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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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響く炎:11

深之「…ねぇ、そのようなコトよりも響殿…? ここには妻も子もいない。幸い誰も見てはおりませんし…」

 

 周囲を見回して、急に甘えた声を出す。

 

響「…! な…何を…」

 

 寄り掛かられて、ワシはあわてた。

 …そうだ。前々からわかっていたことだ。

 深之殿はワシに恋心を抱いている。

 何年も前から。出会っていくらもしない内から。無理もない状況であったから。

 だがワシと深之殿では立場が違う。

 初めから相入れない。主君と家臣の壁は厚い。

 それより何より…


▽つづきはこちら

響「…なりません、深之殿。目をお覚まし下さい。貴女は和成様の妻で、私は…」

深之「今はそれをいいやるな。…響殿…」

 

 ワシはあわてて、しなだれかかってきた深之殿の体を引き離す。

 

深之「深之が嫌いですか、響殿…」

響「いいえ。そうではありません。しかし、私には…」

深之「むろん、二人だけの秘め事じゃ」

響「…………申し訳ございませんが………」

 

 ワシはお焔を裏切るつもりは毛頭ない。

 ないのだ。

 

 

響「…ただ今戻ったぞ…」

焔「おや、ずいぶんとお疲れだこと。深之様とご一緒でさぞや楽しかったでしょうねぇ?」

 

 深之殿にあの手この手で引き留められて、1カ月ぶりにようやく我が家に戻ってみれば、お焔が仁王立ちで出迎え。

 

響「…ハイ…?」

焔「…先日、文が届いた」

 

 その例の文で、おもしろそうにワシの頭を叩く。

 

響「ウソんっ!?」

焔「…誰とは言っておらぬぞ。何故あわてる? 内容も知らぬクセして」

響「いや…それは…」

焔「さては身に覚えありか?」

響「…………めっそうもございません、お焔様…」

 

 両の手をこすりあわせて、作り笑顔。

 

焔「ふぅん、まぁいいさ」

 

 あっさりとしたもので、それ以上はなじらない。

 

響「…お…おい…。よかないだろうっ! お前はそれでいいのかっ!?」

焔「アレ? 妬いて欲しかったのかえ?」

響「………………ちったぁな…」

 

 …ちぇ。…コレだよ、この女は。

 思わず目をそらして、ボリボリと頭かいた。

 

焔「だったら、もっと度胸つけたらどうだい? 他に女囲う甲斐性もないクセに」

 

 煙草を吸って、ワシの顔に煙(けむ)を吹きかける。

 

響「うあっ、コラッ!」

 

 なんって可愛くないヤロウだ、チクショウ!

 …でも、まぁ…。信用がある…ということにしておくか。ふふん。

 立ち直りの早いワシは、結論にたどりついて大満足。

 …あ~あ。なんて操りやすい男なんだろうとか思われているのかな…まぁいいか。

 

響「…で? 何と書いてあった?」

 

 文を見ようとすると、ひょいと奪い取られた。

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