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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 66-15

 いつもの風景、いつも通りの態度。
 でもカイルとクレスだけが妙~に、ソワソワ。
 
クレス「やっぱり僕にはどーあってもアフォな小男にしか見えないんだけど……見間違えたんじゃないの?」
カイル「ばっかだな。アレは世を忍ぶ仮の姿なんだよ。俺はやるぜ! 点数稼ぎ!!」
クレス「……てっ、点数稼ぎ!?」
カイル「リクなんかぜってー知ってたんだぜ。だから、先生先生付きまとってたに違いない! おのれ、なんてちゃっかりさんだ!!」
クレス「……ちゃっかりはお前だよ」
 
 勢いに押されてちょっぴり引き気味のクレス。
 

▽つづきはこちら

カイル「おっ子様だなーあ、クレスはァ」
クレス「な、何だよ!?」 むぅ。
カイル「年上女性だぞ!? お姉さまだぞ!? 何かむしろ年下に見えたけど。あの先生。でもさ、想像してみろ! 本を落としましたよ、先生。ありがとう、カイル君。ふふふ、優しいのね。ご褒美よ、チュッ……ってこう、くるんだぞっ!?」
クレス「ナニィ!?」 がーん!?
 
 クレスの頭にもやもやと場面が構成されてゆく。
 
キリリとカッコイイクレス「先生、本を落としましたよ」
ヒサメ子「ありがとうでござる、クレス君。ふふふ、優しいのでござるね」
 
 ……………………。
 実際に顔は知らないので、モザイクで隠れている。
 しゃべりはあのままゴザル言葉。
 しかも手にはネズミの餌。
 我に返ったクレスは……
クレス「ぜんっぜん、ダメだろっ!」
 
 ビシッ! とカイルにツッコミ。
 ヒサメ子ってば、気が遠くなるくらい、可愛くない!!
 
クレス「ネズミの毒餌、拾い食いする女がどこにいるんだよ! 男だよ、絶対!」
カイル「現実を見るな!」
クレス「お前こそ、現実を見ろ! あれは変な小動物なんだよっ」
カイル「想像力が足りない!」
クレス「そういうのは想像通り越して妄想だっ」
カイル「ダメだな、クレスは。自分で好みの女の子に置き換えればいいだろ」
 
 何故か胸をそらして大威張り。
 
クレス「ハッ! い、いや、な、何いってるんだ! ゴザルに置き換えられるわけナイだろっ!」
カイル「でも美人お姉様だぞ! まだ世に知られていない! 下手すると俺たちだけのお姉様ってコトだぞ!?」
クレス「……!!」
   『僕たちだけのお姉様…! 僕たち……僕の……僕だけのお姉様―!!!!』
 
 クレス、妄想再び。
 
クレス「先生……イヤリング落としましたよ」 きりりっ。
クレス好みのお姉様「え、私はイヤリングなんてしてないわ」
クレス「いいえ。これは貴女のイヤリングですよ。受取って下さい。僕からです」
クレス好みのお姉様「クレスくんったら。大人をからかっちゃ、ダ・メ」
クレス「つけて差し上げます。さ、どうぞ。……これからはずっとしていて下さいね」
クレス好みのお姉様「こんなの……困るわ、私……年上だし、それにっ」
クレス「齢なんて関係ありません!」
 
 謎の美女の手を取ってその感触に違和感を感じ、クレスは目を覚ました。
 すでにクラスメイトたちは訓練を始めていて、集合場所にはクレス一人と鎮だけだ。
 裏切りカイルもいなくなっており、クレスが握っていたのは年上美女の手……のハズ。
すべすべでか細いつもりだったけど、現実には皮の手袋の感触でしかも固い。
 
鎮「そう、熱烈に言われると照れるでござるな」 ぽっ。
クレス「ぎっ……ぎぃやあぁああああぁぁぁ!!!!!」
 
 手を振り払う。
 
クレス「僕のステキ映像に入り込むな、このオコジョ!!」
鎮「オッ、オコジョとは何か。失敬な」
 
 もはやヒサメ先生とは丸っきりの別物を想像していたクレスは、夢をぶち壊されてカンカンである。
 自分が悪いのに。
 
鎮「何の妄想をしておったか知らぬが、」
クレス『ぎくっ』
鎮「試験間近なのに良いのか。余裕でござるな」
クレス「よ、余裕に決まってるだろっ」
 
 照れ隠しに怒った振りをして訓練に加わった。
 やっぱりヒサメは美人教官なんかではないと己の中で再確認しながら。
 訓練が終るといち早く側に寄ったのはリクより先にカイル。
 
カイル「先生、お荷物お持ちしますっ! カイルを犬とお呼び下さいっ!」
鎮「……は?」
リク「エ?」
 
 リクが瞬間的にだが、驚いたような表情を見せた。
 いつも教官に無関心なカイルがゴマすりしているのだから、驚くのが普通だろうがアンは細かい表情の変化だって見逃さない。
 
鎮「荷物なんてないでござるよ。座学じゃないし」
カイル「じゃあ、学舎までご一緒に♪」
鎮「……いいけど……い…犬って…呼ばれたいの……?」
カイル「ハイッ! 貴女の犬です!!」
鎮「……………………」
 
 汗、ダラダラ。
 突然、生徒の態度が変わった。
 しかもあからさまにおかしい。
 少し考えて、鎮はある原因に行き着いた。
 
鎮「試験近いからと言ってゴマをすってもダメでござるぞ」
カイル「そんな心外な。違いますよ。男は実力で勝負です」
 
 キラリーン☆ 白い歯を光らせる。
 
鎮「あー…そう…」
 『じゃあアレか? 顔見られたから、ジェーンを真似て記憶喪失にさせよ思って……』
 
 魔法で吹き飛ばして気絶させてしまった。
 頭の打ち所が悪かったのだろうか。
 
鎮「すまぬな。バカを悪化させてしまって」
 
 腕を伸ばして、頭ナデナデ。
 
カイル「へへへっ」

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