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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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響く炎:14

深之「その妻は人ではありませぬ…。響殿はだまされておる」

響「なぜ、そのようなことを申されるのです?」

深之「………いえ。その…」

響「……………」

 

 知っているだろうともさ。深之殿はワシのお焔を殺めようとしたのだから…

 けれど、何をしてもお焔は死にはしなかった。

そうでしょう、深之殿?

 

深之「…では…。その愛妻が他の男と逢瀬(おうせ)したなら?」

響「…その男を、斬って捨てましょう」

深之「もしも、それが和成様だとしても…?」

響「…和成様? それはナイと存じます」

 

 これが…。

 ワシと深之様の最期に交わした言葉となった。

 何故なら…


▽つづきはこちら

焔「お前様に文が…」

響「…和成様からの…?」

 

 …内容は、お焔をよこせというものだった…。

 …ありえない。

 なぜ。

 家臣の妻を所望するか?

 深之殿…?

 いや…

 ともかく…

 ワシは、文を取り落とした。

 

焔「…………お前様の立場が問題ならば、ゆこうか?」

響「…お前はそれでよいのか…?」

 

 何を聞いている。

 よいハズがない。

 

焔「…なに、どうせ一時(いっとき)であろうが。ちょいと相手をしてやりゃあいいんだろ?」

響「行きたいのか?」

焔「そんなワケはない」

響「………………」

焔「だが、お前様の必要あらば、従おう。己は和成に従うのではない。己の約束した者に従うのよ。己も今や加賀美家の者だからな」

響「…よい。ゆくな」

 

 妻の黒髪に指を通す。

何のひっかかりもなく、擦り抜ける絹糸の髪…。

 …ワシは、お焔を他の者に預ける気はなかった。

 無論、それが和成様であったとしても、だ。

 そのせいで代々仕えた加賀美の印象が悪くなろうとも。

 だってそうだろう?

 自分の身内を差し出してまで、機嫌をとるなどと…そのようなことをせずとも加賀美家は立ってゆける。

 

焔「…大丈夫かえ? 顔色が優れない」

響「いや…。なんということはない。ただ…」

焔「うん?」

響「お焔…、人の醜さに巻き込んで悪かった…。お前は、人ではないのにな…」

焔「何を言っている?」

響「お断りしよう」

焔「何の言い掛かりをつけられるかわからぬぞ?」

響「何が言い掛かりか。このような無茶は初めから道理に外れておる」

 断りの文を書き上げ、

響「…焔…心配はいらぬ…。誰もお前を差し出したりはせぬ」

 

 まぶたを下ろし、自分が望んで手に入れた者を、両腕の中にゆるく閉じ込めた。

 

焔「……………。心配などしていないよ、お前様…」

 

 ……………………………………。

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