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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 10-3

 追いかけてきたモーリーたち。

垣根に身を隠している。

 

モーリー「ぎゃっ! メチャメチャ直球じゃん!?」

クロエ「アレ? お兄ちゃんじゃない??」

アン「お……お兄ちゃんって誰?」

ジェーン「さすがはメイディアねー。いきなり好きですでも付き合って下さいでもなく、結婚しろときたもんだ」

 

 事態を飲み込めていないフェイトが真っ白になって立ち尽くしている。

 

メイディア「貴方はワタクシと結婚するのです」

フェイト「……………………断る」 こちらも速球。

    「いきなり何なんだ」

 

 眉をひそめる。もっともな質問だ。


▽つづきはこちら

メイディア「断る? ワタクシがここまで言ってあげているのに、断るですって?」

フェイト「そうだ」

メイディア「何故ですの?」

フェイト「俺は君を好きになれないし、だいたいいきなり結婚だなんてぶっとんだ話、誰がうなづくんだよ」

メイディア「普通の感覚の持ち主ならどなたでもうなづくと思いますわ」

フェイト「正気か?」

メイディア「ええ」

 

 隠れている4人娘『ぎゃ~っ、言い切ったーっ!?』

 

 逆側にやって来たレク&リク、茂みに身を隠す。

 

リク『やってるやってる』

レク『アッタ~』

メイディア「一人娘のワタクシと婚姻のお約束をとりつければ、シャトー家の婿養子ですもの。断る理由がないでしょう」

フェイト「……人間はそんなにカンタンなモンじゃないだろ」

メイディア「カンタンですわ。現にワタクシに愛の言葉を持ちかける殿方が後を絶たなくて困っておりますもの。それなのに貴方はそのワタクシから声をかけられているのよ。光栄に思いなさいな」

フェイト「ふざけるな。俺は違う。ソイツラと一緒にするなよ」

メイディア「いい加減になさい。貴方はワタクシの夫になるの。何の不満があって?」

 

 隠れているリク「わ~あ、大胆な告白だなー……」

 同じく、レク「何をのんきな 告白タイムっていうか一触即発な雰囲気じゃないか。はわわ」

 

メイディア「ワタクシ、一応貴方のコト、調べさせましたのよ。貴方、貴族のご子息なんですってね。あの試合でも見事でした。きっと将来有望な薔薇の騎士におなりあそばすでしょう。貴方ならばワタクシの夫として問題ございません。きっとワタクシの両親もお許しになるわ」

フェイト「ふぅ……。君は何でも自分の思い通りになると思っているんだな。誰も彼も君にかしづくと思わない方がいい。君だって判らない年齢じゃないだろう? 貴族だからって何でも思い通りになるってワケじゃないんだ。とりわけ人の心はな」

 

 隠れているジェーン「そうそう。言ったれ言ったれ」

 同じくモーリー「まぁ多少わかってくれた方がアタシらも助かるよねー」

    アン「………………くすっ……」

    クロエ「いくらなんでも言い過ぎだわ」

フェイト「結局、君は家の威光をかさに着て、権力を振り回しているだけだろ? 俺は嫌いなんだ、そういうの。ろくに働きもせず、他人に頼ってばかり。そのクセ口ばかり達者で偉そうで……。そんな奴が自分一人じゃ何ひとつ出来ないクセに」

メイディア「!」

 

 パンッ!

 

 平手の音が空間に響き渡った。

 

メイディア「誰に向かってそんな口を利いているとお思いなの!? こんな侮辱を受けたのは初めてです!」

フェイト「……ちっ」 叩かれた頬をさする。

メイディア「いいわ。貴族といっても貴方のお家柄なんてどうせ大したことなんてないでしょう。こんな侮辱を受けてまで来てもらおうとは思いません。後で後悔すればいいんだわっ」

 

 長いドレスを翻してメイディアは足早に去った。

 

