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レイディ・メイディ 7-6
2007.11.05 |Category …レイメイ 6-10話
審判に退場を命じられて階段を下りたメイディアが試合場を後にすると、つい先程までいい気味だと笑っていたジェーンたちが駆け寄って来た。
ジェーン「さすがですわ、メイディア様っ!」
アン「スゴかった……」
その他の取り巻きたちも口々に褒めたたえる。
しかしそれには答えず、爪を噛むメイディア。
対戦相手が運ばれていった方を一度見やって、
メイディア「……ワタクシは悪くありませんからね……」
ジェーン「え?」
▽つづきはこちら
メイディア「なんでもありません。ワタクシが勝つのは当然です。そんなにはしゃがないで。みっともない。それよりも誰か、鏡を! それから水とおしぼりを持ちなさい」
ジェーン「はい、ただいまっ」
アン「あ、えっと……うん」
あわてて散り散りになる取り巻きたち。
天然の弱パーマでアフロになった髪をなんとか見られるまでに戻して、メイディアは黒魔術の試験場を抜け出した。
ジェーン「あ、どこに行かれますの、メイディア様」
アン「え? え? 続きの試合、見ないの? 怒られちゃうよっ。減点されるかも……ねぇ!?」
それでもあわててついてゆく。
クレス「そんなに言うなら行かなきゃいいのに。ばっかみたい」
リク「………………」
試験官室。
ヴァルト「戦いの基本を知っているようだな、あの娘。エマリィ=シャトーといったが本当なのか?」
氷鎖女「間違いござらん」
ヴァルト「まさか黒魔術レベル1の段階でああいった使い方をする学徒が出て来ようとはな。魔法使いといったら、剣士に守られて後方で撃つだけというイメージがあるせいかどの学徒もだいたいはその場からあまり動かないものなのだが……」
リクには魔力のコントロールと技術は及ばず、クレス程の威力もない。
白薔薇正騎士の結界を破ってみせたものの、アレは距離が近かったことが手伝っている。
むろん、他の学徒に同様のことができるかといえばそんなことはない。
彼女だからこそできた芸当だ。
だがそれでもやはり前の二人には遠く及ばない。
二人よりも優れた部分があるとすれば、持てる力が二人よりも少ないがゆえに、どうやればその少ない魔力量で120%活用できるかを瞬時に判断できる能力。
そして、それと同時に……
氷鎖女「……アレには人を殺すセンスがありそうでござる」
人殺しの才能である。
ニケ「物騒なコト言うなー」
氷鎖女「物騒とはいかに? 軍隊とはそういうものでござろ?」
ナーダ「あのね、ヒサメ。薔薇の騎士団は守るための軍隊よ。自衛のためでなければ剣は抜かないの。だから人格も重要視されるのよ」
氷鎖女「いくら言葉で飾っても一度戦が起きれば、ただの人殺し集団でござる。我々はいかに相手を多く殺せる技術を身につけた精鋭を作るかというだけでござろ?」
ナーダ「ヒサメ! 貴方はやっぱり異国の人間だわ。ローゼリッタの歴史をわかってない! ……薔薇の騎士団の生まれた意味も、何故平和の象徴なのかも」
氷鎖女「……………………」
「強いから」
ナーダ「強くあらなければならなかったのよ」
ヴァルト「やめないか。おい、赤薔薇のアレが出て来たぞ」
壁に映る美少年とおぼしき美少女を指さす。
ナーダ「レイオット」
注目株が登場して会場が沸く。