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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 66-3

 厩舎を出るとリクを待っていたアンが手を振る。
 
リク「やあ、アン」
カイル「……ちぇー。何だよ、どいつもこいつも」
 
 並んで歩き始めた、アンが馬の乗り方のコツを手振り身振りリクに教えている。
 彼女も彼女候補になる人の当てもないカイルは独り取り残されて、頬を膨らませた。
 クラスメイトの女の子がクレスに約束させたことは、シレネ鎮魂際に一緒に祭りを回ってくれというデートのお誘いだったことを彼は聞いていた。
 けれど最近、背も伸びてたくましくなり、女の子の話題に上る回数の多くなったクレスをこれ以上、鼻高々にさせてたまるかという僻み根性丸出しでカイルは口をつぐんだ。
 当日の朝に教えてやればいいだろう。
 もっとも、
 
カイル「俺様が覚えていたらだけどなーっ☆ ニャヒャヒャヒャヒャ♪」
 
 ……まぁ、ちっさい男である。

▽つづきはこちら

 モテないクンを置き去りにしたリクとアンはやはり2ヵ月後に迫る鎮魂祭の話題で盛り上がっていた。
 
アン「鎮魂祭、楽しみだね」
リク「そうだね。出店が並ぶんだよね。リンゴあめとかバナナチョコとかホットドックとか……」
 
 ウットリ。ヨダレ、たりーん。
 
アン「薔薇の騎士団によるパレードもあるってレイ様、大興奮してた」
 
 うふふと幸せそうに笑い、ハンカチでリクのヨダレを甲斐甲斐しくふき取る。
 
リク「レクとクロエもガーネットさんが出るから見逃さないようにってハリキッてたなぁ」
アン「そっか、クロエのお兄さん、隊長代理になったんだもんね」
  「それで……その……」
リク「うん?」
アン「わ、私たちも一緒に……い、行こうね!」
リク「もちろん」
 
 微笑むリクにアンはほっとした表情を浮かべ、頬を染める。
 だがその後が良くない。
 
リク「あとそれに先生も連れて行こうよ。あの人、無理にでも引っ張っていかないと絶対に来ないし」
アン「せ、先…?」
リク「皆で楽しいだろうね」
アン「皆?!」 がびん!?
リク「レイオットとレクとクロエ、それに俺たち、あと先生も。もちろんそっちはジェーンたちも連れてくるんだよね? こっちもクレスたちも連れて行くから。フェイトは来てくれるかなぁ」
アン「………………」 がっくり。
リク「あ、どうしたの?」
アン「う、ううん。何でもない…」
 
 せっかく二人きりで祭りを楽しむつもりだったのに……。
 リクには恋人の自覚はあるのだろうか?
 
アン『でもいいもん。途中から二人きりになったっていいんだから』
 
 ローゼリッタで一番有名な童話に登場する魔女は悪役なのにこうして15年に一度、魂を慰めてもらえる贅沢な魔女である。
 もっとも、魔女の魂が慰められたかどうかなどに誰も興味は持っていない。
 要するに国を挙げた大規模なお祭りにハメを外したいだけなのだ。
 そんな一人であるアンには計画があった。
 祭りの終りを告げる花火が上がったときに口付けを交わすのだ。
 これまで何度か手を握ろうとしたし、キスのチャンスもあった。
 それなのにリクははぐらかしてばかりいるのである。
 ひょっとして自分のことを本当は好きではないのではないかと思いに沈むと、友人たちは口をそろえて元気付けてくれた。
 ナチュラルに恥ずかしい台詞を言うリクだが、あれでいてきっと照れ屋に違いないのだと。アンが誘導してやらなきゃ進展しないと。
 恋人という立場を手に入れたアンにはその権利がある。
 祭りの雰囲気に酔えばきっとリクだって……
 そう思って決意を新たにするのだった。
 祭りに賭けているのはもちろんアンだけではない。
恋する男女、皆が同じ期待を膨らませている。
 片思いのあの人に。
 両思いの恋をさらに深めるために。
 本日の訓練が全て終了すると男女別々の寮に戻るため、リクとアンは宿舎のロビーで別れた。
 本当は一分でも長く一緒にいたかったが、リクはあっさりしたものでひらりと手を振るともう背を向けて歩き出してしまっていた。
 素っ気無いのが寂しかったが仕方がない。
諦めて女子寮の階段を登り始める。
 彼ときたらどうしてああもあっさりしているのだろう。
 先生のことはいつもあんなに追い掛け回しているのに。
 アンに対しては安心しているからなのだろうか。
 ヒサメ先生が逃げるから追いたくなるのであろうか。
 そしたら、こちらも逃げれば追ってくれるのか。
 先生に対するリクの執着はますますもって強くなっていく気がする。
 初めからよく懐いていたが、メイディアがいなくなったあとは特に甘えが酷くなり、今度は何か事件に巻き込まれた後辺りからさらに、さらに酷くなった。
 折を見ては接触したがる。
 そこまでの執着は一体なんなのだろうか。
 アンとの会話でも彼の口からは先生についての話題が多く出る。
 主にどれだけ先生が優秀であるかの具体的な検証という小難しい内容になるので、この話になるとアンはつまらなくなってしまう。
 授業の復習のようになってしまうからだ。
 リクはこの優秀な……少なくとも彼にはそう見えるらしい。アンにはどうも納得しかねるが……教官を尊敬しているのは確かで、それは別にいいのだ。
 強い者に憧れを抱くのは男の子らしい。
 けれどたぶんそれだけではない。
 誰かが言っていた。
 リクには家族がいないから、先生はその代わりなのだと。
 それでもいい。
 年が上で頼りにできるのは、養成所においては教官しかいない。
 それはわかるのだ。
 
アン『でも、それだけ?』
 
 恋をしたら、他のものは目に入らなくなるものではないのかなと恋にしか目の行かないアンは思っていた。
 恋に完全に溺れる者と恋をしている一方で冷静さを失ってしまわない人種がいるということを彼女は信じていなかった。
 彼女にとっては恋が全てだったから。
 彼の他には何もイラナイ。
 まさにその通り。
 言葉にしてハッキリと言うわけではなかったが、実際に友人たちといてもアンの話題と言えば彼氏のことだけで、決して友人たちに共通の楽しい内容とはいえない。
 頭の中は常に愛しく美しい彼のことでいっぱいだった。

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●Thanks Comments

今更ですが

段々カイルが可哀想になってきた(笑)
絶対クロエと相性いいと思うんだけどな・・・。
彼のお兄さ・・・(お姉さん!?)とも仲良くなれそうですし(笑)

From 【雲】2008.09.23 15:23編集

カイルはこんな役なので、

いいんですよ(^_-)-☆
ちゃんとそのうち彼女でも見つけるに違いない……たぶん。
でもクロエとカイルでもイケそうですよね(笑)

From 【ゼロ】2008.09.23 17:14編集

アン、頑張れっ!!!

ゼロちゃんとこのリク、楽しい人物(笑) アンが頑張ってるのにっ!!!(笑)←まだ行動には出てないけど。アンの気持ちがわかってないっ!!(笑) 笑っちゃダメなんだろうけど、笑えるっ☆

From 【あっぴ】2008.09.24 00:10編集

ダメ子。

恋愛できない人物ですから、リク^_^;
アン、空回り☆

From 【ゼロ】2008.09.24 01:11編集

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