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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイティ・メイディ 7-3

クレス「イバリ散らしちゃってさ」

 

 聞こえないように小さな声で毒づく。

 ひょっとして……。

 ある考えが脳裏に浮かんだ。

 コイツは自分を恐れない。

 普段の言動からはとてもそうとは思えないが、ひょっとしたら彼女もまた自分と同じように他の強力な魔法を持っているのかもしれない。

 それならば納得もいく。

 自分を恐れない理由が……

 

クレス『リク=フリーデルスの試合は見逃したが、お前の力はしかと見せてもらうよ』

 

 まだご立腹中のメイディア嬢をチラリと見やった。


▽つづきはこちら

メイディア「……ん?」

 

 気がついて、イーッと歯を剥き出す。

 

クレス「ふん」

 

 試験試合を終えたリクがステージを降りてくる。

 騒然とする試験会場。

 

クレス『何をしでかしたんだ、コイツは……』

 

 試合内容を目に焼き付けておきたかった。

 自分のときと周囲の反応が違い、恐れではなく純粋に驚きだ。

 

学徒たち「今の魔法は何だ!?」

    「何だよ、リクの奴も元から魔法を知ってたのか!?」

 

 その声にリクが振り返って言う。

 

リク「同じなんだけどな、君らと。俺もここに来て初めて魔法を習ったんだ。2種類しか知らないよ。……2種類しかね」

クレス『カッコつけやがって……』

 

 リクとすれ違いにアンが震える足取りで階段を上がってゆく。

 

リク「がんばって。大丈夫、ヒサメ先生の教えを守っていたなら」

 

 思ってもみなかった応援の言葉をもらい、アンの頬に朱が走った。

 

アン「あっ……あの……ありが……と。あのっ……私……がんばるから……」

リク「うん」

アン「リ……リク……あ、えと……フリーデルス君……」

リク「リクでいいよ」

アン「……………………リク君も頑張ったんだもんね? わっ、私もがんばる。リク君が勇気……く、く、くれたからっ」

 

 ふせた顔を見られないように階段を駆け上がってゆく。

 見ててね、と心の中でつぶやきながら。

 

メイディア『……………………』

 

 一部始終を眺めていたメイディアが腕を組んで黙る。

 少し考えたのちに、クレスの方を向き直った。

 

メイディア「がんばって 大丈夫、ヒサメ先生の教えを守っていたなら」

クレス「…………ハ?……な、な……?!」

メイディア「ありがと、私がんばるから

クレス「なんだよ?」

メイディア「ウフフ。おっかしいのっ」

クレス「………………」

 

 嫌なカンジだとクレスは押し黙った

 

ジェーン「メイディア様、あのコ、ちょっとどんクサイけど大丈夫かしら?」

メイディア「大丈夫よ。だって、リク君が勇気をくれたんですもの♪ アハハ」

クレス「ずいぶんな余裕だね、お嬢様はさ」

 

 イヤミのつもりでワザとお嬢様と呼んでみるも通じていないようで、相手は小さく笑ってみせた。

 

メイディア「もちろんですわ。ワタクシの実力、とくとご覧あれ♪」

ジェーン「あっ!」

メイディア「うん?」

クレス「?」

 

 会場が再びどよめく。

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