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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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響く炎:6

 ………………えー。こうして、ワシは…

 

響「無事に帰ってこれたワケだが」

配下の者「………………」

響「ワシの葬式があの翌日に終わったってどーゆーコトだ!? …説明してもらおーか?」

配下の者「いや、響様があまりのお覚悟だったので、お帰りにはなりますまいな…と」響「七日は待てと言ったろうがっ!!」 相手の首を締め上げる。

配下の者「いやいや、今日は8日目でございますれば~……

響「たわけっ!! 葬式はそのずっと前に終わっておったではないかっ!!」

配下の者「備えあれば憂いなし! 次に討ち死にされたときには葬式をせずに済みますな。いやはや…」

響「いやはやじゃねぇっ!! 次に討ち死にするときってのはどんなだっ!?」

女「…お前様…」

配下の者「…ほ? 何ですな、そこな汚い女は?」

響「おお、よくぞ聞いてくれた。これはだな、我が妻の…………」

 

 言いかけて、はたと気づいた。

名前なぞ聞いておらなんだ。


▽つづきはこちら

響「…………そなた、名は何と申す?」

女「…何とでも」

 

 しれと答えて肩をすくめる。

 

配下の者「……………」

響「では………炎…焔(えん)だ。お焔(おえん)としておこう」

 

 一面の赤い花は、炎(ほのお)に似ていた……

 魔性の血を吸って咲き狂っていた、毒々しいまでに赤い花は。

 女を地獄の業火で焼いているように見えた。

 それが……印象的だった。

 

焔「…では、お焔…と」

配下の者「ちょっと…ちょっとちょっとちょっと!」

響「むむ、何だ、引っ張るな」

配下の者「響様、何ですか、あの女は!?」

 

 ワシを焔から引き離して、小声になる。

 

響「だから、ワシの嫁御じゃというておろう?」

配下の者「名も持たぬ女がでございまするかっ!?」

響「今、名付けてやった」

配下の者「そういう問題ではござらんっ! 由緒正しきお家柄の貴方様が、あのような正体知れぬ小汚い女なぞ…どこで拾いなすったか!?」

響「あの山におった」

配下の者「…んな馬鹿な…」

響「よいか、じぃ。鬼退治をしたならば、宝と女が手に入るのがお約束だとは思わないか? 桃太郎とか、一寸法師とか、浦島太郎とか…ん~あ~…そう、かぐや姫とか」

配下の者「お約束などどーでもようござるっ!! しかもかぐや姫は鬼退治ではなーいっ!!」

 ワシはそれらを無視して、お焔を呼んだ。

響「確かにきれいな身なりではないな。よし、今からそなたに合う着物を持ってこさせよう」

 

 ワシは鬼を退治して主君・和成様より褒美を賜り(たまわり)、さらに一風変わった嫁御を手に入れた。

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