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みやまよめな:66
2008.06.11 |Category …みやまよめな
御神崎様
1,
都が巫女たちを連れていなくなった隙に社は姉の部屋を家捜ししていた。
それを見つけた椿「!! 何をやっておいでですかっ!!?」
社「しっ!!」
椿「……やっぱり……社様は……」
社「椿、手伝ってくれ!!」
社はこともあろうか女のしかも姉君の部屋をあさっているのをとがめられたというのに、手伝えと言ってくる。
椿「いっ!? ちょ、ちょっと……馬鹿なことを言わないで下さいよぉ!!」
社「しっ!! 声が大きいというに!!」
椿「でも……こんなっ!!」
社「この部屋のどこかに骨壷があるのだ!! 一緒に探してくれっ!!」
椿「こ……骨壷?」
想像していたことと違い、拍子抜け。
▽つづきはこちら
社「椿、姉上の初恋の男を覚えておるだろ!! 恐らくアレの……」
『アレを引きはがさなければ……』
ところが…………、
椿「……初恋? …………いえ……」
社「……何?」
手が止まる。
椿「都様の初恋の殿方なんて知りませんよぉ」
社「いや、知っているハズだ。もう何年も前になるが……父上に首を刎ねられて……」
椿「さぁ」
社「…………………え?」
「ホラ、何と言ったかな……アレ………………………………アレ……?」
…………出てこない。
社「あれ?」
『……誰だ?』
おかしい……。
記憶にもやをかけられているような、そんな感じ。
椿「とにかく……骨壷を探せばいいんですね?」
よくわからないといったふう。
社「あ……ああ……」
「…………………」
『……おかしい……どうした? あんなに……?』
頭を強く左右に振る。
社『“何か”が私の邪魔をしているっ!! しっかりしろ、社!!』
ピシャリと自らの頬を叩く。
社『私は知っているハズだっ!! 何もかもっ!! 思い出せ!!』
ふと白装束の男に渡された鏡を見る。自分が映り……
社「うっ!?」
顔を背ける。
社『な……なんだ……!?』
椿「社様っ!?」
社「……つっ」
うずくまる。
しばらくの後、ゆっくりと顔を上げ、
社『………………………思い…………………出した………!!』
“猛”。
……猛だ。
呆然となる。
社「思い出した……」
震える手で鏡を手に取る。
鏡を見たせいか?
頭のもやが晴れた気がした。
椿「はい?」
社「何故……何故、忘れていたんだろう?」
鏡に己を映し、問いかける。
椿「……社様?」
独り言のように、
社「鬼だ……私たちは……鬼に出会ったのだ……」
椿「鬼っ!?」
突然、振り向き、
社「そうだ、椿、この鏡は何の意味があるのだろう!?」
椿「何の話ですかっ!? しっかりして下さいよぉっ!!」
社「椿、鏡はどうやって使う? どんな力があるっ?」
椿「……?」
「か……鏡は姿を映すもんでしょうよ」 困惑。
「どうやって使うったって……髪の毛とかしたり……化粧したり……」
社「魔よけの効果があるとかなかったっけかッ?」
椿「え、ああ、よく言われますよねぇ、うん。でも、どうして急に」
社「よしっ!!」
椿「社様?」
何かを思いついて立ち上がったとき、
椿「社様っ!!」
社「ん?」
椿「都様がお戻りですよっ!!」
小さく囁きかける。
近づいてくる足音を聞き取った。