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レイディ・メイディ 8-2
2007.11.06 |Category …レイメイ 6-10話
レク『そうだ、これが第一歩目なんだっ! 俺の……』
果敢に攻める。
レク『俺はレイオットやフェイトとは違う。才能なんてないのかもしれない……! でも……けど!』
声「いいテンションだっ! だが、油断はするな」
レク『俺は近づきたい! あの人のように、誰かを守れる強い剣士になりたいんだっ!!』
レイオット『うっ、すごい気迫! 引いたら負ける……!』
驚いたことに有力と思われていたレイオットが押されている。
相手の剣をさばくのが精一杯になって、後ろへ後ろへと下がっていってしまう。
ガーネットの存在はレクに勇気と力を与えていた。
その声に引きずられたのか他の男子学徒たちもレクの応援を始める。
男子学徒たち「レクー! ファイトだっ!! ギャーギャーうるさい女共なんか気にするなーっ!」
「そーだそーだ!」
女子学徒たち「なんですってぇ!?」
男子学徒たち「レクー! 俺らはお前の味方だぞーっ!!」
レク『ガーネットさん……! 皆っ! ありがとう、俺、負けないよ。負けるもんか!』
▽つづきはこちら
しかし、応援している声は実はガーネットのモノではなかったり。
当の本人は上官の手料理をエンリョなしにほお張って、叫んでいる余裕などどこにもなかった。
ガーネット「アンタは食べないんですか、ジャック隊長」
ジャック「君が食べたまえ。私は今、忙しい」
ガーネット「んじゃ、お言葉に甘えましてっと」 ウサギリンゴを口に運ぶ。
ジャック「いけーっ! そこだ、わわわわわ君!!」
どちゃっ☆
勝利を目前にしたレクが……コケた。
その隙をついてレイオットが反撃に出る。
レク「うおっ!?」
転がってその一撃を避け、体勢を立て直す。
レク『わわわわわって……』
ガーネットだけに気を取られていたが、気づけば隣にさっき列にまぎれてた変な人が !
レク『なんぢゃアリャ ッ!??』 がーんっ!?
“がんばれ、クロエちゃん!”と大きく書いてある下に“がんばれ、わわわわわ君”の文字。
視力がやたら良いのが災いしてあのおかしな文字が読めてしまった。
まさか……あの「わわわわわ君」というのは……
レク『俺か? 俺なのか? もしかして……もしかしなくても…………俺 ッ!?』
レイオット「やっ!」
鋭く剣を突き出し、レクの肩越しをかすめる。
ジャック「気を抜くな、集中しろ、わわわわわ君っ!」
レク『アンタのせーだろっ!!!』
振り下ろされる剣を受け止めてはじく。
ジャック「ガーネットも見ているぞ……………………って、ん? コラ、ガーネット。食べるのもいいが少しは応援したらどーなんだ」
ガーネット「……知らないって」
ジャック「あっ! 今度はレイちゃんがっ!?」
ガーネット「そりゃ片方が有利になれば片方が不利になるでしょうよ」
ジャック「レイちゃんっ、まともに剣を合わせるな! 受け流せ! 剣の道では女が男よりも不利なことは承知だろう。ならばやり方も変えなくては上は狙えない。例え今は勝つことができても、だ」
レイオット『何? どこからの声? 誰……』
女子学徒たち「レイ様ーっ」
ジャック「既存のイメージにこだわるな。君には君の型がある」
女子学徒たち「レイ様っ、危ない! キャーッ!」
レイオット『うるさい、聞こえないじゃない。今……大事なことを言っているのに……!』
歓声に混ざってその声は届く。
風を感じろ。君の剣は風だ
レイオット『私の剣は……風?』
『私の剣は……』
『確かに、まともに剣を合わせるとどうしても弾かれちゃう……! 周りと同じスタイルじゃ技術だけでカバーできない……。このままじゃ上は狙えないの!? どうしたら……』
『そうだ、言ってたじゃない。受け流す? ……風のように』
「風のようにっ!」
シャリンッ
再び刃を合わせたが、すぐに力を抜いて手首を下にひねる。
相手の剣を巻き込む形で加わってくる力をそらした。
そのまま勢いは落とさずにレクの体に向かって突き出す。
レク「っと!」
後ろに跳んでこれを避けるレク。
すかさず踏み込むレイオット。
レク「うわっ!」
『は、早いっ!』
その頃、黒魔術の試合会場を抜け出したメイディアが、人込みをかき分けて、二人が戦う試合場の下にやってきていた。
女子学徒たち「レーイ様っ! レーイ様っ!!」
メイディア「レク、勝ってみせなさいなっ! これは命令よっ」
レク『誰? ―……女の子?』
女子学徒たち「レーイ様っ! レーイ様っ!!」
声は他の黄色い声に飲み込まれていった。