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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 第65話

 
第65話:日常へ。
クレス「だからぁ! どーしてその辺に落ちてるモノを口に入れちゃうんだよっ!?」
鎮「ぬあっ!? これは拙者のでござるっ! 渡すものかァァ!!」
クレス「よこせよ! ダメだって言ってるだろっ!! 口開けろっ!!」
鎮「むぐぐぐぐぅ~!!」
 
 どこぞの王家の墓からぬけだしてきたようないでたちの包帯ミイラ男の中身はシズカ=ヒサメだった。
 今日も元気よく?、ケンカの真っ最中。
 ネズミ退治用に設置されていた毒餌を拾って口に入れて、クレスに叱られているところである。

▽つづきはこちら

 驚異的なというよりはもはや人間ではないなと疑いがかかるイキオイの2週間でまさかの復帰。
 突き立てられた刀は運よく、内臓の間をすり抜けていたようで、即死を免れた。
 普通ならばそれでも出血多量で死んでしまうところだが、クロエの目覚しい白魔法のお陰で時間稼ぎ。
そうしているうちに薔薇の騎士団が駆けつけて、保護された。
氷鎖女一族を追って現地に着いた鎮はニケに信号を送っていたのである。
クロエを救わんと走りこんできていたリクが、兄と共に崖から落ちた鎮を鎖を放ってからめとった。
 悟六の鎖鎌であり、鎮が使用していたものだ。
 鎖を一気に引くと共に死のうとする兄弟を引き離して、その身を地上に引き戻した。
 よくこの状態で動いていたものだと治療に当たった白魔道士や医者を驚かせた彼は、現在、骨折、ヒビ、炎症、打撲。蚊に食われ。etc、etc……
 まだおとなしく寝ていればいいものを、包帯巻き巻きの松葉杖でひょこひょこ動き回っているからあきれたものだ。
 
クレス「あっ! 飲み込んだっ!? ふざけんなよ! それ、毒なんだぞ!?」
鎮「……エ?」
クレス「エじゃないっ!!」
鎮「なんと!?」
クレス「なんとでもない!! 見るからにネズミ用じゃないか! ああっ! もうっ!! ミハイル、ミハイルー!!」
 
 ひょいと子供にするように抱え上げて、保健室まで走る。
 
ミハイル「……はー……あのなぁ」
 
 経緯を聞いて、がっくりうなだれるミハイル。
 
鎮「クレスが早くゆぅてくれぬからぁ」
クレス「止めたじゃないか。それなのに意地汚くするからだろ。ったく!」
ミハイル「とにかく、ソレ、吐かせたろうな、クレス」
クレス「当たり前だ。吐かせてちゃんと水も飲ませた」
 
 念のための解毒剤を棚から取り出して、何度目かのため息を深々と吐き出す。
 
ミハイル「だいたいなんだってネズミの毒餌を口にしちゃうんだ」
鎮「なにゆえネズミなぞに餌付けしとるのかなと。それなら拙者も食べちゃおうかなと……」
 
 うなだれてシクシク、メソメソ。
 
ミハイル「アフォか! ネズミ退治するために置いてんだよ、アレは!」
クレス「食い意地張ってるからそんなことになるんだぞ」
鎮「ううっ……だって」
 
 二人から叱られて、しょぼーん。
 薬を与えられてちょびっと口をつけ、
 
鎮「……くさい」
ミハイル「黙って飲め」
鎮「……苦い」
ミハイル「うるせぇ」
鎮「砂糖入れて」
ミハイル「……クレス」
 
 ぱちんと指を鳴らすとクレスが椅子から立ち上がる。
 
クレス「OK!」
鎮「!? よ、よすでござるっ! やめろ、ぐ……ぐぐぐぐっ」
クレス「飲ぉ~めぇぇ~!」
 
 腕を首に絡ませて固定し、無理やり口を開けさせる。
 入所時から3年目、すでに10cmも背が伸びてたくましくなったクレスに160cm未満のミジンコ教官を押さえ込むなど造作もないことだった。
 しかも相手は怪我人。
 
鎮「もがぁー!!!」
 
 獣が罠にかかったような絶叫が保健室に響き渡る。
 
ミハイル「世話かけさすんじゃねーよ。さ、用が済んだらとっとと行った行った」
 
 保健室から放り出される。
 
鎮「ぐすっ」
クレス「泣くなよ」
鎮「薬キライ。せめて塗り薬にしてくれれば我慢したのに」
クレス「毒を飲んで塗り薬で治るわけないだろ、もー!」
 
 足音が遠ざかり、保健室のミハイルは小さく息をついた。
 2週間前、瀕死の状態で運び込まれてきたクロエ、リク、鎮の3名はすぐに治療を受けることとなった。
 運ばれて到着したころには3人とも顔が死人のように真っ青にいや、真っ青を通り越してどす黒くなっていた。
 まずはクロエとリクが優先されて、白魔道士の回復魔法を集中治療室で受けさせられる。
 どう見ても一番傷ついている鎮を最優先すべきだろうとミハイルは思ったが、手当てしても助からないと捨て置かれたのかもしれない。
 見込みがないなら、助かる確率の高い方を優先させるのは当然だ。
 白魔道士がクロエとリクにつきっ切りの間、応急手当はミハイルが担当した。
 気力で持ちこたえていた鎮は当初、治療は自分でやれば済むと頑張ってミハイルにゲンコツを食らう。
 けれどどうしても顔は触らせたくないようで突っぱねて仕方がないので、頭のケガだけは本人にやらせた。
 結局、その後すぐに意識を失うハメになったのであるが。
 血の不足と大怪我による発熱で1週間は意識混濁が続き、正直、無理かもしれないと思った。
 痛みと熱に苦しみのたうち、すぐにベッドから転がり落ちてしまう。
熱にうなされてミハイルにはわからない言葉を狂ったように叫んでいた。
 ベッドに戻してやろうと身体を引き上げると、相手が誰とわかっているのかいないのか、ぎゅっとしがみついてきてしまう。
 しがみつきながら何かをわめいているのだが、言葉がなんなのかさっぱりである。
 いくら外国の地に足をつけて何年暮らそうとやはり追い詰められたときには、口から漏れるのは母国の言葉なのだなと同じく異国民であるミハイルは妙に納得した。
 苦しいと訴えているのか、痛いと嘆いているのか。
 死ぬのが怖いか。
 それとも。
 誰かに会いたいのか。

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●Thanks Comments

いつもの

ヒサメ先生だ☆
なんとなく、安心。
でも、やっぱり面白いキャラだ☆

From 【あっぴ】2008.09.19 01:27編集

前回の終り方の答えは、

このあと全部書きます。
どうやって助かったのとか。

From 【ゼロ】2008.09.19 01:42編集

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