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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 66-4

 大好きだった友人たちの存在はもはや霞んでしまっている。
 大事かと問われれば、ピンクのもやを払って姿勢を正してもちろん!と即答するだろうが、またすぐに幸せのピンクのもやが覆いかぶさってきて、友人たちの姿はなくなってしまう。
 何につけても最優先にするのも彼のことで友人たちは二の次、後回し。
 他には何も考えられなくなっていた。
 想い想ってようやく実った恋。そうなるのも自然で悪いことではなかった。
 友人たちもそこは理解していて、微笑ましく見守ってくれている。
 そんなアンとしては相手も同じようになっていてくれなければ、割に合わない。

▽つづきはこちら

 恋人を置き去りに、変な生命体ヒサメを捕捉している場合ではないのだ、リクは。
 昼も夜もなく、恋人のことを思い描いてくれていなくては。
 救いなのは、リクがどれだけ慕っても先生の態度が変わらないと言うことだろうか。
 けれどそれはそれでアンには納得がいかない。
 あんなに慕っているのに、あの態度は何なのだ、というところだ。
 あれではリクが可哀想ではないか。
 誰より聡明で誰より優しく誰より美しい彼は皆から愛されて当然の存在だ。
 リクに対して皆が親切なのは必然である。
 他の教官だって咽から手が出るほど彼を欲しがっている。
 中には生徒であるリクに見とれているのではないかという女教官だっているというのに。
 それを無碍に扱うとは何たるを心得る。
 慕う先生に冷たくあしらわれて可哀想な美少年のためにアンは優しくしてあげて欲しいと直談判までしたというのに、承知したとうなずいた結果が「肩たたき券」!!
 そんなバカな!?
 リクはアレのどの辺を見て優秀だと憧れるのか!?
 まるでわからない。
 恋人を差し置いてあんなアホの塊を追っているのがまた居たたまれなくなる理由の一つだった。
 アンは今、猛烈にシズカ=ヒサメが嫌いだった。
 せめてアンも憧れるような素敵な先生であったなら、腹の虫も納まるというものだが、残念ながら相手はどこの魅力の魅の字があるのか虫眼鏡でも探せないようなミジンコアホ教官だ。
 アホが服を着て歩き回っている。そんな生き物なのに!
 アレに負けているのかと思うと悔しくてならない。
 素敵な教官でないのなら、せめてもっと目立たないでいてくれればいいのに。
 あれでいてクラスの生徒たちからは、餌付けされてちやほや?されているのだから世の中わからない。
 自分からは何もしないくせに、何も求めないくせに誰かしら優しく声をかけてくれて。
 同じようにしていたら、アンになんて誰も声をかけてくれやしないのに。
 黙っていても周りに人が集まってくるのは、リクやレイオットなどの花のある選ばれた人たちだけでいいのだ。
 おとなしくて地味で気が弱い。
 そこだけ抜き出せば、ヒサメ先生もアンも変らないはずなのにどうして? 何が違う?
 服が変だから?
 異国の人だから?
 額当てをしていて、顔が見えないから?
 男の人にしては背が低いから?
 拾い食いをしてしまうから?
 レヴィアス先生のアゴが好きだから?
 挙動不審だから?
 
