忍者ブログ
NinjaToolsAdminWriteRes

ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

HOME ≫ Entry no.180 「響く炎:12」 ≫ [185] [184] [183] [182] [181] [180] [179] [178] [177] [175] [174]

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


響く炎:12

焔「これは己(おれ)宛だ。勝手に読むでないよ」

響「オイオイ、いいじゃねーか。何て書いてあったんだよ?」

焔「己にお前さんから手を引けと。お前では響殿に釣り合わぬから実家に帰れとな」

響「……………」

焔「金子も包まれておったぞ?」

響「何だって!?」

焔「やるな、この色男っ♪ あははははっ」

響「……笑い事かよ」

焔「返事を書こう。下賎の者は、帰る実家もございませんとな」

響「金も返しておけよ」

焔「わかっておる。己は金目に興味はない。光り物なら好きだけど」


▽つづきはこちら

 それからしばらく経って、深之殿はまた手紙をよこした。

 先日は失礼したとお焔に対しての詫びの文であり、ワシはホッとした。

 深之殿は永きに渡った道ならぬ恋に敗れて気が動転していたと。

 

焔「…ふん、どーだか…」

響「いいじゃないか。ともかくこれで一件落着っと♪」

焔「まぁいいけどね。でも己を自分の館に呼びたいって何だろう?」

響「何だ、そりゃあ!?」

焔「お前様が惚れた女と一度会って話がしたいそうな」

響「…そうかでは一緒にゆこう」

焔「いいやダメだ」

響「何故っ!?」

焔「だってこの日はお前様、和成に呼び出しくらっていたろう」

響「“様”をつけろよ、“様”を!」

焔「様」

響「よしよし。…では、帰りにその足で、お前を拾って共に戻ろう」

焔「ではそうしよう」

 

 正直。ワシは心配でならなかった。

 詩腥様への仕打ちを思えば、このお焔にも何をしてくるかわからない。

 だが深之殿から直々のお呼びとなれば断れる身分でもなし。

 お焔が言うには、行き先がわかっていてそこで客が死んだなら、疑いかかるのは深之だからさすがにそれはないだろうとのこと。

 言われてみればそうかもしれぬ。

 それで安心はしていたのだが…

 

 

 訪問を終えて…

焔「よう山賊が出るところよな」

響「賊が出やったかっ!? それでっ…」

焔「…ああ。覆面の侍姿の山賊よ。間抜けにも家紋が見えておったがな」

響「……………」

焔「それに、毒入りの酒はうまかったぞ」

響「…っ! おいっ…」

焔「…そう青ざめるな。我を何と思う?」

響「……………化け物」

 

 そうだった。

忘れていた。

コイツは、妖だったんだ…

 しかし…。

間違いなくこのお焔を亡くすつもりでおったのだ深之殿は。

 恐ろしきは女子(おなご)の執念か…

 まぁ…恐ろしいといえば、ウチの家内もアレなのだが…

 その侍共がどうなったのかは、あえて聞かぬこととした。

 

響「だが、許せお焔。ワシのせいだ。ワシがハッキリとした態度を示さぬから…」

焔「なに、気遣いはお前さんの良いところ」

 

 いつもの扇で口元を隠す。

 

響「…お? なんだ、今、褒めたのか?」

焔「…気のせいだ」

響「いや、今確かに言ったぞ。なぁ、もう一度言ってみ?」

焔「…忘れた」

響「なぁ、オイ」

焔「しつこい」

響「つれぬ奴よな、何年経っても」

焔「…そうでもない」

 

 振り返って、意地悪く笑う。

 ホラ、いつもズルイ。

 ………女は、魔性だ。

拍手[0回]

PR

●Thanks Comments

●この記事にコメントする

お名前
タイトル
文字色
E-mail
URL
コメント
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード ※投稿者編集用
秘密? ※チェックすると管理人にしか見えません

●この記事へのトラックバック

TrackbackURL:

≪ 響く炎:13 |PageTop| 響く炎:11 ≫

もくじ ▽

初めましての方へ☆必読お願いします ▽

金魚飼ってます☆ ▽

さらに金魚飼いましてん☆ ▽


ブログ内検索

カウンター

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新TB

フリーエリア


※ 忍者ブログ ※ [PR]
 ※
Writer 【ゼロ】  Design by NUI.T  Powered by NinjaBlog