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レイディ・メイディ 66-13
2008.10.01 |Category …レイメイ 66話
こうして二人が相談をしている頃、独りになってしまったアンは入所してからずっと仲良しのジェーンとモーリーのところへ身を寄せようと探し歩いていた。
リクと付き合うようになってから友人たちと疎遠になっており、女子寮に帰れば今までどおりだが、昼間の会話はめっきり減ってしまっていた。
けれど彼女たちの集まる場所といったらだいたい決まっている。
食事が済めば、ヒサメクラスかニケクラスの教室の机を占領しておしゃべりに興じるのがいつものパターンである。
まずはヒサメクラスを覗いてみる。
仲良し3人のうち、2人が黒薔薇のため、こちらに集まることが多いのだ。
けれどどうやら今日は違ったらしい。
ならば白薔薇のモーリーがいる教室だろうと足を運んだ。
いたいた。
▽つづきはこちら
アンがいなくなっても行動パターンやお気に入りの場所は変らないようで、同じ机の位置に陣取っておしゃべりに花を咲かせている。
おかしいことがあったのか、ドアを開けたアンに気づかないで二人とも大口を手で覆い隠しもせずに笑っている。
会話に咥えてもらおうと声をかけようとしたアンは一瞬、ためらって振ろうとした手を下ろした。
モーリーとジェーンの他に別の子達も混ざっていたからである。
アンが知らない間に別の子達と組んでしまっている。
それはたまたまだったかもしれない。
何も二人はアンとだけしかしゃべらないワケではない。
クラスの人気者ではないが、人を逸らすタイプでもない。
一緒に行動するのが特に仲良しの3人なだけであって、モーリーに至ってはクラスも専攻も違うのだから、クラスにいるときはいるときで別の子と仲が良くて当然なのだ。
新しいグループを作るにはすでに時期が経ちすぎているのだから、きっとアンの代役を見繕ったわけじゃない。
アンの居場所を誰かが占領したでもないのに、何故か溶け込めない雰囲気があった。
いや、雰囲気があったのではなく、アンがそう感じてしまっただけだ。
地味でおとなしめの子がそこに混ざっていたからかもしれない。
それが自分の席を取ってしまったかのように思えてしまったのである。
急激な孤独感が心の中に染みを広がってゆく。
そのままそっと扉を閉じて教室を離れた。
一言、声をかければ今まで通り二人が手招きしてくれることくらいわかっていたのに。
……これはクロエのせいかもしれない。
疎外感を与えられたばかりで臆病になってしまったのだ。
密かに追ってきてくれないだろうかと白薔薇の教室を振り返ってみたが、残念なことに扉が開く気配はなかった。
諦めて顔を前に戻すと視界の隅に今日も女の子たちに囲まれているレイオットの長身が映る。
レイオットのような人気者はこんな気持ちを味わったことはないだろうなと思った。
昼休みは彼や友人たちと過ごしていると一瞬なのに、一人で過ごそうとすると途方もなく長い時間に感じられる。
廊下のいたるところで楽しそうに輪を作っている生徒たちが一人ぼっちの肩身をさらに狭くさせる。
あてもなくうつむいて歩いているとクラスメイトの男子の声が近づいてきてふいに顔を上げた。
クレスとカイルである。
ずっと友達のいなかったクレスでさえ、今は何だかんだと文句を言いながら行動を共にしてくれる友達がいるのに、何て私は孤独なのだろうとアンはうらやんだ。
クレス「マジで!? ヒサメの顔見たの!?」
聞くつもりはなかったのにすれ違いざま、衝撃的な一言が耳に入り込んできた。
驚いて振り返る。
カイル「超痛てーよ。スカートめくりの要領でやったら、魔法ぶっぱなしやがった」
クレス「おまっ…! 勇者すぎだって! そっ……そいで……えっと、別に興味があるわけじゃないんだけど……」
カイル「イヒッ。聞きたい?」
アン「聞きたい!!」
思わず叫んであっと口を塞ぐ。
二人があっけにとられて振り返るとたちまち顔が熱を帯びた。
クレス「僕はどうでもいいんだけど、コイツが聞きたがってるぞカイル」
しかしすんなり流れに乗ったクレスは渡りに船とアンを言い訳に使う。
いけしゃあしゃあと。
カイル「アンタ、ズルイ上にセコイな」
カイルもさして気に留める風もなくクレスの方を責め立てている。
アン「あ、あのっ、ゴメンなさい……」
クレス「気にするなよ。聞きたいなら素直に言っていいんだぞ、ほらっ」
うっさんクサイ笑顔を張り付かせて、カイルから情報を得ようとするクレス。
カイル「そうそう。俺は素直な奴にしか教えないからな。アンタだけにこっそり教えてやるよ」
アン「えっ? えっ?」
クレス「あっ、ズルイぞっ!!」 びくっ!?
カイル「ズルイのアンタだろ。聞きたかったら、情報料払え」
にょっきり手を出してグーパー動かす。
クレス「なんて奴だ。貴族のボンボンのクセしてちゃっかりしやがってー!」
カイル「ふっふーん。養成所で支給される額なんて皆おんなじだからね」
クレス「家から送ってもらってるクセにー!」
カイル「それはそれ。これはこれ。クロエさんにプレゼントして気を引くためには軍資金が必要なんだっ」
クレス「クロエがプレゼントなんかでなびくもんか」
カイル「真っ赤な情熱の赤い薔薇の花束でオチない女はいなーい!!」
クレス「……それで女オトしたことあるのかよ」
クレスの言葉のナイフが突き刺さって、カイル撃沈。
アン「えっと……」
クレス「ああ、カイル。コイツが待ってるぞ」
カイル「アンタだろ。素直に言えよな」
早くも立ち直ったカイルは二人から結局、小遣いをせしめて財布の中にワンコインを放り込んだ。
廊下の隅に寄って声をひそめる。
カイル「いいか、二人とも。言いふらすなよ? 言いふらしたら後で俺がボコられるからな、シズカちゃんに」
アン「は、はい」
クレス「いいから早く言えよ」
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●Thanks Comments
本当に見たのかにゃ?
変わり身の術でチェリーになったとかいうオチとか(笑)
クレスじゃないから、
そのオチはナシです(笑)
わっ☆
続きが気になる...。続きプリーズvV←コラ。
クロエもリクもヒサメ先生が好きなだけに一生懸命だね(^-^)
リクの当たって砕けろ方法...どうなるのだろうか...ヒサメ先生...心開いてくれるのだろうか...またまた続きが楽しみなのです(*^_^*)
続き、
書いてますよー。もさもさと。
詰まりが少し解消されたので♪
でも鎮がなかなか心を開かないので、話が進んでくれません(T_T)
ページ数だけ無駄にとってるような気がする……(爆)
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