:66

御神崎様

1,

 都が巫女たちを連れていなくなった隙に社は姉の部屋を家捜ししていた。

 

 それを見つけた椿「!! 何をやっておいでですかっ!!?」

社「しっ!!」

椿「……やっぱり……社様は……」

社「椿、手伝ってくれ!!」

 

 社はこともあろうか女のしかも姉君の部屋をあさっているのをとがめられたというのに、手伝えと言ってくる。

 

椿「いっ!? ちょちょっと……馬鹿なことを言わないで下さいよぉ!!」

社「しっ!! 声が大きいというに!!」

椿「でも……こんなっ!!」

社「この部屋のどこかに骨壷があるのだ!! 一緒に探してくれっ!!」

椿「こ……骨壷?」

 

 想像していたことと違い、拍子抜け。

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みやまよめな:65

御龍

1,

 ある晩のこと。都は変わった夢を見る。

声「姫よ、姫よ……」

 幼い都「だれ?」

 

 声は、細く美しい男の声。

 

『……社……?』

 

 違う?

 

声「約束を思い出せ」

都「……約束?」

声「我(われ)がそちらにゆく前に……」

都「……息苦しい!!」

 

 まるで水の中にいるようで、息ができない。

手足が鉛のように重たかった。

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みやまよめな:64

都「見せしめです。おかしな考えを持つとどうなるか、知らしめておやりなさい」

社「しかし姉上、あの者たちもどうにもならず仕方なしに……」

都「では今後このようなことがあっても許すと?」

社「いや、今回は牢にぶちこんで罰を与えれば……」

都「ぬるい!!」

社「……………」

都「さぁ、早く!! 引っ立てぇっ!! 雨乞いです。彼ら罪人を供物に雨乞いをするのです!! さぁっ!!」

 

 狂喜に満ちた表情。

 

社「…………………姉上……」

 

 事を起こした農民や貧しい町人は全て広場に集められ、磔(はりつけ)にされた。

 槍で貫かれ、先に死んだ者は幸い。

残った者たちは、磔のまま野ざらしにされたのである。

雨が降るまで、雨乞いをせよと。

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みやまよめな:63

 廊下を怒りに任せて乱暴に歩き、

 

社『アレは姉上ではないっ!! 姉上は殺生がお嫌いな方だった!! つつましくしとやかで……。あんな……あんな淫らなふるまいをなさるお方ではなかった!!』

 

 先程の濡れて艶っぽい瞳を思い出す。

 一瞬、胸が騒いだが、すぐに首を左右に振ってその気持ちを追いやる。

 

社『姉上はいつも民を思いやり、先見の力でお救いになられ、そしてあの力を戦に利用されることを嫌った……なのに……!!』

 

 今では見る影もない。

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みやまよめな:62

都『ギョリュウ様?』

 

 白龍の大きな体に巻かれると不思議と息苦しさがなくなり、沈むのも止まった。

 

声1「…………………………」 答えない。

都『都は生きていてはならぬと父様が……』

声1「生きていて悪い者がこの世におるものか。お前を待つ者もいる。さぁ、帰れ」

都『…………………ギョリュウ様……』

 

 泣きたくなった。

 生きていて悪い者などいない……。

 この言葉は今の都にとってどれほど救いになったか。

 白龍は都を乗せて上へ上へと運ぶ。

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