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レイディ・メイディ 66-14
2008.10.03 |Category …レイメイ 66話
もったいつけてカイルは咳払いをすると、二人の顔を交互に見てから口の端を吊り上げた。
カイル「俺、シズカちゃんのファン1号になる!」
アン「……は?」
カイル「本当はナーダ先生派だったけど、倍率高すぎるし! 男子に人気ありスギ!」
クレス「ま、まぁね」
クレスもファンですと言わんばかりに鼻の下を指でこする。照れ隠しに。
若い教官でさらに女性となると特に少ないために人気が偏るのである。
今の所、女性教官で人気を2分しているのは、赤薔薇のナーダと白薔薇のリーズ。
あとは教養の先生が女性だが、残念ながら家庭持ちのおばさんだ。
男子生徒の憧れは全て2人の女性教官に集まっているといっても過言ではなかった。
▽つづきはこちら
カイル「しかーし! 地味ーズのシズカちゃんならまだ!!」
クレス「っていうか、早く本題に入れよ。何でファンなんだよ」
熱を込めて拳を振り回す様子に俄然興味を引かれたクレスが先を促す。
カイルはさらに二人に顔を寄せて、
カイル「シズカちゃん、自分のこと醜いってアレ、嘘だぜ」
アン「…!」
クレス「そうなの?」
カイル「俺、スゲーびびったもん。どんな動物が出てくんのかと思ったら、」
アン「……ど、動物って……」
カイル「可愛い!」
クレス「カワ!?」
カイル「美人!」
アン「あの……先生って……男の人じゃ……?」
カイル「そんなの、嘘だよ」
きっぱり言い切って、アンとクレスは危うく大声をあげそうになってしまった。
カイル「俺にはわっかーる! アレは何か事情があって女であることと素顔を仮面で隠して……あっ! ひょっとして、親の敵がこの養成所内に!? それで正体を隠して潜入し……」
クレス「マ、マジで!?」
アン「女の……人?」
アンの脳裏に先ほどのリクとクロエのやりとりがちらついた。
プライベートのこと。
たまたま二人が知ってしまってどうしようという話だったはず。
そうか。
このことだったのだ。
カイルが勝手に仕立て上げた無茶な設定にもちろんだまされたワケではなかった。
親の敵が養成所にいて顔を隠すといっても、教官側が顔を知らないワケがない。
国立薔薇の騎士団養成所の教官が身元の確認をされないはずがないではないか。
その時点で正体を隠すのはアウトである。
だとすれば、生徒たちにだけ隠したい理由があるのだ。
実は単なる視線恐怖症だと知るよしもない彼らは思い思いの設定を頭の中で作り上げている。
カイル「超ー、イケてるって、アレは。すぐぶっとばされてじっくり見たわけじゃないけど、一瞬、鳥肌立ったもんな」
アン「嘘…」
クレス「どっ、どんな顔だったんだよ!? それって僕らをだまそうって魂胆じゃないだろうな!?」
カイル「いーよ。そう思ってても~♪」
クレス「なんだよそれー!!」
口笛を吹いてはぐらかすカイルとその胸倉をつかんでゆするクレスを置いて、アンはふらつく足取りで離れた。
驚いた。
なんてことだ。
3年間、毎日顔を突き合わせていて、素顔なんて知らなかった。
初めは皆も不思議がって仮面を取ろうと追い回していたけれど、いつの間にやらあの仮面をつけた姿こそが「ヒサメ先生」なのだと認識するようになり、そのまま落ち着いた。
あんまり本人が嫌がるから、顔に大変な傷跡があるのだろうというのが皆の共通する想像で、敢えて覗くのをやめたのである。
時々、気がついたように素顔を見てやろうブームが巻き起こることもあったが、冗談とからかいの範囲を飛び出たことはない。
ところが今頃になって皆の間で共通だと思っていた暗黙の了解をものの見事に破ったバカが現れた。
素晴らしく空気の読めない男・カイルである。
リクもクロエもその秘密を知っているのだとアンは思った。
いつから知っていたのだろう。
前々から知っていたのなら、今になって相談もないからやはり最近だろうか。
それとも最近知ったのはクロエだけで、リクはもっと以前から知っていたのか。
わかっていて、あの態度だとしたら……?
