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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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みやまよめな:64

都「見せしめです。おかしな考えを持つとどうなるか、知らしめておやりなさい」

社「しかし姉上、あの者たちもどうにもならず仕方なしに……」

都「では今後このようなことがあっても許すと?」

社「いや、今回は牢にぶちこんで罰を与えれば……」

都「ぬるい!!」

社「……………」

都「さぁ、早く!! 引っ立てぇっ!! 雨乞いです。彼ら罪人を供物に雨乞いをするのです!! さぁっ!!」

 

 狂喜に満ちた表情。

 

社「…………………姉上……」

 

 事を起こした農民や貧しい町人は全て広場に集められ、磔(はりつけ)にされた。

 槍で貫かれ、先に死んだ者は幸い。

残った者たちは、磔のまま野ざらしにされたのである。

雨が降るまで、雨乞いをせよと。


▽つづきはこちら


都「お前たちの願いが届き、雨が降れば許してせんじよう」

磔の者たち「お助け下さい、神子様っ!!」

     「許して下され!!」

都「ふふん……」

 

 背を向けて立ち去ろうとする。

 

磔の者たち「鬼姫めっ!! 地獄に堕ちてしまえ!!」

     「何が神子だっ!! 憑き物女めっ!!」

都「………………」 ピクリ

 「…………………」

 

 そのまま動かない。

目は血走って、ひどい形相。

 

社『……姉上?』

 

 都、いきなりきびすを返し、つかつかと今、愚弄した者たちに近づく。

 

都「口が過ぎますね? そういう良くないコトを言う口はふさぐに限ります」

社『……? 何を?』

 

 黙って見ていると、突然、磔の男の右目に指を入れ

 

磔の男「ぎゃあああああっっっ!!!!」

社「!?」

都「……………」

 

 涼やかな表情も変えず、目玉をズルリと抜き取り、それを男の口に放り込む。

 

磔の男「はぐっ!?」

都「……口に物が入っていれば、口もきけないでしょう?」

磔の男「うぐあっ!!」

 

 目玉を吐き出す。下に落ちて土がつく。

都「あらあら。腹が減っていると聞いたから、物を食わせてやったのに……」

 

 フッと笑う。

 

都「吐き戻してしまうなんて、もったいない……」

 

 言って周囲を見渡す。

 ……もう、文句を言う者は誰もいなかった……

 

社「………………………………………………」

 

 立ちすくむ社の横を都が通り過ぎる。

 艶やかな黒髪の香りが微かに鼻孔をくすぐった。

 

社「……………………」

 

 ぼんやりとする社を家臣が呼ぶ。

 

家臣「お館様、お館様っ!! このようなふるまい……放っておかれてよろしいのですかっ!!?」

社「…………………」

家臣「お館様っ!! ご当主っ!! …………社様っ!!!」

 

 気が付かないようなので、呼び方を変えて揺さぶる。

 

 ようやく社「えっ……ああ……うん……。そうだな……」

 

 あやふやに答える。

 

家臣「社様。恐れながら申し上げます。姉君の都様は少々、口を挟むのがすぎます。ここの当主は社様でございますぞ!? それを差し置いて、勝手なふるまいをされたのでは下々の者に示しがつきません。この際、神子様におかれましては、そちらの方に専念していただくという形でしばらく遠ざけられた方がよろしいかと……」

 

 遠くで足を止める都。

 

付き巫女「……神子様?」

都「…………………」

 

 目を鋭く細める。

 会話など聞こえる距離ではないのに、まるで聞こえていたかのような反応。

 

付き巫女「……?」

都「いいえ、何でもありません。……さ、行きましょう」

付き巫女「は、はい」

 

 そのしばらく後に都は例の家臣に誘惑を試みたが、この男は堅くそれを断った。

 そしてまたそのしばらく後。

権力を恐れず社のためにと苦言も言ってのけたあの家臣は都に不吉な予言をつきつけられ、翌日にその通りになって変死していたのだった。

 

社「…………………」

 『……おかしい……』

 

 あの実直な男は社の怒りを買う覚悟で都の誘いを報告していた。

その後での変死事件。

社は数年前に亡くした愛犬のことを思い出す。

 本当は予言ではなく、予言のとおりになるように姉が刺客を差し向けたのではないかと疑いを持つようになる。

 帯刀家の中で歪んでいく日常。

だが、それ以上に周囲の状況は変化してゆくのだった。

当主は気狂いの姉の言いなりで、しかももういい齢なのに姉弟そろって結婚をする気配もなく、妖しい関係と噂されている。

 そして、神子は人の死肉を食らって力を蓄えているのだとささやかれている鬼姫。

 民衆の心だけでなく、いまや家臣たちの心までも離れつつあった。

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