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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 66-18

 この間、町に二人で出かけたときに買ってもらった天然石のブレスレットを無意識にいじる。
 最近はすっかりこのクセがついてしまった。
 恥ずかしくて手持ち無沙汰のときも、暇をもてあましているときも、イライラを募らせているときも。
ついこの仕草をしてしまうのだった。
 
アン『先生にはあれほどリク君を悪乗りさせないでってお願いしたのにな』
 
 そんな彼は今も正義の味方?カイルと戦いを繰り広げ、悪役ぶってどったんばったん。
 相手が鎮であろうがなかろうが、悪ノリするときはする。
 円の動きだって披露してしまうぞ。
 
カイル「うわあっ!? それよせ!! 怖いだろ!!」

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レイディ・メイディ 66-17

 しかし、残念ながらこれだけでは終らない。
 カイルの振りまいた災いの種は、ヒトサマをノリで蹴散らしておいて陽気に笑っているリクの上にも降り注ぐのだ。
 俺は関係ありませんヨでは済まないのだった。
 災いは忘れた頃にやってくるが、本当はすぐそこに原因がいたりもした。
 
アン『……なんで参加しているの、リク君       !?』
 
 カノジョの激しい嫉妬に気づくことになく、リクも鎮の視線を追ってナーダとリーズの方を見ている。
 

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レイディ・メイディ 66-16

 それを見ていたクレスは目を丸くしている。
 
クレス『ナニィー!? マジで!? 何だよ、カイルのあの態度! ほっぺ赤くなってるし! 幸せそうだしっ!! ホントにマジで美女!??』
 
 カンチガイ炸裂。
 ただの小男なのに。
 単なるゴザルなのに!
 クレスの目にはこう映った。
 

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レイディ・メイディ 66-15

 いつもの風景、いつも通りの態度。
 でもカイルとクレスだけが妙~に、ソワソワ。
 
クレス「やっぱり僕にはどーあってもアフォな小男にしか見えないんだけど……見間違えたんじゃないの?」
カイル「ばっかだな。アレは世を忍ぶ仮の姿なんだよ。俺はやるぜ! 点数稼ぎ!!」
クレス「……てっ、点数稼ぎ!?」
カイル「リクなんかぜってー知ってたんだぜ。だから、先生先生付きまとってたに違いない! おのれ、なんてちゃっかりさんだ!!」
クレス「……ちゃっかりはお前だよ」
 
 勢いに押されてちょっぴり引き気味のクレス。
 

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レイディ・メイディ 66-14

 もったいつけてカイルは咳払いをすると、二人の顔を交互に見てから口の端を吊り上げた。
 
カイル「俺、シズカちゃんのファン1号になる!」
アン「……は?」
カイル「本当はナーダ先生派だったけど、倍率高すぎるし! 男子に人気ありスギ!」
クレス「ま、まぁね」
 
 クレスもファンですと言わんばかりに鼻の下を指でこする。照れ隠しに。
 若い教官でさらに女性となると特に少ないために人気が偏るのである。
 今の所、女性教官で人気を2分しているのは、赤薔薇のナーダと白薔薇のリーズ。
 あとは教養の先生が女性だが、残念ながら家庭持ちのおばさんだ。
 男子生徒の憧れは全て2人の女性教官に集まっているといっても過言ではなかった。

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レイディ・メイディ 66-13

 こうして二人が相談をしている頃、独りになってしまったアンは入所してからずっと仲良しのジェーンとモーリーのところへ身を寄せようと探し歩いていた。
 リクと付き合うようになってから友人たちと疎遠になっており、女子寮に帰れば今までどおりだが、昼間の会話はめっきり減ってしまっていた。
 けれど彼女たちの集まる場所といったらだいたい決まっている。
 食事が済めば、ヒサメクラスかニケクラスの教室の机を占領しておしゃべりに興じるのがいつものパターンである。
 まずはヒサメクラスを覗いてみる。
 仲良し3人のうち、2人が黒薔薇のため、こちらに集まることが多いのだ。
 けれどどうやら今日は違ったらしい。
 ならば白薔薇のモーリーがいる教室だろうと足を運んだ。
 いたいた。

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レイディ・メイディ 66-12

リク「……そうだろうね」
 
 そんなクロエを見ないようにしてリクは色を変えたケヤキの葉を見上げた。
 
クロエ「先生は、もう構わないでくれって言うの。蒸し返すなって……それで私、何も言えなくなってしまって……」
 
 作った笑顔はすぐに崩れて悲しみの海に沈んでいった。
 
クロエ「どうしたらいいのかな。私、余計なことをしたのかも……」
リク「………………」
 
 もちろん相談を持ちかけられたリクにだってわからない。
 わからなくて持て余しているのだから。

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