忍者ブログ
NinjaToolsAdminWriteRes

ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

HOME ≫ Entry no.1188 「レイディ・メイディ 67-10」 ≫ [1193] [1192] [1191] [1190] [1189] [1188] [1187] [1186] [1185] [1184] [1183]

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


レイディ・メイディ 67-10

 それを見たリクが安堵のため息と共に笑顔を取り戻す。
 齢相応の無邪気な笑みを向けてくるので、鎮も少しほっとした。
 これで丸く収まる。
 本音もちゃんと隠さず言った。頑張って言った。言うのが嫌だったけれど、でも頑張った。
 どうしてムキになって食いついたりしたのか。それは好かれたかったからだと。
 あとはもうない。
 欲を出したらきりがないからこれまでだ。
 
鎮「シズは……」
 
 口元を隠していた手を下ろす。
 何だか、落ち着きなく左右にぐらぐら揺れる。
 どうして行動がいつもおかしいのかちょっぴり謎だ。
 

▽つづきはこちら

鎮「シズは……」
 
 口元を隠していた手を下ろす。
 何だか、落ち着きなく左右にぐらぐら揺れる。
 どうして行動がいつもおかしいのかちょっぴり謎だ。
 
リク「うん?」
鎮「優しくしてもらったから、嬉しいよ」
 
 そうだ。欲さえかかなければ、気にしてもらえたことそれ自体が嬉しいではないか。
 
リク「え、あ、うん」
鎮「シズに必死になってくれたから、すごく嬉しい」
 
 自分で思っているよりもきっと、ずっとずっと相手が好きなのだ、鎮は。
 だからちょっと希望が過ぎた。
 
リク「そ、そう?」
鎮「とても嬉しかった」
 
 でももう沢山もらった。
 ……これで充分だ。
 
リク「うん!」
鎮「……ありがとう」
リク「? いや、お礼なんてそんな……仰々しいっていうか……」
鎮「あの……」
リク「ん?」
鎮「授業……始まってるけど?」
リク「……………ウソ……」
 
 ……遅刻だ。
 必修の馬の訓練を。
 一人で点数が足りていないのに……。
 
リク「じゃあ、俺、行くけど……」
鎮「うん」
 
 何歩か階段を下りて一度振り返る。
 
リク「鎮! 俺は……」
鎮「味方なのだろ?」
リク「そうだよ」
鎮「……覚えとく」
リク『よしっ! よしっ!』
 
 鎮が小さく笑ったのを確認して、リクは小さくガッツポーズを取った。
 今度こそ手ごたえがあったのだ。
早くクロエに報告して、安心させてあげたい。
手負いの生物・ニンジャは無事捕獲しましたと。
 階段を駆け下りてすぐ折り返しの踊り場を過ぎたところでリクは軽くなった足取りを止めた。
 気持ちもいつになく弾んでいたし、誰もいないと思って勢いづいていたので、止まるのが送れてつんのめってしまった。
 
リク「……アン?」
 
 階段の隅にうずくまっていたのは、アンだった。
 話があるといっていたのに後回しにしてしまったことを思い出して、そっと肩を叩く。
 
リク「ごめんね、話があったんだよね?」
アン「………………」
リク「こっちも大事な用だったんだけど、もう済んだから。いくらでも聞くよ」
アン「……クセに……」
 
 ぼそりと膝を抱えたままのアンが何かをつぶやいた。
 聞き返すと驚くほど強い光を瞳に湛えて彼女は顔を上げた。
 
アン「私だって大事な大事な用だったのに!! どうしてリク君の用の方が大事だってわかるのっ!?」
リク『うわ……』
  「ご、ごめん、そういえばそうだよね……本当にごめんよ、気が回らなくて……」
 
 言われてみれば正論だが、こんな風に叱られるとどうしたらいいかわからなくなる。
 とりあえず謝らねばならないことだけはわかるのだが。
 せっかく鎮と仲直りできたというのに今度はアンだ。
 
リク『まいったなー……』
 
 まだ先日の口付けを拒否した問題も残っている。
 さて、今度はどうやって説得したものか。
 ひょっとすると難攻不落に思えた鎮が相手の方が楽だったかもしれない。
 さすがは大人で考え方の角度も変えてきてくれるし、引くことも考えを改めてくれることも知っている。
 ところが彼女ときたら一方からしか物が見られないのだ。
これは頭の良し悪しではなく性格的な問題なのだが、そこがまたやっかいでもある。
 
アン「先生は恋人じゃないんだよ!? 一番優先されていいのは、私でしょ!? ねぇ、そうだよね、そうでしょ?! そうだって言って!!」
 
 詰め寄られたリクは気後れして後退った。
 アンと鎮は立場が違うのだ。
 鎮は尊敬する教官で、今はそれよりも身近な人間だ。
 友達というにはもう少し近くて、家族というにはもっと他人……
 恋人とはまた別のものである。
 比べるものでもないし、比べてよいものでもないとリクは思うのだが、果たして。
 
リク「いや、落ち着いて聞いてよ。詳しいことは話すわけにはいかないけど、あの人はとても大変な状況にあって、今、助けを必要としてて……」
アン「先生より私の方がもっとずっとリク君を必要としてる!」
リク「聞いて。先生には本当に誰もいないんだ。だから俺が少しでも力になれたらって……」
  『そして声が大きいよー』 あたふた。
 
 今は授業中だ。
 鎮とは小声で話していたからいいけれど、こんなに大声を出されては丸聞こえである。
 
アン「だからってどうしてリク君が犠牲にならなくちゃいけないの!?」
リク「犠牲なんかになった覚えはないよ。どう言ったらわかってもらえるかなぁ」
 
 困り果てて頭をかく。

拍手[0回]

PR

●Thanks Comments

せっかく

ヒサメ先生はリクに少し心開いてくれていい感じになったのに....リク、次はアンだね。....(^_^;)
ご苦労様なのです。m(_ _)m

ジェーンまたアンと喧嘩別れしちゃったね(T_T)こっちも複雑なのです....。

アン、リクに我が儘ばかり言ってたら反対にリクに嫌われちゃいそうで少し心配....。
これからどうなるんだろ....。
リクの性格からしてがアンだけ見てるような彼氏にもならないような気もするし.....うーん。複雑なのです。

続いて風呂に入って今日は『番外編タイム』します(*^_^*)
レイメイの世界に浸りまくり☆

From 【あっぴ】2008.10.18 01:04編集

リクは、博愛主義者

なので、アンが嫌われるようなことはないようです。
みんなを同じように大好きだよーっていう。
そしてワガママ言われるのが好きなのです。自分を必要とされたいから。
でも今回は困っていると思います(笑)

ジェーンは根が優しくてお人よしだから、結局、アンを許してしまうのでこちらも大丈夫。
アンは友人に恵まれていますね(^-^)

From 【ゼロ】2008.10.18 06:47編集

●この記事にコメントする

お名前
タイトル
文字色
E-mail
URL
コメント
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード ※投稿者編集用
秘密? ※チェックすると管理人にしか見えません

●この記事へのトラックバック

TrackbackURL:

≪ レイディ・メイディ 67-11 |PageTop| レイディ・メイディ 67-9 ≫

もくじ ▽

初めましての方へ☆必読お願いします ▽

金魚飼ってます☆ ▽

さらに金魚飼いましてん☆ ▽


ブログ内検索

カウンター

カレンダー

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

最新TB

フリーエリア


※ 忍者ブログ ※ [PR]
 ※
Writer 【ゼロ】  Design by NUI.T  Powered by NinjaBlog