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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 64-32

 偲は防戦一方になって押され続けた。
 けれど余裕は失ってはいない。
 冷徹な目が反撃の隙を伺っている。
 地を蹴って大きく後ろに下がると懐に手を入れた。
 
鎮「!」
 
 警戒して踏み込むのを躊躇った次の瞬間、偲の手から放たれた夥しい白い蝶が夜に舞った。
 
鎮「これは……っ!」
 
 まとわりついてくる蝶から思わず腕を上げて顔をかばう。
 周りが見えない。
 その間に偲が走りこんできて刀を振るう。
 
鎮「……ふっ!」
 

▽つづきはこちら

 あわてて身をひねってかわす。
 闇にひらめく白い蝶の大群に囲まれながら、互いに刃を合わせた。
 普通ならば魔法でまずは邪魔な蝶を蹴散らすはずだが、魔力は抑え込まれている。
 人形を繰ったが、あれは元々人形自体に魔力を含ませてあった物だ。
 だからほんの少しの魔力で充分に動いた。
 炎座の死体も動かしたが、瞬間的に立たせて、それだけだった。
 まだ余力は残していると見せかけて、実際のところ、魔法は満足に発動させられていなかったのである。
 しかし、今、彼は兄を抹殺せねばならなかった。
 約束を破った報いは必ず受けてもらう。
 今までもそうしてきた。
 これからもそうする。
 鎮は呪文を唱えた。
 胸につけられた赤い蝶の形の封印に激痛が走った。
 
鎮「ぐっ……!」
偲「無駄だ、鎮!」
鎮「いいえ、あにさま。シズは怖いと……………………言ったハズです!!」
 
 黒い衝撃が術者を中心に渦を巻き、空気を振動させた。
 蝶が巻き込まれて消滅し、枝葉が折れて吹き飛んだ。
辺りの木々に亀裂が生じる。
 ここにだけ小規模な嵐が起こったようだった。
 
偲「!!」
 
 避ける手立てもなく、偲も地から足が離れて宙に浮き上がってしまった。
 
偲「……ッ!」
 
 続けて第2弾の魔法が飛んできた。
 
鎮「去ね!!」
偲「ちぃ!」
 
 妖刀で迫りくるエネルギーの塊を受けようとしたが、耐え切れずに吹き飛ぶ。
 坂を転がって、木々にぶつかりながらようやく刀を突き刺し止まった場所は、元の野営地のすぐ側であった。
 体勢を立て直すいとまもなく、修羅と化した鎮が腰を落とし自らも足先で坂を滑り降りてきて襲い来る。
 刃が合わさり、何度目かの火花を散らす。
 剣を合わせながら、突然のひざ蹴りを見舞った。
 
偲「!!」
 
 偲はアゴを引いて上体をそらし、やり過ごす。
 だが鎮もそれだけでは終らない。
 避けられた蹴りをそのまま振り切って身体を回転させるとその勢いを借りてもう一発、回し蹴りにつなげた。
 後ろに下がった偲の前髪を蹴り放たれた足先が掠めて、舞い上げる。
 
偲「………………」
 
 後ろ宙返りで距離をとった偲は空中からクナイを投げ放つ。
 
鎮「……っ!」
 
素早く刀を地面に突き刺し、帯に挿してきた悟六の鎖鎌に持ち替え、鎖を振り回す鎮。
クナイは分銅のついた鎖に絡め取られ、勢いを殺がれて地に落ちる。
 が、クナイは囮だ。
相手がそれに気を取られた瞬間を狙いすまして走り寄り、偲は刀を横に薙いだ。
 対する鎮はくるり身を翻して避け、遠心力を利用して鎌を振るった。
 腕力的に非力な彼は、体重や遠心力、バランス、そして相手の力を利用する術に長けている。
 力がない代わりに生まれつき備わっているしなやかなバネで他には真似のできないトリッキーな動きを見せる。
どんな無理な体勢からも、どんな角度からも鞭のようにしなる一撃を見舞ってくるのである。
フェイントも織り交ぜて。
 二人が同時に地を蹴ってまた一定の距離を保つ。
 濡れた髪から雫が飛び散る。
 睨み合い、冴牙との戦いを再現するようにじりじりと輪を描いて互いの隙を伺う。
 中央には鎮が今し方、持ち替えるために突き刺した刀が鈍く光っている。
 いつの間にか雨雲は去り、青い月が顔を覗かせていたのだ。
 先に鎮が踏み込んだ。
 弾かれて落ちていたクナイを踏んで宙に弾きあげてから、投げた鎖をぶつけて弾き飛ばした。
 偲のクナイだったその数本は、鋭く主に向かって先端を向けてきた。
 その間にも鎮が鎖をひゅんひゅんと回し始めている。
 偲がクナイを避けるそのときを狙っているのである。
 飛べば着地点を狙う。
 剣で弾けば、同時に分銅が襲い掛かり、これを防ぐ手立てはなくなる。
 ともすれば。
 突破口は一つしかない。
 身を低くして偲は前に向かって突進した。
クナイを避けもせずに防ぎもせずにかわすにはこれしかない。
懐に入り込まれた鎮は鎌で応戦する。
二人のうち、どちらかが術を発動させれば勝負はつくのだが、互いにその隙を作らせない。
逆に勝ちを急いで術に頼ろうとすれば、間違いなく首を食い千切られる。
血を求めて猛り狂う刃によって。
それでもこのまま果てのない斬り合いを続けるつもりはなかった。
特に体力的に不利な鎮としては。
一気にカタをつける、常に虎視眈々と狙う。
魔力で兄を……いや、敵を。
敵を葬る瞬間を。
 オモチャを壊された恨み、晴らさずにおられようか。
 まだ完成前だったのに。

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●Thanks Comments

兄弟対決!!!

とうとう始まってしまいました兄弟対決。ヒサメ先生は怒ってるし、偲は一族を滅ぼそうとしてる...。あの愉快なキャラが真剣なムードに。
でも、戦ってほしくないよ(T_T)
戦闘、頭の中でアニメ化。真剣勝負だ☆
どうなるんだろう...ドキドキ。

From 【あっぴ】2008.09.17 02:02編集

愉快キャラ(笑)

はい、そうです。シリアスの少ないキャラが、どうしたの、悪いものでも食ったの!?みたいな^_^;
人物の動きがちゃんと書けていて伝わっているのかが、また心配だ(爆)
戦闘シーンは本当に難しいです。
ワンパターンになっちゃうしー(>_<)

From 【メイディア】2008.09.17 02:12編集

いつから?

ゼロちゃんがメイディアになったのだろう(爆笑)
戦闘シーンはわかりやすく書かれていたから頭の中で戦闘シーンのイメージがよく伝わってきてます。

From 【あっぴ】2008.09.17 02:18編集

あら?(笑)

前に入力してある単語が、ダブルクリックすると一覧で出ちゃうんだよー(>_<)
それで誤り記入しちゃったみたい(大笑)

戦闘シーン、伝わってましたか、よかったー(>_<)
自分で書いててありゃん??ってすぐなっちゃうの。こんがらがって(泣)
でも通じてるならよかったー=3

From 【ゼロ】2008.09.17 02:21編集

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