ジェーン「あは☆ やーい、フラレた、フラレた♪」

モーリー「うん、ちょっと胸がすいたかもー♪ フェイト君……だっけ? やるじゃん」

クロエ「そんな風に言っていいの? メイディアと仲良しじゃなかったの、二人とも」

ジェーン「冗談やめてよ」

モーリー「メイディアっていうか、シャトーのご威光と仲良くなれたらいいなーみたいなー」

アン「でもあれじゃフラレて当然だと思う」

クロエ「そうかもしれないけど、あそこまで言うことないのに。……私、抗議してくるっ!」

 

 隠れていたのを忘れて、すっくと立ち上がる。

 

ジェーン・アン「きゃっ!? クロエッ!!」

 

 あわてて服をつかんで座らせるが、もうバレたも同じだ。

 

フェイト「………………ずいぶん、いい趣味だな」

 

 ジロリと垣根の方を睨んで立ち去る。

 

クロエ「むっ!? フガフガッ!」

ジェーン「いいから黙っててよっ。アンタ連れてくんじゃなかった」

 

 クロエを取り押さえて口をふさがせる。

 

ジェーン「まったくもぅ」

モーリー「いいんじゃない? 関係ないしぃー」

アン「謝っておいた方がいいかしら……」

モーリー「関わらない方をオススメしまーす」

アン「……そうかも……」

 ジェーンの手をはずして、クロエ「ぶっはっ!」

クロエ「私、メイディアの所に行ってくる」

モーリー「行ったら見てたのバレるわよー?」

クロエ「でもあれじゃ可哀想」 走りだす。

アン「あっ、クロエ ……どうしよう、私たち?」

 

 オロオロして残りの二人に指示を仰ぐ。

 

ジェーン「どうでもいいじゃない。それよっか日曜だしまだ時間も早いし遊びに行かない?」

モーリー「賛成っ♪ 男誘って行こうよー」

アン「でも……」

ジェーン「ホラホラ。リク君誘ってあげるからさ」

アン「……えっ そんな……私は別に……」 赤面してうつむく。

モーリー「試験も終わったし、久しぶりに町に行きたいなー」

 

 話ながら遠ざかってゆく。

 しばらくして茂みから姿を現すリクとレク。

 

リク「俺たち、ぐりとぐらみたいだねぇ」

レク「そんな話はどうでもいいよっ! そして意味わかんないよ、何、急に」

リク「いや、名前が似てるなって思って」

レク「はぁぁ~……そうじゃないじゃん」 脱力。

リク「何が?」

レク「どーすんだよ、これから」

リク「これからって?」

レク「俺たち」

リク「俺たちがどうにできる問題と違うんじゃない? 一つの結末があって、一つの恋が終わったというだけであって。……ま、アレが恋だったとは思えないけどねぇ」

レク「でも……だって告白したんだから……」

リク「相手を好いてってよりも貴族だからとかそんなカンジに聞こえたけど」

  『何にアセッているんだか………………あの娘』

 

 懐に入れて持ち歩いているクッキーを取り出して包みを破く。

 

レク「あ、ソレ、俺にもちょうだい」

リク「…………エ?」

  「……………………………………」 ちょうだいと手を出したレクの顔を凝視。

  「……………………………………」 眼球が左に動く。

  「……………………………………」 右に動く。

レク「……そんなに悩むなよ……ケチ」

 

 黙って固まってしまったリクを細目で見やった。

 

リク「さて。お姫様のハートを射貫くのは誰だろう」

 

 袖の中に手を突っ込んで歩き始める。

さりげなくお菓子を袖の中に戻して。

 

レク「どうせメイディは誰のにもならないんじゃないかな」

 

 完全にごまかしてるなと思いつつもリクを追いかけて隣を歩くレク

 

リク「どうかな。彼女、まるで自分を物のように放り投げる」

レク「モノ?」

リク「貧しい者たちに宝石を撒き散らしてさあ拾いなさいってカンジで、自分を放り投げてるみたいだ」

レク「はぁ? よくわからないよ、その表現」

リク「俺もよくわからない。ただ、その表現しか思いつかなかった」

レク「???」

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