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レイディ・メイディ 66-5
2008.09.25 |Category …レイメイ 66話
鎮「リクは拾わなくてよい。これは先の小てすとの答案用紙ぞ」
どうやら、部屋に持ち帰って採点するつもりだったらしい。
手早くかき集める。
リク「どうせ暗くて見えないよ。それより、採点、手伝おうか?」
鎮「いらぬ。っていうかダメ」
何でもない会話である。
宿舎からの明かりが届くか届かないかの位置で、ぶちまけた小テストの用紙を拾い集めるちょっとドジな教師とそれを助ける生徒。
ただそれだけである。
リクさえ関わっていなければアンだって、きっと助けてあげた。
ちょうどリクと同じ言葉を口にしながら。
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レイディ・メイディ 66-4
2008.09.24 |Category …レイメイ 66話
大好きだった友人たちの存在はもはや霞んでしまっている。
大事かと問われれば、ピンクのもやを払って姿勢を正してもちろん!と即答するだろうが、またすぐに幸せのピンクのもやが覆いかぶさってきて、友人たちの姿はなくなってしまう。
何につけても最優先にするのも彼のことで友人たちは二の次、後回し。
他には何も考えられなくなっていた。
想い想ってようやく実った恋。そうなるのも自然で悪いことではなかった。
友人たちもそこは理解していて、微笑ましく見守ってくれている。
そんなアンとしては相手も同じようになっていてくれなければ、割に合わない。
レイディ・メイディ 66-3
2008.09.23 |Category …レイメイ 66話
厩舎を出るとリクを待っていたアンが手を振る。
リク「やあ、アン」
カイル「……ちぇー。何だよ、どいつもこいつも」
並んで歩き始めた、アンが馬の乗り方のコツを手振り身振りリクに教えている。
彼女も彼女候補になる人の当てもないカイルは独り取り残されて、頬を膨らませた。
クラスメイトの女の子がクレスに約束させたことは、シレネ鎮魂際に一緒に祭りを回ってくれというデートのお誘いだったことを彼は聞いていた。
けれど最近、背も伸びてたくましくなり、女の子の話題に上る回数の多くなったクレスをこれ以上、鼻高々にさせてたまるかという僻み根性丸出しでカイルは口をつぐんだ。
当日の朝に教えてやればいいだろう。
もっとも、
カイル「俺様が覚えていたらだけどなーっ☆ ニャヒャヒャヒャヒャ♪」
……まぁ、ちっさい男である。
レイディ・メイディ 66-2
2008.09.22 |Category …レイメイ 66話
面白半分だと思っていたから無視ばかりしていたけれど、内心は声をかけられて嬉しかったのである。
リクやメイディアも恐れる様子もなく平気で声をかけてきたが、彼らは特別だ。
彼ら自体が変だから、あまり感動はしなかった。
相手がクレスでなくとも誰に対してもああなのだろうと思ったからだ。
もちろん、それでも嬉しかったことに変わりはないのだが。
けれどジェーンはもっと普通で特別ではない。
だからこそ、衝撃的だったのだ。
同情ではなくて、興味。
クレス=ローレンシアという個人に興味津々なのである。
親なし子だからじゃなくて、可哀想とか、シレネの末裔だとか陰口叩かれているからでもなくて。
そんな彼女にクレスも好感を抱いてはいた。
が。
レイディ・メイディ 第66話
2008.09.22 |Category …レイメイ 66話
第66話:恋ハ乱
豪雨に見舞われた、エグランタイン城。
初老の男は机の上に置いた水晶球に魔力を送るのをやめて、蓄えた脂肪を波立たせ億劫そうに立ち上がった。
異国のソルジャーを5人雇ってみたが、王女と日の王子を手に入れることに失敗したのである。
少なくとも自分の手の者よりは使えそうだと思っていたのに非常に残念だ。
ダンラック「まぁたシズカたんですか。まったく邪魔ばっかりして悪い子ちゃんでしゅねぇ」
姫と王子をさらおうと画策すれば、常にあのシズカ=ヒサメという教官が邪魔をする。
異国の5人はそのシズカを始末するためにわざわざ遠い海の果てから来たというのに、返り討ちにされてしまった。
かくなる上は自ら出向かねばなるまいか。
是が非でも姫と日の王子の力を我が肉体の一部として飲み込みたいのである。
公爵は苛立ちの目を部屋の隅に固まって震えている裸体の美女たちに向けた。