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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 67-12

リク「うわあっ!? ダメだよ、そんなこと!」
アン「約束して、今すぐに!」
 
 乾燥した風に二つのお下げが弄ばれて揺れる。
 
リク「アン! 戻って!! 危ないから!」
アン「来ないでったら! 近づいたら飛び降りるからっ!」
リク「お願いだから、ホラ」
 
 リクは手立てがなくなってその場から動かずに手を差し伸べる。
 
アン「どうして約束してくれないの!?」
リク「そんな子供みたいな約束、無理だよ。二人とも大事な友達なんだ。口利かないなんて……」
アン「まだそんなこと言うの!? 今、恋人の命がかかっているっていうのに!! そんなに約束するのが嫌なんだ! 私はリク君のためならジェーンやモーリーと絶交できるよ!?」
リク「そんなこと言ったらダメだって。二人が悲しむ」

▽つづきはこちら

 
 リクは手立てがなくなってその場から動かずに手を差し伸べる。
 
アン「どうして約束してくれないの!?」
リク「そんな子供みたいな約束、無理だよ。二人とも大事な友達なんだ。口利かないなんて……」
アン「まだそんなこと言うの!? 今、恋人の命がかかっているっていうのに!! そんなに約束するのが嫌なんだ! 私はリク君のためならジェーンやモーリーと絶交できるよ!?」
リク「そんなこと言ったらダメだって。二人が悲しむ」
アン「二人がとか……そんなんばっかし。私のことはいつも一番後回し! もういい。リク君は私のことなんか好きじゃないん……だっ!?」
リク「アン!?」
 
 窓枠に乗り出していたアンのバランスがいきなり崩れた。
 窓の上に巣を作っていた鳥が攻撃を仕掛けてきたのだ。
 
アン「ちょっと……やめっ…! …やめなさい! あっ、キャーッ!?」
リク「アン!!」
 
 足が滑って建物の外側に体が大きく傾いた。
 
アン「イヤアァッ!!」
リク「……ッ!!」
 
 とっさに駆け寄ったリクがアンの手をつかんだが、引きずられて前のめりになる。
 
アン「……ひぃっ!」
 
 足の下に何の感触もなくなって、宙に浮いた状態はアンの恐怖を極限にまで膨れ上がらせる。
 
リク「アン! 下を見たらダメだっ!! くそっ……」
 
 いつぞやの試験で崖からおちたときも確かアンと一緒だったなと思い浮かべる。
 よくよく縁のある二人だ。
 
アン「怖い、助けて、リク君! 死んじゃう、死んじゃうよぅ!!」
リク「大丈夫だから! 落ち着いて、暴れないで。今、引き上げるから……って、うわ!?」
 
 やっぱり侵入者だと親鳥が攻撃を仕掛けてくる。
 
リク「いててっ! コ、コラッ」
 
 先ほどまでは声が聞こえてしまうことが嫌だと思っていたが、こうなると誰もいない階は困ってしまう。
 声が届かなくて助けがこない。
 近くにいるのは……
 
リク「鎮ァ!! 来て!!」
 
 恐らく階段のところで待機していてくれるはず。
 アンを気遣って顔を見せていないだけで、心配しているであろうから。
 じりじりと待っているとやはり鎮が駆けつけてくれた。
 
鎮「うおっ!? 何をしておる!?」
リク「引き上げるの手伝って。えと、悪いけど、まずは鳥を追い払ってくれないと……」
 
 手が汗で滑る。
 体勢が不安定でもうそんなに長くは持ちこたえられない。
 鎮は小さな魔法で鳥を驚かせておいやると、リクの横から手を伸ばす。
 二人係でようやく引き上げて、廊下に尻餅をついた。
 
リク「ハァッ、ハァッ。ぜぇっ、ぜえっ」
 
 アンはよほど怖かったのか、わっとリクにすがって泣き出してしまった。
 
リク「大丈夫、大丈夫だよ、アン。もう平気だから」
 
 背中をなでて落ち着かせようとする。
 
アン「……先生よ……」
リク「え?」
鎮「えと……?」
アン「先生のせいなんだからっ! どうして……どうして……私からリク君を奪おうとするの!? だから私っ……」
 
 涙を拭うこともせず、興奮して叫ぶ。
 
リク「アン」
鎮「まぁ、待て」
 
 リクを制して、アンの方を向く。
 
鎮「別にな、拙者……ああ、拙者は嫌いか。俺はな、リクを盗ろうとかそういうことは考えていないし、そんなことはできないから……」
 
アン「……ぐすっ」
鎮「リクが俺を構うのはな、リクが俺を好きなわけではなくて、俺があにさまを亡くしたばかりで気を使ってくれているせいだ」
アン「……え?」
リク「……鎮……」
アン「お兄さんって……こないだまでいた……」
 
 アンの心の中に黒い染みがぽつりと落ちた。
 急激に嫉妬の熱が降下してゆく。
 ……人の、死。
 
鎮「そうだ。兄は、死んだ」
アン「……!!」
リク「……いいの? そんな……話してしまって」
鎮「私事だが仕方あるまい。アンをこのように追い詰めてしまうのなら、いっそ安心してもらった方が良いわ」
アン「…………」
鎮「リクとクロエがコソコソやっておったのも、俺をどうやって力づけようかと相談しておっただけで、俺はその行為を面倒に感じて拒んでいたから、いつまでも彼らが引きずるハメになった。それは謝ろう」
リク『……うっ。面倒に感じていたのか……』 どうりで……。
鎮「だから、お前様が心を曇らす理由など俺もクロエも持っておらぬ。安心致せ」
アン「………………嘘……そんな……」
 
 本当に身内を亡くした人の前で自分は死ぬだの何だの騒いでいたわけである。
 急に恥ずかしくなってうつむいた。
 
アン「でも……それなら早く言ってくれれば、リク君の代わりに私が……」
鎮「……いらないよ。いならい」
アン「!」
 
 面と向かって拒まれてはっと顔を上げる。

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●Thanks Comments

どうなるの!?

やっとアンが落ち着いてきた。
自分自身がヒサメっちと似たような立場に立ったことがあるので
アンに全く同情できない(苦笑)
だけど、この後はどうなるのーっ(゜.゜)


そしてヒサメっちの「・・・いらないよ。いならい」って何ーっ!?笑

From 【望。】2008.10.18 08:25編集

たぶん皆、

同情してくれない気がしますけどね(大笑)
アンはああいう子ですから、いいんですけど(笑)
昔少女漫画を想像しながら書いたオモシロ展開もあと少しで終ります(笑)
そしたら今度こそメイディアが顔出ししますんで^_^;

From 【ゼロ】2008.10.18 08:39編集

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