アン『全部、変なだけじゃない!!!』
 
 がくーっ。
 階段の手すりに寄りかかって首を垂れる。
 部屋に戻ったら、空き時間は小説を書こうと思った。
 3年間続いている恋愛小説だ。
 平凡な少女・アンジーと美の女神さえも目がくらんでしまうような美少年・リカルドの永きに渡る恋の物語。
 苦難を乗り越え良家のお嬢様からリカルドを取り戻したアンジーはまたもや新たなライバルと戦っていた。
 今度は新しく赴任してきた女教師という設定だ。
 ぱっと見、アンジーとよく似た雰囲気でリカルドが興味を持ってしまう。
女教師は決して美人ではないが、したたかだった。
周りを味方につけるのが上手いのである。
頼りないことを逆手にとってアピールし、生徒たちに世話を焼かせる術を身につけた狡賢い雌狐だ。
彼女はアンジーをここぞとばかりにクラスから孤立させようと計る……
………………。
アンジーには、敵が絶えない。
いつも誰かが彼女の恋の邪魔をする。
いつも誰かが彼女をはじき出そうと画策するのである。
次々と降りかかる不幸の中で可哀想にアンジーは傷つき、翻弄されていくのだが、やがては強い愛と意志の力でたくましく立ち上がる。
そんな彼女は本当は、敵や不幸を欲している。
敵がいなくなれば、新たな敵を設定するだけで、それは絶え間なく続く。
彼女が今ある幸福を幸福だと認識できない内は、この連鎖はずっと果てることはない。
もしこの弱いことを盾に取る女教師が退場したなら、次は誰が敵に回るのか。
 自分を不幸に置いて嘆くのが好きで、誰かを敵視していないと気がすまない。
 それがアンジーという主人公の裏の顔である。
当人も分身である筆者も気づいてはいないけれど。
 階段を登りきったところで、アンは廊下の窓から下を覗き見た。
 もしかして、ひょっとして、寮に素っ気無く戻ったと見せかけたリクが下から手を振っているのではないかと期待したからだ。
 恋人を驚かせるために、また喜ばせるためにそんなイタズラをしかけてやしないかと。
 そういった可愛いイタズラをすぐにリカルドは仕掛けてくる。
 だからリクも……。そう夢見た。
 
アン「ううん。いるわけないってわかってるけど」
 
 自分自身につぶやきかけて、窓から体を乗り出した。
 すると玄関口の明かりの中に想い人がいた!
 寮に戻ると別れたのに。
 けれどその顔はこちらではなく、建物の外に向けられていた。
 
リク「先生、今戻りだったんだ? 言ってくれたら荷物持ったのに」
 
 走り出して遠ざかる。
 どうやら学舎での仕事を終えて教官用の宿舎へ向かう途中のヒサメを発見したらしい。
 アンがどこを通っているかなど知る由もないし、例え窓の下から眺めていても彼女が顔を出す確率なんてほとんどないのに待っている者などいないだろう。リクでなくとも。
 それなのにアンは腹を立てた。
 どうして、自分の方ではなく先生を見つけてそちらに走るのか。
 スカートを翻して猛然と、今しがた登ってきた階段を駆け下りた。
 玄関のドアの隙間から滑るように体を外に出すと、今にも噴出しそうになる怒りを抑え込んで、そっと柱の後ろに隠れた。
 会話が聞こえる。
 
鎮「そのように逐一世話を焼いてくれずともよい。このくらい何と言うことも……あ」
 
 ばさばさと荷物が手から落ちる。
 
リク「ああ、ホラ。一度にそんなに持つからだよ。懲りないんだから」
鎮「よい、自分で拾える……」
 
 拾おうとしてかがむと胸に抱いていた書類がまたこぼれ落ちる。
 
鎮「はわわっ!? こっ、これ、おとなしくせぬかっ」
 
 ばさばさばっさー。
 結局、ハデにぶちまけてしまい、フリーズしている。
 
リク「あーあーあーっ! 書類に怒ってもダメだよ」

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●Thanks Comments

ヒサメ先生とアン

アンが敵意してるヒサメ先生の思っている感想?に思わず笑ってしまった(大笑)アンは内面、気が強いと思うのは私だけだろうか...。
恋する乙女は強し?
アンが書いてた小説の内容がこの度、明らかに(笑)
ヒサメ先生、落とした書類に注意してるし....(笑)可愛いっ☆

From 【あっぴ】2008.09.25 00:36編集

アンは、見事なまでに

内弁慶です(笑)
自分ではおとなしいと思っているし、周りもそう思っているけど、根のところでは結構、頑固で負けず嫌いだったり。

アンの小説は、番外編にでも書いてみたいです、内容を(笑)

From 【ゼロ】2008.09.25 00:42編集

面白そう。

アンが書いた小説見たい、見たい。
きっと性格からしてLOVEいっぱいだ☆(笑)あ、でも過酷な試練の恋愛小説かな...わーい☆気になる♪

From 【あっぴ】2008.09.25 00:55編集

たぶん、

ご都合主義の、ヒロインヒーロー至上主義でウケる内容かと思います(笑)
レイメイがそのままアン視点になっただけですけどね^_^;
ギャグで書きてー!(笑)
でもとりあえず本編進めないとだよね^_^;

From 【ゼロ】2008.09.25 01:04編集

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