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レイディ・メイディ 第68話
2008.10.18 |Category …レイメイ 67・68話
第68話:黒薔薇の貴婦人、推参!
養成所の一部であり得ない騒動が起こっていたとき、そこから数キロ離れた小さな町の外れの屋敷ではある少女の命がかかる(?)事件が起きていた。
メイディア「ゼェー、ゼヒィー……ハーッハーッハーッ……」
戦闘用人形をようやく倒したメイディアがヨロヨロと井戸までやってくる。
ずいぶんとたくましくなった腕で水を引き上げると桶を逆さにして頭からかぶってしまう。
メイディア「フヒー」
もはや元のお嬢様だった影はだいぶなりを潜めてしまっている。
メイディア「おのれ、ミジン子! 何が寂しければコレと遊んでおれですか!」
びしょ濡れになった頭を獣のように振って水滴を飛ばす。
▽つづきはこちら
メイディア「戻ってきたらタダじゃおきませんことよ!!」
たまにフラリとやってきた教官は、今日からコレと遊んでいろと戦闘用の人形を仕掛けていった。
時間がくると襲い来る仕組みで、また決められた時間が経過するとパタリと動かなくなる。
動ける範囲も決まっており、庭から外に出ることはない。
逃げようと思えばいくらでも逃げられるのだが、そんなメイディア様ではない。
その性格も踏まえた上での範囲指定なのだろうが、それもまた頭にくる。
要するに時間内で倒してみせよというのだ。
人形の力はメイディアの力のギリギリいっぱいより上に設定されており、毎日、メイディアは生傷が耐えない。
初めの内はまるで歯が立たず、殺されるかと思う場面もいくつもあった。
そのうちに少しずつ善戦できるようになり、今日になってようやく破壊に成功した。
命がけの鬼ごっこに勝利である。
あんまり暇だ暇だとなじったせいであろうか。
それにしても過激な。
屋敷に戻って水差しから水をコップに移し替えて勢い良く喉に流し込む。
これでだいぶ生き返った。
このほかに彼女のピンチは別にあった。
ちょうど1ヶ月前くらいだろうか。
メイディアに目をつけて追い回していた青年チャーリーが吸血鬼にやられて死んでいたのである。
その後は続く被害者もなかったためか、薔薇の騎士ではなく見習いがしばらくの間、警備に当たっただけでもう引き返していってしまった。
何もないと判断されたのだ。
これまで事件という事件がなかった町だったので、人々はそれでも不安がったが、結局、チャーリーの葬儀が済むと一区切りとして平和は戻った。
それのどこがピンチだったかといえば、薔薇の騎士見習い代表としてこの町の警備に当たったのが、顔見知りだったからである。
肝を冷やしたのなんのって。
養成所にこの事件が情報として入ったときに立候補したのが、正義の熱い魂に燃えるレイオット=ジーエルンと心配性でお人よしのレク=フレグリットだった。
そこにレクに負けたくないフェイトが加わって、おもしろそうだからという理由のダレスが参加して、あとは4回生の先輩方だ。
こんなに知り合いに来られては困る困る。
正体を隠すのに一苦労である。
そうでなくとも「お化け屋敷」に住んでいて、怪しげだというのに中身を見られたら魔法の道具の数々。これでは逮捕されてもおかしくない。
ここでヒサメの名を出せば自分の正体も明るみになるのではないかと恐れた。
髪を黒く染めて短く切ったものの、顔の中身までは変えられない。
誰かが気がついたらそれまでである。
レイオットのすらりとした姿を見れば、懐かしくて飛びついていきたい衝動に駆られるがここは我慢のしどころ。
案の定、4回生の先輩方がいかにも怪しいメイディアを疑い始めたが、なんと町の人間たちがこぞって庇護してくれたのである。
この子は違うと。
最近、フラリとやってきた見知らぬ少女で、いわくつきの家に住んでいる。しかも元からいる町の人間が死んだのだ。これだけで疑われる材料は充分。
それなのに死んだチャーリーの母親まで庇ってくれるから、メイディアは感動を禁じえなかった。
この町の人々はメイディアの第2の家族である。
他にメイディアの疑いをよそにやってくれたのは、やはり友人たちである。
死んだメイディアに似ているからきっと疑いたくなかったのだろう。
レイオットやレクは彼女は魔物ではないなどと頑なに言ってくれた。
ずっと試験ではチームを組んできたというのに、友達甲斐のないダレスとフェイトは明らかに疑う態度丸出しである。
メイディア『よーくわかりましたわよ、あの二人の性格の悪さが!』
しかもフェイトに限っては遠慮なく執拗に見てくる。
思わずその目をつついてやりたくなる怒りの衝動に駆られるくらいに。
……というか、実行してしまった。
フェイトはのた打ち回り「このクソ女!」と叫んで町人のヒンシュクを買う。
ここはワタクシのテリトリーなのだ。ざまーみろ。
メイディアはそう心の中でほくそ笑んだ。
警戒態勢が解かれた後は4回生たちは姿をみせなくなったが、友人4人は日曜になると自分の時間を使って見回りにくるものだから、うっかり気も抜けない。
レイオットとレクは純粋にこの町が心配だからだろう。
フェイトとダレスはきっと自分を疑っている。アレはそういう性格の悪い男たちだとメイディアは思った。
親切な町の人たちが心配なのはメイディアも一緒だ。
チャーリーの葬儀に参列してさりげなく傷を見たがねよくわからなかった。
ただし、全身の血が抜かれて気味が悪いほど真っ白だったという以外には。
だから平日は見回りに行きたかったのに……
メイディア『コイツが……』
ジロリと恨みがましく、外に倒れている人形を窓から睨みつける。
修行しているところを誰かに見られたらどう説明すればいいのか。まったく。
訓練は早朝だからまだ良いようなものの。
町をにぎわせた吸血鬼事件の真相は実は鎮の兄・偲の仕業であったから、すでに犯人はこの世におらず、事件は迷宮入りすることとなる。
本日は久しぶりに教官が訪ねてくる日だ。
……忘れてすっぽかされていなければ。
本当のところ、メイディアを独りに慣れさせるために、また鎮を頼りにし過ぎないために少しずつ間隔を空けられていたのだが、もちろんそんなことは知るよしもない彼女だ。
放っておかれてカンカンである。
文句を言ってやろうと手ぐすね引いて待っていたメイディアだったが、家主が来てすぐに態度を変えることとなる。
何故なら……
鎮「じゃーん……薔薇騎士レンジャー変身セットぉ……」
……ステキなお土産つきだったからである。
メイディア「んまー! なんて気の利くチビでございましょう!!」
沸騰しかけた怒りの熱が瞬く間に消失。
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●Thanks Comments
お、お父さん(笑)
まんま休日の親子像じゃないっすか!笑っ
久々のメイメイの出番(*´艸`*)
でも出てこない間も色々あったのね~
そこんとこ見たかったけど(笑)
このお土産は、
ただのお土産というか一応、深い意味が……(笑)
この薔薇騎士スーツで試験に乱入ですから^_^;
あれ?
ゼロさん、気のせいでしょうか、
67話→38話になってる気が・・・?
気のせいじゃない!
ありがとう……なんか今日もすこぶるボケてるな(爆)
ありまとうです……(沈)
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