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みやまよめな:68
2008.06.11 |Category …みやまよめな
社「姉上!!」
「……ん?」
下に散らばる割れた骨壷と白い粉や破片に目を止める。
社『これは!!』
椿「……骨……壷……」
何故、こんなモノを? 背中に悪寒。
社『そうか、姉上が持ち歩いておったのか!! どうりで見つからぬハズ……!!』
都「ああ……」
ぐったりとした姿勢で鏡に気づく。
都「社……あの鏡は?」
社「……さぁ……」
都「あの鏡はいけません……捨てて……」
社「……なぜです?」 ピクリと反応。
都「……捨てて……」
▽つづきはこちら
それを無視して、社「椿、床を用意してくれ」
椿「は、はいぃっ!!」
姉を椿に任せ、自分は素早く骨壷とおそらく猛の骨と思われる桃色がかった白いカケラや粉を集める。
社「しばし眠っていて下さい、姉上」
都「…………………」
声が届いているのかどうか。
返答は返らない。
横たわって目を閉じてしまっている。
社『この鏡が魔を跳ね返してくれたのだ……。きっと……』
鏡を都の側に置く。
社「椿!!」
椿「はい!!」
社「……姉上を頼む」
椿「はいっ!!」
社「あの鏡のコトだが……」
椿「はい?」
社「姉上がよそへやれと言っても、壊せと言っても絶対に離さないで欲しい。アレは魔を跳ね返す鏡なのだ。それから、この部屋には他の者を入れぬようにな」
椿「…………………」
困惑した椿の表情を読み取り、
社「…………信じられなくてもいい。ただ、そうしてくれれば」
「……約束してもらえるだろうか?」
椿「……えっと……」
社「頼む」
椿「……はい」
社「ありがとう」
言い残して部屋から一歩踏み出し、一度振り返る。
社「……お前はいつも約束を守ってくれるのに…………私はお前との約束を破ってばかりだな……」
寂しそうに苦笑い。
社『ほんとに……いつも……いつも……』
椿「……社様?」 きょとん。
社「すまないね……。頼ってばかりで……」
今度は本当に出てゆく。
椿「…………………………………社様……」
眉をひそめる。
嫌な予感。
腕に遺骨を抱えて走り、城を出る社。
社『姉上から、“猛”は取り上げたぞ』
「こんな物は捨ててしまえばよいっ!!」
そう叫んでから、ふと我に返る。
社『待てよ? この骨が姉上を操っているとして、コレを遠くに捨てるだけで呪いは解けるのか?』
『あの白装束の男なら……』
だが、あの鏡をくれた男は一体何者なのか……?
頭を振り、
社「いや。考えるまでもない。アレは、アレこそが“御神崎様(おみさきさま)”に違いない!! きっと、きっと我ら姉弟(きょうだい)を助けに来てくれたのだ」
七つ参りのお堂を再び目指す。
社「待っておれ、猛……いや、“鬼”め!!」
手の中の骨壷を憎々しげに睨みつける。
社「御神崎様の元で成敗してくれるわ!!」
社は文字どおり、鬼の首を取った気でいた。
しかし、……………………………選択は誤っていた。