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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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メイディ・レイディ 10-5

 それに助けられて、クレス「あー……えー……その……そいつ……えっと……」

メイディア「ダイヤモンド・チェリーっていうの?」

クレス「……っていうか……」

メイディア「可愛いの。……貴方の?」

クレス「ちっ……ちがっ……僕っ……僕はっ…………ニャ……ニャーニャーうるさいからちょっとエサやっただけだよっ!」 ムキになって否定。

メイディア「でも名前までつけてるんだから、貴方の猫でしょ? 食事まで与えているみたいだし、可愛がっているのね」

クレス「アイツと似たようなコト言うなよ」

メイディア「アイツ?」

クレス「別に」 ぷいっ

 

 以前、リクにもこの猫のことがバレてごまかすのに大変だった。

 しかもリクときたら、豆大福などと妙な名前で呼ぶ。

 コイツはダイヤモンドチェリーなのに。


▽つづきはこちら

メイディア「ミルク……いつまでも持ってないであげたら?」

クレス「……言われなくてもそうするよ」

 

 猫がズボンに前足をかけてきたので、皿を下に置いた。

 

メイディア「あはっ。見て、ナメているわ」

クレス「そりゃナメるよ、猫だもん」

 

 一緒にしゃがんで猫がミルクを飲む様を見つめる。

 

メイディア「ふわふわでやわらかいの」

クレス「そりゃ柔らかいよ、猫だもん」

 

 いばり散らして生意気な貴族女。

 あまりクラスでも話したことはなかったし、いけ好かないだけの女だと思っていたから進んで関わることもなかった。

 けれどこうして間近にいると何だか良い香りがするなと思った。

 もう涙の跡はふき取られてなくなっていたが、鼻の頭が微かに赤い。

 何を泣いていたのだろう。こんな人気のない場所で独り。勝ち気で威張りん坊な彼女が。

 猫をなでながら思ったが口にはしなかった。

 

メイディア「あのね、ウチにはね、猫はいなかったけど犬がいたのよ」

クレス「ふーん……あっそ」

メイディア「それでね、犬はいっぱいいたんだけど、番犬だったの。悪い人が入ってくると噛み付いてしまうのよ」

クレス「ふーん」 気のない返事で猫を構い続ける。

メイディア「でもちっちゃい頃は可愛いの。コロコロしてて、甘えてくるのよ」

クレス「ふーん」

メイディア「お母様犬にいつも甘えているの。だけど……」

クレス「?」

 

 チラリと横を見る。

 

メイディア「だけど、ずっとお母様と一緒だとちゃんとした番犬の躾ができないからってまだ小さい内に引き離してしまうのね」

クレス「そうなの?」

 

 今度は顔を向けて話を聞く。

 

 うなづいて、メイディア「そうなの。可哀想って言ったけどダメだって。それで犬はすぐ大人になっちゃうでしょ?」

クレス「……うん」

メイディア「大きくなってちゃんとした番犬になったら、他の番犬の仲間入りできるワケ。それでお母様犬に会えたんだけど、そのときにはもう新しい赤ちゃんがいて、慈しんで育てているの」

クレス「………………」

メイディア「ちょっと……可哀想だったな」 空を仰ぐ。

クレス「………………」

メイディア「きっとあの犬ももっと甘えていたかったと思うのに」

クレス「………………」

メイディア「本当に犬がそう思っていたかわからないけど」

クレス「……そりゃそーだ」

メイディア「でも確かに別れ別れになるその時はね、両方とも鳴いてたんだよ。お互い呼ぶみたいに」

クレス「ああ、犬って群れの動物だし、絆の強い生き物だからね。猫とかも親子だとそうらしいけど」

メイディア「大人になるって嫌ね……」

クレス「まだそんなこと、考えたコトない」

メイディア「大人になるって、遠くに行くってことと同意だわ。一度遠くに行ってしまった後で里帰りしてももうそこには自分の居場所なんてないのよ」

クレス「……メ……メイディアはどっか行くの?」

   『呼び捨てでいいのかな……?』

メイディア「うん……たぶん……」

クレス「ふぅん……どこ?」

メイディア「遠く。ずっとずーっと遠く。でもここで相手を見つけられたら何とかなるかも」

クレス「相手?」

メイディア「うん、ワタクシをつなぎ止めておいて下さる方。でもどうかしら。あまり自信がないわ」

クレス「……??」

 

 何の話をしているのか理解は出来なかったが、先程の涙の理由(わけ)がきっとこの話とつながっているのであろうことは容易に想像できた。

 大人になりきっていないのに大人の枠に入れられてどこか遠い所へ行ってしまう、そんな立場に今、彼女は置かれているのかもしれない。

 女の子が泣いている。こんな時、なんと言葉をつむいだらいいのかクレスにはまるで見当もつかなかった。

 ただ、普段は生意気なだけの娘がうずくまって人知れず泣いている姿はかわいい気がするな、などとぼんやり思っただけで。

 その後、どちらも言葉なくしばし猫を構っていたが、気まぐれな猫がどこかへ行ってしまうとメイディアもすぐに腰をあげた。

 

メイディア「ワタクシ、部屋に戻ります。また明日。ごきげんよう」

クレス「あ、ああ。うん」

 

 スカートの裾を持ち上げて、彼女は軽やかな足取りで立ち去った。

 その後ろ姿はすでにいつもの勝ち気な雰囲気を漂わせている。

 きっと明日にはいつも通りの彼女に戻っていることだろう。

 権力を振りかざしてワガママ言って、自分の家の自慢をしても自分の過去や気持ちなんかを話すことのないお嬢様に。

 今日はきっとたまたま弱気で、そこへたまたま自分が出くわしただけ。特別なことなんて何もな

い。

 きっとこんな機会はもう、巡ってはこない。

 なんとなく、そう思った。

 

クレス「思ったよりは…………嫌な奴でもないかも」

 

 たくさん取り巻きを連れてるクセに彼女は独りなんだ。

 性格悪いから。

 だけど寂しいんだ。……きっと。

 少し、ほんの少しだけ気持ちを共有できていた気がするのは気のせいだったろうか。

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●Thanks Comments

騙されちゃダメだ、クレス君


だって相手はメイ様ですから~!

…ナイーブなメイちゃんはとても普通の子なのに、なんで普段はあんななのか…。(溜息)

なんか二人、いい感じになってますけど、我の中のカップリング予想は↓
・リクvメイ
・レクvメイ
・ニンニンvメイメイ(なさそうだけど大穴狙いで~)
の順です。しかし、先日ゼロくんが不吉なフラレ道の始まりにすぎない的な事を書いていたような気がする…。
をおぉ、どうなるんだ~~!!


From 【 ぱんだ】2007.11.10 22:14編集

予想ありがとう

一応ラブコメちっくなハズなんだけど、少なくともあと3、4人はフラレ……ごほんごほん。

From 【ゼロ】2007.11.10 22:24編集

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