鐘が鳴った。
授業開始の合図だ。
いけない。思考の世界に入り込んで時間の経過を忘れていた。
そういえばいつのまにか廊下に人影もなくなっている。
学科などは選択制だから、取りたい授業がなかったということにも出来るが、黒魔術の授業は必須。
何しろ、黒薔薇騎士を目指しているのだから。
そして運悪く午後の授業は黒魔術である。
今から走っても開始には間に合わないとわかっていても、ここで諦めて堂々としていられる性格でもなく、アンは力の限り走った。
全力疾走の彼女の隣をもう一人が追い越していく。
まだ遅刻してる子がいたとちょっぴり親近感を覚えたのも瞬間だけだった。
なぜなら、遅刻していたのは、次の訓練の教官だったから……
アン「ヒサメ先生!?」
鎮「アン、拙者より先に行けたら遅刻じゃないよ?」
アン「ホント!?」
鎮「でも拙者が先だったら、まだ生徒がそろっていないってことで、拙者が遅刻じゃないことになるでござる」
アン「!?」
鎮「その場合、アンは遅刻~♪」
勝手に自分ルール発動。
どちらにしても時間を過ぎているのだから、遅刻は遅刻なのに。
けれどそう言われたからには負けられない。
アンは足の回転を早くした。
……が。
まったく歯が立たず。
オマケにヒサメ先生ったらズルイことに、2階まで来たら、窓から飛び降りちゃった。
ルール違反もいいところである。
息を切らせてようやく校庭に到着した頃には、点呼も終っていて、アンは初めての遅刻になってしまった。
鎮「アン、ちっこくー」
アン「えっ、えっと……」
ジェーン「なーによ、先生だって遅刻したじゃなーい」
アンが困っていると生徒の塊の中から代弁する声があがった。ジェーンだ。
この一言だけで先ほど、ジェーンたちのいる輪には入れなかった孤独感はあっという間に払拭された。
ずいぶんとお手軽なだが、それほどの効果が彼女の明るい講義の声にはあったのである。
アンは自分でも気づかないうちに口元をほころばせていた。
鎮「拙者は違うもの。アンがまだだったから」 ぷいっ。
ジェーン「うわ、ずっこーい!」
鎮「ズルくないでござるもん。……さて、始めよか」
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●Thanks Comments
夢に、
メイちゃんとヒサメっちが出てきた!!
しかもほんのり萌え風味(*^。^*)
詳しくはまたバイト終わってから伝えに来ます!!
忘れそうだったんでコメント残しておく(笑)
萌えー!!!
キャア、知りたい!!(笑)
望ちゃんからのFAX、友人に見せたら超喜んでましたv
相変わらず
ヒサメ先生可愛いっ☆今度は自分ルール作ってる(笑)
カイルの会話のせいでアンがとんでもない勘違い☆さて...アンの恋路がますます気になるところなのです。(^-^)アンの中ではもう四角関係だね(笑)
アンの中だけで
大変ですよ(笑)
妄想四角関係! でも本当は三角にすらなっていないという……(笑)
鎮は頭がお子様なので、何を言い出すかわかりません。
すぐ自分ルール発動しますから^_^;
マンガ、
出来ました・・・夢の方ですが・・・
なんかえらく個人的な萌えの方向に行ってしまってイマイチ・・・。
夢ではすごく萌えたのになぁ。絵にすると微妙い。
とりあえずメイメイとヒサメっちが一緒にいたら満足なんだと
気がついた(笑)
うわーいvV
楽しみです♪
音色小説も更新されてましたね!
早速、読まなくては(^v^)
音色小説。
早くも威吹をだしてしまった(笑)
自分でもアレ?なんで?って感じ。
そんでちょっとお遊びも入っている天狗の本名(爆笑)
読みました☆
お遊び入っている天狗の名前!!
かなり笑ったんですけど!
ジャックの先祖? それともジャックが先祖!?
どちらにしても笑えます。
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