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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 7-5

ヴァルト「悪い病気って……」

氷鎖女「脳みそが腐ってござる。……かわいそうに」

ナーダ「うっわ」

 

 会場のメイディア「そこのアナタ! ワタクシと第1戦を交えること、光栄に思うのね! この日のことを一生の宝物にしてもよろしくてよ? ワタクシはそう、黒薔薇の頂点に立ち、白薔薇に転向してゆくゆくは薔薇の騎士団元帥になるのですから♪」

 試験官室のニケ「うっわぁ~……」

ナーダ「すばらしく変なのが登場したものね」

 

 あきれて肩をすくめる。

 

氷鎖女「……あ~……まぁ……」

 

 壁に大きく映るメイディアはいつもの高笑い発動中。

 相手はあっけにとられていたが、試合開始の合図が出されるとすぐに冷静になって魔法を繰り出した。

 

少女「光栄に思いなさいって? ……誰がっ」

 

 試合が始まっているというのに笑い続けるメイディアに魔力弾が襲いかかった。

 少女は新規学徒ではなく、2年目の強者だ。最終試験でランクをあげることができずに1年同じランクに留まってしまったものの、半年しか学んでいない新規とは明かに力量が違った。

 

メイディア「ほげっ!?」

 

 得意の高笑い最中だったので、まともに顔に受けて吹っ飛ぶメイディア。


▽つづきはこちら

 試験官室・ニケ「減点ー!」

 

ナーダ「減点ね」

ヴァルト「減点だな」

アイビー「はははっ♪」

氷鎖女「……………………」

   『ごぉるでん……貴様という奴は』

 

 相変わらず無表情に見える氷鎖女だったが、その額あての下では眉間にシワを寄せている。

 当のメイディア嬢はお尻を突き出して小刻みに震えながら倒れている。

 舌をだらしなく出して目は白目をむいており、両方の鼻の穴からは血が垂れていた。

 

リク「あ~らら」

クレス「なんだ、大したことナイじゃん」

   『気にして損した』

ジェーン「……ぷっ」

 

 小さく吹き出す。

 

アン「ジェ、ジェーン……?」

ジェーン「いい気味」

 

 本人に聞こえないのをいいことに本音を吐く。

アン「……あは」

 

 同意とばかりに小さくうなづいた。

 取り巻きはしょせん、メイディアの本物の友達などではない。

 彼女の背後にある権威にかしづいているだけだ。

 けれど、そうさせてしまっているメイディアにも原因は大いにある。

 

リク「ふーん?」

 

 いい気味だとせせら笑うジェーンとアンの方に視線を滑らせたが、試合から目を離さないクレスが「お?」などと声を出したのでつられて同じ方角を見る。

 口ほどにもなく転がるメイディアへ最後のトドメと相手の少女が雷撃の魔法を放った。

 さすがに養成所2年目だけあって、様々な魔法を使いこなす。

 まだ威力の少ない細い(いかずち)がメイディア目指して突き進む。

 

メイディア「……ハッ!?」

 

 目を覚ました瞬間、電撃が体を貫く。

 そして    ……

 

メイディア「ゲフッ」

 

 すすけた黒い息を吐く。

 丸焦げになった彼女の自慢のごーるでん……もとい、金髪はものの見事にアフロヘアーと大変身。

 ヘタに髪が長いものだからその大きさはハンパではない。

 一斉に会場は笑いの渦に巻き込まれた。

 試験官室でもそれは変わらず……

 

ニケ「あーっはっはっはっ!!」

 

 足をばたつかせて腹をかかえる。

 

ナーダ「ナニ、あのコ!? ちょっと、おなか痛いっ あははははっ」

 

 我慢していたヴァルトも屁の字に曲げた口元が痙攣(けいれん)している。

 

アイビー「うっ、くくくっ。スゴイね、アレ」

氷鎖女「あ~……」

黒薔薇試験官・レヴィアス「やはり落ちこぼれはどこにでもいるようですな、ヒサメ殿?」

氷鎖女「あ~、や、アレは落ちこぼれてなどおらぬよ。大変な努力家でござる」

 

 動機はともあれ。

 

レヴィアス「アレが……ですかな?」

氷鎖女「ええ」

 

 うなづきながら、頭の中ではウンコ頭がとうとうインモー頭になってしまったな、などと考えている。

 審判をする白薔薇正騎士が止める前に対戦相手の次の魔法が放たれた。

 

メイディア「お~の~れぇ~」

 

 フラリと立ち上がり、結界を張るのかと思いきや、自分も攻撃魔法を放った。

 アンとは比べものにならない巨大なエネルギーの塊が相手の魔法を粉砕して尚、その威力を失わずに対戦相手へと食いついた。

 相手の少女はこれを跳ね返す結界で身を守ったが、なんと魔法弾を手放したメイディアが一緒に走り込んできていた。

 跳ね返された魔法がすぐ横をかすめてゆく。

 

少女「!!」

メイディア「……ごきげんよう」

 

 至近距離で先程の魔法を再び放つ。

 少女は白薔薇騎士たちの張った結界を突き破り、場外に吹き飛んだ。

 

白薔薇騎士「そこまでっ!」

     「勝者、メイディア=エマリィ=シャトー!」

メイディア「ふふん」

 

 黄金の髪を払うしぐさ。

 ……が。それは普段のような華麗な動きは見せず、ボヨンボヨンと滑稽に揺れるだけであった。

 

メイディア「……………………」 ヒク……

 

 敗北した少女は口から血を吐いて気を失ってしまい、そのまま担架で運ばれて行った。

 同時に救護班が駆けつける。

 

メイディア「ほーぉっほほほほほほほほほっ♪ 無様ですことっ! 皆さんよろしくて? ワタクシはメイディ! メイディア=エマリィ=シャトー! ワタクシにかなう者なんていませんのよっ。勝つのはいつだってワタクシ、メイディア=エマリィ=シャトーですのっ!!」

 

 大口を叩きながらいそいそとどこから出したのかクシで髪を整える。

 

メイディア「とくとご覧いただけましたかしら、教官どの?」

 

 指をどこかあさっての方向に突き付ける。

 どうやら、どこかで見ているであろう氷鎖女に向けられた挑戦宣言だったようだが、天才・クレスのようにはいかないのが彼女。

 使い魔のヤモリにはちっとも気づかずに全く別の方に向かって大威張り。

 

クレス・リク『教官の目はあっちなんだけどな……たぶん』

 

 二人そろって壁のヤモリの方角に首を曲げる。

 ヤモリの目を通した行く先の試験官室では壁に背中を見せて威張っているメイディアが堂々と映っていた。

 

氷鎖女「…………………………アホか」 ぼそ……

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