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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 67-11

リク「ともかく、ここじゃマズイから他に行こう。ね?」
 
 図書館での一件と同じ結果が待っているような気がして気が重くなる。
 他に連れ出そうとしたが、アンは頑なに拒んで続けた。
 
アン「先生は大人だから、自分で何とかできるわ! 強いんだもの!!」
 
 おさげの赤茶けた髪を激しく振る。
 
リク「確かに俺は子供で何も出来ないかもしれない。でもあの人を独りにしておくワケにはいかないんだ。強いから余計に独りで抱え込もうとするからダメなんだ、放っておいちゃ」
 
 自分もそうだからよくわかるのだ。
 
アン「どうしてそこまで面倒見てあげなくちゃいけないの!?」
リク「アンだって苦しいときに誰かに側にいて欲しいだろ?」

▽つづきはこちら

 
 諭すようにゆっくりと言って聞かせる。
 できれば興奮から冷めて欲しい。
 アンならば人を思いやる気持ちで目を覚ましてくれるはずだ。
 
アン「……じゃあ、私が……私が独りだったら? 私が独りだったら助けてくれる?」
リク「もちろんだよ」
アン「だったら私、今から独りになるわ! 私、これから誰とも口を利かない。友達みんなと絶交するっ!」
リク「そういうことじゃなくて……」
 
 鎮は肉親を亡くしたばかりだ。
それも裏切られた上に自ら断ち切ってしまい、とても傷ついているのだ。
独りで癒せると本人は思っているだろうが、それにはきっと途方もない時間がかかる。
 誰かが側にいて手助けしてあげないと危ういのだ。
 それを彼女に言ったら納得してくれそうだが、勝手に身内のことを第三者に話していいものかどうか。
 判断に困り、リクは途方にくれた。
 
アン「私はリク君がいてくれないとダメなのっ! 先生はリク君じゃなくてもいいでしょ!?」
リク「そうはいかないんだ。わかってよ」
アン「先生のこともクロエのことも忘れてよっ!!」
リク「! クロエ!? どうしてクロエのこと……」
 
 叫んでアンは階段を登っていってしまう。
 大きな声で騒いでいたために何事かと戻ってきた鎮と駆けてきたアンとがぶつかる。
 
鎮「っと! 大丈夫でござるか、アン」
アン「触らないで! 汚いわ!」
 
 階段から落ちては一大事ととっさに伸ばす鎮の手を振り払って、アンは自分で持ちこたえた。
 
アン「先生は大人でしょ!? 生徒に甘えないでよ、キモチワルイの!! 年上美女だかなんだか知らないけど!」
鎮「や……それは違うってさっき……」
アン「ゴザルとかセッシャとか変な呪文でワザとらしく目立つのもやめてよっ!」
鎮「じゅ……呪文じゃなくて、あの、あれ敬語……」
 『何でこんなに責め立てられてるのー!?』
 
 アンに嫌われてショック。
 払われた手をごしごしと服になすりつけてキレイにしようとする。
 匂いをかいでみたが、臭くない。
 大丈夫だ。
 下からリクが上がってくる。
 
リク「アン、待ってよ、アン」
アン「嫌よ、来ないで! あっち行って!!」
リク「あー……」
 
 仕方なく、言われたとおりに立ち止まる。
 困ったように鎮に助けを求める視線を滑らせた。
 
鎮『……エー? 知らないよ。男女間の云々なんか……』
 
 それを受けてオドオドと辺りを見回す。
 他を見たところで助けにもなりはしないのだが。
 
アン「先生は弱い振りして誰かにいつも庇ってもらおうとするのね! お陰で私は一人ぼっちよ!! リク君の優しい心を利用するのだけはやめてあげてぇ!」
 服をつかんで揺さぶる。
 
鎮「うわっ、危ない、あぶっ、あぶっ!」
 
 足場が悪い階段で揺さぶられては危険だ。
 自分は一番上にいるからいいが、こちらを揺すっているアン自身が危険だし、その下のリクも受け止めようとすればケガの可能性も高い。
 
鎮「あわあわっ。揺さぶったらダーメーッ」
リク「アン! 先生にそんなこと言ったらいけないよ」
アン「どうして庇うの、すぐに!」
リク「だってそりゃあ……」
 
 今、間違いなくアンがいけないことをしているからだ。
 
リク「弱ったなぁ。危ないよ、ホラ落ち着こう」
アン「いや! 来ないでって言ってるでしょ!」
 
 鎮をどついて上の階へどんどん駆け上がっていってしまう。
 
リク「アン!」
鎮「拙者は追わぬ方がよさそうでござるな」
 
 どつかれたが、所詮女の子の力だ。バランスのよさで何とか持ちこたえ事なきを得る。
 
リク「うん、俺が何とか」
 
 アンの後を追って走り出す。
 この会話も周りに筒抜けなのだろうなと内心、うなだれながら。
 彼女の思い込みのその99%は単なる誤解である。
 しかし思い込んだら一直線のアンは説得を受け付けない。
 とうとう、一番上の階まで来て窓を開け放った。
 最上階は特殊魔方陣による養成所の建物の管理室が並んでおり、ドアには鍵が厳重にかけられている。
 生徒たちは立ち入り禁止区域であるが、廊下はごく一般的につながっている。
 ドアが開かないだけだ。
 余談だが、かつて入所したてのレイオットとメイディアが薔薇騎士レンジャーショウ観たさにこの管理室の1つに進入を成功させたことがある。
 
アン「リク君が先生とクロエと口利かないって約束してくれなくっちゃ、私、飛び降りるわ!」
 
 無茶を言ってアンは窓から身を乗り出した。

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